子宮がんは、女性のがんで2番目に多いことがわかっています。子宮がんは子宮頸がんと体がんに分けられますが、以前よりも出産年齢の上昇などから 子宮体がん の割合が増えています。子宮体がんは早期に発見できれば良好な経過なため、定期的な 検査 は女性の命を守ることになります。
定期的な子宮体がんの検査は命を守る
子宮体がんの検査の意義
子宮体がんは、子宮内膜の細胞から発生するがんで40~50歳代に好発します。つまり閉経期前後、または閉経後によく見られます。
以前は子宮がんの中では子宮頸がんが大半を占めていましたが、現在では子宮体がんがの割合が徐々に増加しています。その理由には、食生活の欧米化、女性の社会進出に伴う晩婚化、初出産年齢の上昇、少子化などが挙げられます。
子宮体がんは、早期に発見された場合には95%以上の5年生存率(5年間生存できる確率)と言われていますので、検診で早期に発見することが大切です。
子宮体がんの検査の対象者は
子宮体がんの原因に大きく関係しているのは、女性ホルモンと言われています。女性ホルモンは、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)に分けられますが、子宮内膜がエストロゲンにさらされた期間が長いと子宮体がんの発生率が上昇すると言われています。
具体的には、妊娠・出産歴がない、閉経が遅い、長期にわたる月経不順、多嚢胞性卵巣症候群、乳がんでホルモン治療を受けている、更年期のホルモン治療、肥満などがリスクとされています。
これらのリスクを持っている40歳以上の女性、または不正出血などの症状を認めた女性が対象になります。
子宮体がんの検査は
自治体で行われている子宮がん検診には、子宮頸がんは含まれていても体がんは含まれていないこともあるので事前に確認してください。
検診で子宮がんを指摘された方が、外来で初めて子宮がんを指摘されるよりも患者さんの経過が良いことがわかっています。子宮がんの検査は、子宮がんの存在の有無を確認する検査とがんがどこまで広がっているか調べる検査があります。
子宮内膜細胞診検査
子宮内に器具を挿入して細胞を採取し、顕微鏡で検査してがん細胞の有無を調べます。結果は約1週間で出ます。結果は陰性、偽陽性、陽性と判定され、陰性は正常と同義であるため、不正出血などの症状がなければ2年に1度の検診で経過を見ます。
偽陽性は子宮内膜増殖症を示し、前がん病変と認識されており、約10%にがんが検出されます。陽性の場合は、子宮内膜がんと認識され80%にがんが検出されます。そのため偽陽性と陽性の場合は、より詳細な組織検査を行う必要があります。
子宮内膜組織検査
子宮内膜細胞診と同様に子宮に器具を挿入し、子宮内膜から組織を一部採取し顕微鏡で検査します。細胞診だけでは確定診断できない時に行う検査で、結果は1週間後に出ます。
子宮内膜全面掻爬・子宮鏡
子宮内膜を一部採取する子宮内膜組織検査で、判定が難しかった場合に行います。子宮内膜を全部採取し顕微鏡で検査します。
子宮鏡は内視鏡で直接子宮内を観察し、確認しながら検査ができます。検査の中で最も負担が大きく、検査に要する時間も長いため麻酔を併用することもあります。結果がでるまで1週間程度はかかります。
画像検査
上記の検査でがんがある可能性が高い場合に、超音波・CT・MRI等の画像検査でがんの大きさと広がりの確認を行います。1cm以下の小さながんは検出できない可能性があります。1週間以内に結果がわかります。
子宮体がん検査の問題点と対策
子宮頸がん検査に比べて、子宮体がん検査は痛みや出血など患者さんにかける負担が大きいことが欠点です。抗生剤の内服で予防をしますが、膣から子宮内への細菌感染をおこし腹痛の原因になる可能性もあります。
高齢、妊娠出産歴がない、帝王切開でしか出産したことがない場合は子宮口が閉じていて困難なこともあり、事前に子宮口を開きやすくする薬を挿入して行います。
これらの負担を軽減するため、不正出血などの症状を認めない患者さんには、超音波検査を行い子宮内膜厚が5mm以上の場合だけ精密検査を行う試みもあります。
しかし、この方法は閉経前では診断が困難であることと早期の小さいがんは見逃してしまう危険性があります。早期に検査で子宮がんを発見し治療することは大切ですが、医師とよく相談し理解してから検査を受けましょう。
まとめ
定期的な子宮体がんの検査は命を守る
子宮体がんの検査の意義
子宮体がんの検査の対象者は
子宮体がんの検査は
子宮内膜細胞診検査
子宮内膜組織検査
子宮内膜全面掻爬・子宮鏡
画像検査
子宮体がん検査の問題点と対策