三半規管 が 弱い と楽しいはずの旅行が乗り物酔いの心配で台無しになったり、昨今流行の3D映画を楽しむことができなかったりと何かと不都合なことが多いものです。
女性に多い三半規管にかかわるめまいも含めてその対策と三半規管の鍛え方についてご紹介いたします。
こうして鍛える弱い三半規管
三半規管の構造と働き
三半規管は内耳の前庭という部分につながっている半円形をした3本のチューブ状になったものの総称です。本数と形がその名前の由来となっています。
それぞれ前半規管、後半規管、外半規管または水平半規管と呼ばれ、それぞれが90度の角度で傾いて隣り合っています。あらゆる三次元の回転運動を感知して、体の平衡感覚を司っている器官です。
半規管の外側は骨でその内側に膜があり、内部はリンパ液で満たされています。人の頭が回転すると三半規管の内部のリンパ液が流れ内部にある有毛の感覚細胞を刺激します。その刺激が前庭神経から脳に伝達されることによって人は回転を感じ取ることができる仕組みになっています。
乗り物酔いはどうして起こるのか
電車や車に乗ると人は車窓からの風景を見ることで自分の状態を把握します。これは視覚の働きです。
一方、三半規管は振動などの体感によって体の状態を把握します。このふたつの情報にはずれがあり、脳は混乱をきたしてしまいます。乗り物酔いは混乱した脳が自分の体の状態を把握できなくなって気分が悪くなることだと言えます。
3D映画を観る場合も乗り物酔いと同じメカニズムが働きます。映画館の椅子は動かないのですが、視覚からもたらされる情報と体感からもたらされる情報の落差が激しいので乗り物では酔わない人でも気分が悪くなることもあるようです。
乗り物酔いをしやすい人は三半規管が弱く平衡感覚を保つことが苦手であると言うことができます。
三半規管の鍛え方
荒波にもまれる漁師にも最初は船酔いに苦しんだという例があるようです。乗り物酔いの発症のメカニズムでご紹介したように視覚と体感の情報のずれに脳が混乱をきたさないようにする一番の近道は脳をその状態に慣れさせることのようです。
漁師のように職業上の理由で乗り物酔いを克服せざるを得ない場合は慣れるという荒療治が一番と考えられているようです。
日常生活に取り入れやすい三半規管の鍛え方としては、後ろ向きに歩くことやスキップをすることなどがあげられます。鉄棒やでんぐり返し、トランポリンなどの運動も効果があります。
いずれも日常生活では経験しないような体の動きを体験するという共通点があります。減感作療法のように徐々に脳にさまざまな動きに慣れさせていくのです。
三半規管とめまい
女性に多い回転性のめまいの原因は三半規管にあることが多いようです。ただし、乗り物酔いの場合と違い三半規管そのものが強いか弱いかという問題ではありません。
最も多い良性発作性頭位めまい症は、三半規管の隣にある前庭に敷き詰められた状態になっている耳石がなんらかの理由で三半規管に入り込むことが原因です。
耳石によって三半規管の内部のリンパ液がスムーズに流れなくなると平衡感覚が乱れてめまいを感じるのです。
自宅で改善するには寝転がって上向き、右向き、左向きと10秒おきに寝返りを打つことが非常に有効です。また、枕を高くすることで三半規管に耳石が入りにくくなるということもわかってきました。
次いで多いのはリンパ液の増加が原因のメニエール病や内耳炎や前庭神経炎のような炎症が原因のめまいです。
リンパ液が過剰になる原因としては自律神経失調症やウイルス感染、ホルモンのアンバランス、内耳への血行障害などが考えられます。
家事や育児と仕事の両立などで多忙を極める女性にこの病気が多いのは、慢性的な睡眠不足が自律神経のバランスをくずすからではないかと考えられています。
その結果、免疫力も低下するので三半規管も前庭もウイルスに侵されやすく炎症を起こしがちになるというわけです。良性発作性頭位めまい症のめまいが長くても1分ほどのめまいであるのに対して、これらを原因とするめまいは30分から一日中続くことさえあります。
メニエール病はめまいのほかに耳鳴りや難聴などが起こり、治りにくい難病と言われてきましたが、昨今では解像度の高いMRIで耳の奥の原因となっている水ぶくれを見つけることができるようになりました。
現在のところ水ぶくれを抑える方法として水分摂取の抑制や利尿剤の服用などが行われています。また、手術や中耳加圧療法を選択する場合もあるようですが、いずれにせよかかりつけ医とよく相談して治療を進めることが大切です。
まとめ
こうして鍛える弱い三半規管
三半規管の構造と働き
乗り物酔いはどうして起こるのか
三半規管の鍛え方
三半規管とめまい