全身性エリテマトーデス は若い女性に多く発症する膠原病の1つです。現在は早期に診断し、治療をすることで 症状 をコントロールすることが可能になりました。
しかし診断が遅れたり、放っておいて重症化すると命に関わるため、多種多様な症状に早く気付くことが大切です。
全身性エリテマトーデスの症状は多種多様
全身性エリテマトーデスとは
全身性エリテマトーデスは、発症しやすい遺伝的背景をもった人にストレスや日光、その他の環境因子などの刺激により、自分を攻撃してしまう自己抗体ができ、全身の臓器に症状が出る膠原病の1つです。
しかし一概に遺伝的背景をもった人、例えば母親が全身性エリテマトーデスであっても必ずなるとは言えません。現在でも医学的にその発症機序は明らかではありませんが、自己免疫の異常で起こる病気ということはわかっています。
患者さんの70-90%が女性であり、通常は妊娠可能な年齢の若い女性に多く発症します。しかし新生児、男性、高齢者にも数は少ないですが発症することもあり、女性より重症になる可能性もあるので注意が必要です。
全身性エリテマトーデスの症状
全身の臓器をどこでも破壊できる自己抗体ができてしまう病気のため、全身どこにでも症状が出る可能性があります。
発症の仕方も急な発熱で発症したり、徐々に関節痛が強くなるなど経過が長いこともあります。一度発症したら、一生付き合っていかなくてはいけない慢性の病気ですが、長い間寛解といって症状が何も出ないように抑えることも可能です。
また再発を繰り返したりすることもあるので注意が必要です。実際にどのような症状が出るかというと、脳神経の場合はてんかん発作やけいれんを起こしたり、性格が変化して精神病と間違われることもあります。
脳の血管に出血や閉塞を起こしたり、若いのに物忘れが激しくなることもあります。皮膚の場合は、顔に特徴的な蝶々のような発赤(蝶形紅斑)を伴う病変ができます。
鼻の部分は皮膚病変が出ないのが特徴です。肘や足などにも赤い皮膚病変ができます。光過敏症は40%の人に合併すると言われており、日焼けの後に症状が明らかになることがあります。
口腔内には潰瘍ができ、口内炎となります。関節の痛みは炎症により出ることが多いですが、関節リウマチのように関節が破壊されて変形することは少ないです。
しかし治療が遅れて長い間放置しておくと、全身性エリテマトーデスでも関節が変形することはあります。
汎血球減少と言って、貧血、リンパ球減少、血小板減少の症状が出ます。これにより、疲れやすくなったり、感染症になったり出血しやすくなります。
心臓、肺、腎臓にも症状が出ることがあり、胸痛や肺出血、腎機能障害などで発症しますが、これらの臓器に病変がある場合は重症と考えます。
妊娠出産に関しては、胎児の早期、後期の死亡、習慣性の流産の原因になることがありますが、きちんと治療し症状が安定していれば出産も可能です。
全身性エリテマトーデスの検査
問診や身体診察で体のどの部分に症状が出ているか調べます。採血検査で貧血や炎症がないかどうか、また自分を攻撃する自己抗体の有無(抗核抗体、抗細胞質抗体、抗2本鎖DNA抗体など)を調べます。
全身のCTや胸部レントゲン撮影を行い、臓器障害の有無のスクリーニングを行います。また腎機能障害に対しては、尿検査や必要に応じて直接腎臓に細い針を刺して検体を見ることのできる腎生検を行います。
全身性エリテマトーデスの診断基準
米国リウマチ学会が全身性エリテマトーデスに対し診断基準を提唱していて、日本でも診断の補助に使います。
11の診断基準となる症状が挙げられており、そのうち4つ以上があれば全身性エリテマトーデスと確定できます。しかし4つ以上揃わなくても、症状や検査結果から極めて疑わしい時には確定されることもあります。
その11の症状とは、皮膚症状、光線への過敏症、口腔内の潰瘍、関節炎、胸膜炎や心膜炎、腎機能障害、白血球やリンパ球、血小板減少などの血球の異常、神経障害、抗核抗体高値、自己抗体陽性です。
関節リウマチや皮膚筋炎など、その他の膠原病と似ていたり、合併することもあるので慎重に診断します。
全身性エリテマトーデスの治療
重症度によって変わりますが、基本的にはステロイドで治療します。重症度が高い時には免疫抑制剤も併用します。
関節痛には鎮痛薬や抗マラリア薬を用いて痛みを抑えます。ステロイドの副作用で骨粗しょう症、胃潰瘍、感染症が起こるため、その予防薬も内服します。
まとめ
全身性エリテマトーデスの症状は多種多様
全身性エリテマトーデスとは
全身性エリテマトーデスの症状
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全身性エリテマトーデスの診断基準
全身性エリテマトーデスの治療