子宮頸がんはヒトパピローマウイルスに感染することにより引き起こされます。このウイルス(HPV)はヒト乳頭腫ウィルスとも言われ100種類以上確認されています。
子宮頸がん の検査にはコルポスコープ、HPV検査、細胞診検査があり、「 クラス 」という言葉は細胞診検査の結果報告で使われます。
クラス?子宮頸がん検査で使われるクラス分類の見方と解説。
子宮頸がんとは
子宮頸がんは生理が始まったらどなたでもなる可能性があります。近年では若い世代(20代~30代)の発症率が20年前と比較し2倍に増加しています。子宮頸がんの好発年齢は25歳~40歳となっていますが、それ以外の年齢でも発症します。
子宮頸がんはHPVに感染することにより発症しますが、100種類のHPVすべてが子宮頸がんを発症するわけではなく、高危険度~低危険度に分類されています。
また、HPVに感染しても子宮頸がんを発症するまでに何年もかかるため、毎年、健康診断を受けていただければ前がん病変(がんになる前の細胞の変化)の状態で発見することができます。そのため子宮を温存し治療をすることが可能です。
ヒトパピローマウイルス(HPV)とは
ヒトパピローマウイルス(HPV:Human papillomavirus)は昔から存在しており、子宮頸がんとの関連性は古くから言われていました。しかし、子宮頸がんのほぼ100%がこのHPVによって引き起こされるのだとわかったのはここ10年ほどのことです。
HPVは粘膜や皮膚から感染し、その粘膜細胞や皮膚細胞に留まります。そのため、白血球(血液の中にいる防衛隊)が感染したことに気づきにくい状態になり体の防衛機能が働かず、長期にわたり細胞内に留まることになります。
しかし、感染しても2年以上留まれるのは10%程度であり、大概は自然消退します。これは、皮膚や粘膜は剥がれ落ち、新陳代謝しているためです。HPVにはハイリスク型(細胞が感染すると癌化しやすい)とローリスク型(細胞が感染しても癌化しにくい)にわけられています。
ハイリスク型は16、18、31、33、35、39、45、51、52、56、58、59、68、69、73、82型で、子宮頸がん症例のほぼ100%でハイリスク型に感染していると報告されています。
細胞診検査とは
細胞診検査とは日本臨床細胞学会による資格を取得した細胞診指導医や専門医および細胞検査士が人体より採取された細胞を顕微鏡で確認する検査です。
頸がん検診における細胞診検査の流れは、子宮がん検診の申し込みをしていただき、各検診場所で子宮頚部の細胞を綿棒など使い、医師または看護師に採取してもらいます。
その採取された細胞を専用ガラスに塗布し、パパニコロウ染色という細胞診特有の染色を行い、顕微鏡で観察します。その結果を病院医師および検診受診者にご報告します。この報告書にクラス分類が使われています。
クラス分類とは
細胞診の染色方法を発案したパパニコロウ博士により作られた分類です。クラス分類、日母分類、パパニコロウ分類は同じ意味で使われています。
クラス分類が細胞診報告書に使われているのは現在日本だけであり、日本以外の国では「ベセスダシステム」という分類で報告様式が統一されています。
2009年4月以降、日本でも環境が整った施設から順次「ベセスダシステム」と「クラス分類」の併記または「ベセスダシステム」のみの報告様式に移行しています。
- クラスⅠ:異型細胞を認めない。正常細胞のみである。
- クラスⅡ:異型細胞を認めるが良性である。炎症性異型上皮を認める。カンジダ、トリコモナス、ヘルペス、細菌感染症や萎縮性膣炎などが含まれます。
- クラスⅢ:悪性を疑うが断定できない。
- クラスⅢa:悪性も考えられるが良性の可能性が高い。
- クラスⅢb:良性も考えられるが悪性の可能性が高い。
- クラスⅣ:ほぼ、癌の可能性が高い。上皮内癌など。
- クラスⅤ:癌である。微小浸潤癌や浸潤癌である。
上記がクラス分類です。
まとめ
クラス?子宮頸がん検査で使われるクラス分類の見方と解説。
子宮頸がんとは
ヒトパピローマウイルス(HPV)とは
細胞診検査とは
クラス分類とは