線維筋痛症 はリウマチ性疾患ですが難病指定されておらず、日本ではまだ認知度の低い病気と言えます。
日本には約200万人ほどの患者がいると考えられていますが、医療機関での認識が低いことからきちんとした診断や治療を受けることができていない人も多く存在するといわれている病気です。
線維筋痛症ってどんな病気?
線維筋痛症とは?
線維筋痛症は全身に原因不明の激しい痛みとこわばりが生じる病気であり、リウマチ性疾患に分類されています。もともとは心因性リウマチ、非関節性リウマチ、軟部組織性リウマチ、結合組織炎などと呼ばれていましたが、1990年に新たな疾患概念が提唱されて定着しつつあります。
繊維筋痛症の症状のなかでも診断の基準に用いられているものに、全身に点在する18箇所の圧痛点があります。
これらの部分の痛み以外の症状はとても多様であり、倦怠感、疲労感、睡眠障害、うつ状態、頭痛、過敏性腸症候群、逆流性食道炎、過活動性膀胱、ドライアイ、ドライマウス、記憶障害などさまざまなものがあります。
繊維筋痛症は圧倒的に女性に多く、なかでも30代から50代の人に多く発症しています。多岐にわたる症状のため、更年期障害や不定愁訴として片付けられてしまったことも多くあったようです。
症状の現れ方は?
繊維筋痛症は体のある部分が原因もなく痛んだり、しつこい痛みが続くことから始まり、次第に痛みは全身に広がっていきます。それと同時に激しい疲労感や不安感、気持ちの落ち込み、不眠、目や口の渇き、しびれ、関節の痛み、全身のこわばりなど多岐にわたります。
以下に繊維筋痛症の重症度の5段階のステージをご紹介しますが、ステージ2以上では日常生活が困難になります。
ステージ1
18箇所の圧痛点のうち11箇所で痛みがあるが生活に支障はない
ステージ2
手足の指の末端部に痛みが広がり、不眠、不安感、うつ状態が続く
ステージ3
激しい痛みが持続し、爪や髪への刺激、温度・湿度変化など軽微な刺激で激しい痛みが全身に広がる
ステージ4
痛みのために自力で体を動かせず、ほとんど寝たきり状態に陥る。自分の体重による痛みのため、長時間同じ姿勢でいることができない
ステージ5
全身の激しい痛みの他、排泄の障害、粘膜の乾燥、尿路感染など全身に症状がでる
症状には個人差が大きく、痛みが軽い人もいれば自力での生活が困難になるほどの強い痛みが生じる人もいます。
その痛みは末期の癌患者と同じレベルと言われるほどで、万力で締め付けられたり、キリで刺されるような痛みとも表現されます。五感が著しく過敏になるため、光や音、軽い接触などでも激痛が走るようになります。
リウマチやその他の膠原病や免疫疾患などを併発することも多く、ストレスや精神状態にも大きく左右されることから、症状は複雑でより理解されにくいものとなっています。
線維筋痛症は不思議な病気
線維筋痛症はとても不思議な病気で、血液検査等を行ってもほとんど異常がなく、この病気を診断できる検査機器はありません。
また逆に、一般検査に異状がないことが前提となり、「繊維筋痛症診療ガイドライン」にある全身18箇所の圧痛点に痛みがあるかどうかなどを確認して診断を行っていきます。
このように難しい病気であるために、正しく診断されなかったり、まともに治療を受けることができなかったりしたことも多くありましたが、病気の認知度も次第に高くなり、以前よりも治療を受けやすい環境にはなってきました。
しかし、相変わらず繊維筋痛症の治療を受けることができる医療機関は限定されているという状況です。
線維筋痛症の治療について
線維筋痛症そのものに効く特効薬というものは残念ながら存在しないため、さまざまな症状にあわせた薬を組み合わせて投薬するというのが主な治療になります。
近年ようやく繊維筋痛症による疼痛に対して「リリカ」などの薬剤が保険適応となりましたが、残念ながらそれだけ投与すれば治るというような簡単な病気ではありません。
今現在行われている投薬治療としては、前述の薬のほかに、抗うつ薬、抗てんかん薬、鎮痛剤などを組み合わせる方法が主流となっています。
さらに、リウマチの薬や睡眠薬などさまざまな薬も組み合わせながら、その患者さんに合った投薬を探していくという作業が必要になります。
まとめ
線維筋痛症ってどんな病気?
線維筋痛症とは?
症状の現れ方は?
線維筋痛症は不思議な病気
線維筋痛症の治療について