子宮から膣に繋がる細い管状の部分を子宮頚管と呼びます。子宮頚管の粘膜がキノコ状の腫瘍となって発育したものが子宮頚管ポリープです。自覚症状に乏しく検診などで偶然見つかることも多く、再発しやすいことも知られています。
子宮頚管 ポリープ はどのように対処すればいいのでしょうか。
早い対応で楽に治せる子宮頚管ポリープ
子宮頚管ポリープとは
ポリープとは粘膜から発生したイボのようなもので、胃や腸、声帯などのポリープはよくご存じのことと思います。子宮から膣に繋がるトンネルのような子宮頚管の粘膜が茎を持つキノコのような形に増殖して膣内に垂れ下がってくるのが子宮頚管ポリープです。
子宮頚管ポリープは赤くて柔らかいもので、米粒大から大きくなると小指大以上の大きさになってしまうことがあります。
大半の場合、ポリープは1個できますが、中には同時に2個、3個と複数のポリープができるようなこともあります。
好発年齢は30~50代の女性で、出産経験のある方に多いとされています。子宮頚部に慢性的に炎症を持っている方に多いとも言われていますが、原因は現在のところ特定されていません。
子宮頚管は柔らかい部分なので充血しやすく、刺激を受けると出血することがあります。実際、生理以外の不正出血で外来を受診し、子宮頚管ポリープが見つかったという方も多くみられます。
ポリープが小さいうちは出血と言っても茶褐色のおりもの程度なので、見過ごしてしまう方もあるようです。
ポリープが大きくなると組織全体に血液が行き渡らなくなるためにポリープが壊死し始めます。そうすると、刺激がなくても出血するようになってしまいます。
出血以外の自覚症状がないために婦人科検診でたまたま見つかった方や妊娠して初めての診察で見つかったという方も多いようです。
子宮頚管ポリープの治療
出血もなく、ポリープの表面がきれいな場合は経過観察と言って定期的な検診を勧められるということもあります。ただし、放置しても自然消滅することはありません。また、出血が度重なるようになってくると切除が勧められます。
切除は膣から挿入した器具によってポリープの根元をねじり取る形をとります。痛みもほとんどなく、小さなポリープは外来で切除できるようです。昨今では止血と再発防止のために電気で焼灼したり、凍結したり、レーザー処理を施したりする医療施設もあります。
もともとの子宮頚管の炎症が治癒しなかったり、切除したもののポリープの根の部分が残っていて再発をするということも珍しくありません。
子宮頚管ポリープはほとんどの場合良性のものであるとされていますが、切除したポリープは組織検査を行って病変の良性・悪性を確認します。
子宮頚管ポリープの問題点
検診で偶然見つかることからもわかるように子宮頚管ポリープは目視でわかりやすい部位にできるポリープです。専門医であればポリープの形や表面の様子を見れば、良性のものであることのおおよその判断ができると言われています。
しかし、切除した病変を病理検査してみないと良性・悪性の確定診断はできません。2014年に日本産科婦人科学会から発表されたガイドラインによれば、子宮頚管ポリープは悪性のがん細胞に変わる可能性は非常に低いものの、0.1パーセントは悪性腫瘍であるということです。
ポリープが小さいうちは外来で小さな鋏のようなもので切除する処置ができますが、大きくなってしまうと電気メスを使用しての切除となり、1日程度の入院が必要となります。
妊娠中の子宮頚管ポリープは感染症を引き起こしやすくなって妊娠の継続に悪い影響を及ぼす場合があります。厄介なことに切除手術が流産の確率を高めるという報告もありますので、専門医による注意深い経過観察が必須です。経過観察を続ける場合もありますし、胎盤の完成を待って切除する場合もあります。
妊娠を望む方も望まない方も定期的な婦人科検診をきちんと受けることが大切になってきます。また、不正出血など普段と違うことがあった場合もためらわずに専門医を受診するようにしましょう。
対処が早ければ体の負担の少ない治療ですみます。再発も多いことがわかっていますので、治療後の検診も怠らないようにしましょう。
まとめ
早い対応で楽に治せる子宮頚管ポリープ
子宮頚管ポリープとは
子宮頚管ポリープの治療
子宮頚部ポリープの問題点