ターナー症候群 のほとんどの女性に共通して見られるのが低身長と二次性徴が自然におこらないことですが、他にもいくつか 特徴 となる症状や合併症があります。
しかし、そのすべてがどの女性にも見られるのではなく、人それぞれ違いがあります。中には気付かないまま成人を迎える女性もいるほど、特徴の現れ方が違うため、早期発見が難しい場合もあります。
しかし、早期に発見し適切な時期に治療を行うことで、その治療が女性として女性らしく生きていくための手助けになります。
ターナー症候群を見つけるために知っておきたい特徴
ターナー症候群にみられるたくさんの特徴
ターナー症候群には多くの特徴はがあります。この特徴といわれる症状や合併症すべてのターナー症候群で見られるわけではなく、症状の出現する時期にも違いがあります。
特にモザイクのターナー症候群の女性の場合は、症状の出現する確立が少なく全く気付かないまま成長する場合もあります。
一般的に、ターナー症候群の女性によく見られる特徴は以下の通りです。
- 低身長
- 第二次性徴が自然におこらない、生殖器の未発達(乳房、膣、子宮など)
- 翼状頸(首の周りに皮膚のたるみがある)
- 出生時のリンパ浮腫
- 外反肘(腕が肘のところでわずかに外側に向いている)
- 高口蓋(歯上あごのアーチが高い)
- 小顎症(あごが小さい)
- 楯状胸(肩や胸の幅が広い、胸の前後径が厚い)、漏斗胸(胸骨と助骨の一部が内側にへこんでいる)
- 頸部被髪部低位(首の後ろの髪の生え際が低い)
- 指が短い(特に薬指と小指)
- 腎尿路系の奇形(2つの腎臓が1つになってU字型のようになる馬蹄腎など)
- 自己免疫疾患(橋本氏病、アジソン病など)
- 耐糖能異常(糖尿病や肥満になりやすいなど)
- 聴力障害(中耳炎など)
- 骨粗鬆症
- 心・血管系異常(大動脈縮窄や心臓弁の異常)
このようにたくさんの症状や合併症を起こす可能性があるのが、ターナー症候群の特徴です。必ずおこるという訳ではないですが、可能性があることを知って定期的に検査を受けることが大切です。
ターナー症候群に気付くために
ターナー症候群の女児は、出生時の身長がやや小さめであること以外、特徴である出生時のリンパ浮腫が見られたとしても必ず発見できるという訳でもなく、他に病気だとわかるような目立った症状はありません。
成長はゆっくりですが、両親の身長が高ければターナー症候群にしては高めの身長になり、低身長といってもいつか成長期が来たら伸びるだろうと深く気にすることなく過ぎてしまう場合もあると思います。
そのまま思春期を過ぎまだ初潮がないという状態になってやっと異変に気付くことも多いです。
必要な時期にホルモン治療を行うことと、合併症を早期に発見するためにも小さいうちに診断を受けておくことが大切になります。
ターナー症候群の特徴とされる低身長や顎が小さい、髪の生え際が低いといった外見を意識して見ることが有効です。
特に、身長は生まれた頃から少しずつ差が開いてきます。そのため定期的に身長を測り、標準成長曲線と比べて、継続的に差が見られる場合は念のために受診するなど、もしかして?と思うことが早期発見の近道になります。
成人女性が抱える問題
様々な特徴をもつターナー症候群ですが、しっかりと治療、経過観察をしていくことで例え症状や合併症が現れても早期に治療を始め悪化させることなくコントロールしていくことができ、一般女性と特別変わらない大人の女性に成長していきます。
そして、大人の女性になった頃に出てくるのが、妊娠・出産という問題です。この問題はターナー症候群の特徴の中で最も成人になってから女性を苦しめるものです。
モザイクの場合を除いて、ほとんどは胎児期、もしくは遅くても1歳頃までには卵巣の萎縮が起こり十分に発達することができません。そのため、適切なホルモン治療を行っていても、正常な卵子が得られず自然妊娠の確立は1%以下だと言われています。
妊娠出産も夢ではない
数は少ないですが、ターナー症候群の女性が妊娠し出産したという報告はあります。また、日本でも2014年に初めてターナー症候群の女性が出産しました。
卵巣が早期に萎縮してしまうことで、女性ホルモンが放出されず、月経や乳房の発育など、性的成熟がみられません。そのため、ホルモン療法を行い女性ホルモンを補うことで月経をはじめ女性らしい身体へと性徴をおこすことができます。
しかし、妊娠となると問題は卵巣です。萎縮してしまった卵巣は卵子をほとんど、または全く貯蔵することができません。
妊娠・出産に至った例ではその卵子を他者から提供してもらい夫の精子と受精させた受精卵を使った体外受精によるものです。上手く着床しても出産までたどりつくのは簡単ではなく、流産や死産となる場合が多いです。
しかし、健康であっても不妊治療を受けている女性はたくさんいます。ターナー症候群でも卵子提供によって妊娠・出産の可能性が期待できることから、妊娠しにくい体質であると認識し、結婚や妊娠・出産と言ったライフイベントを考えることが大切です。
まとめ
ターナー症候群を見つけるために知っておきたい特徴
ターナー症候群にみられるたくさんの特徴
ターナー症候群に気付くために
成人女性が抱える問題
妊娠出産も夢ではない