子宮は出産だけでなく、女性が生きて行くうえで非常に大切な働きをします。その子宮に良性の筋腫が出来る病気を 子宮筋腫 といいますが、筋腫が出来る 位置 や形により症状が違う事はご存知でしょうか。
大まかに子宮筋腫といっても、治療をしなくても良い筋腫や、手術が困難な筋腫もあります。子宮筋腫とは子宮のどこに出来るのか、それぞれ位置の違う筋腫の症状とはどのようなものなのかここで見てみましょう。
子宮筋腫って、位置によって症状が違うの?
そもそも子宮ってどうなってるの?
子宮は子宮筋層の内側と外側を膜が覆う三層構造で出来ています。
子宮筋層とは生理や妊娠・産後に大きさが変化出来るよう伸び縮みする筋肉です。その筋層の内側にあるのが子宮内膜、その外側の膜を漿膜(しょうまく)と呼びます。
女性にとって非常に大切な臓器ですので、心臓が肋骨に守られるように、子宮は骨盤に守られるような位置にあります。通常、子宮の大きさは7㎝×7㎝、約50g程です。思ったより小さく感じられる子宮ですが、ここに筋腫が出来た場合は平均で直径7㎝、手術をする筋腫になると10㎝を超えます。
子宮のどこに筋腫が出来るの?
筋層内筋腫
子宮の筋肉に出来る筋腫を筋層内筋腫と呼びます。子宮筋腫の中では最も多く、数も一個だけでなく複数個出来ることもあります。
筋腫が大きくなるにつれ、内膜が筋腫に引っ張られ痛みが出ます。月経の際の痛みや出血も多くなり、ただの月経痛と思っていたが実は筋腫が原因だったというケースも珍しくありません。
筋層内筋腫は不妊の原因にもなっており、筋層内筋腫の30〜50%は不妊症と言われています。
また妊娠した場合は流産や早産の一因でもあり、10〜30%が流産・早産しているとの数字もあります。そのため不妊治療中の方は摘出する可能性も出てきます。
漿膜下筋腫(しょうまくかきんしゅ)
子宮の外側に出来る筋腫を漿膜下筋腫(しょうまくかきんしゅ)と呼びます。子宮の外側なので大きくなるまで症状が出にくく、気付くのが遅くなりがちです。
形には2種類あり、コブのような形の筋腫と、有茎漿膜下筋腫(ゆうけいしょうまくかきんしゅ)と呼ばれ筋腫に茎があり、サクランボのようにぶら下がる形の筋腫もあります。この有茎漿膜下筋腫(ゆうけいしょうまくかきんしゅ)の数も一つとは限らず、何個も出来て子宮の周りをゴロゴロと囲むように出来る場合もあります。
お腹を触ると筋腫に触れる事もあるのですが、症状がないので「最近お腹周りが太ったな?」と勘違いしたりします。
しかし筋腫が子宮広間膜内に出来ると広間膜内筋腫と呼び、膀胱を圧迫し頻尿になります。動脈や周りの組織と癒着すると手術が困難で、とても厄介な状態になります。
月経の際の血液量が増えるなどの症状がないため、子宮の病気と自覚しにくい位置の筋腫です。
粘膜下筋腫
子宮筋腫の内訳でいうと非常に数が少なく、全体の約5%と珍しい筋腫です。子宮の粘膜に筋腫が出来、内膜に向かって大きくなります。
ごく小さな時期から症状がはっきりと現われ、月経の際に出血量が多くなり激しい痛みもあります。こちらも形に種類があり、コブのような形や有茎粘膜下もありますが、茎が膣内に飛び出すと筋腫分娩と呼ばれます。
筋腫は本来子宮には必要のないもので、子宮が異物と判断して排出することにより起きる症状です。この場合は手術を必要とします。
多発性筋腫
筋層内筋腫や漿膜下筋腫(しょうまくかきんしゅ)、粘膜下筋腫など一箇所ではなく、複数の位置に筋腫が出来る事もあります。20個以上も筋腫が出来るケースもありますが、子宮筋腫は良性の筋腫ですので治療をきちんと行えば命に関わるような病気ではありません。
子宮筋腫は婦人科の診察で簡単に見つけることが出来ます。
腹痛や貧血など月経からと思って我慢していた症状も、筋腫がある場合は治療によりかなり改善されます。
また重症ではないからと放っておくと、後の治療が困難になる場合があります。少しでも異変を感じたら一度受診してみましょう。
まとめ
子宮筋腫って、位置によって症状が違うの?
そもそも子宮ってどうなっているの?
子宮のどこに筋腫ができるの?