寝不足や疲れが溜まったときなど、一時的にめまいを感じたことのある方は意外にも多いのではないでしょうか。めまいのほとんどは、自然に改善する 良性発作性頭位めまい症 だといわれています。そのため、特別な治療はおこないません。
しかし、稀に重い症状が続いたり、何度も再発を繰り返す方がいます。そのような方は、自宅でも簡単にできる 体操 によって、改善が期待できます。
めまい体操が効果的な良性発作性頭位めまい症(前編)
耳が原因の回転性めまいとは
景色が回転してみえるというような、回転性のめまい症状の原因は耳にあります。耳の中には内耳という部位があり、その中には耳石と呼ばれる炭酸カルシウムの結晶があります。
私たちの身体の傾きに合わせて、耳石が傾くことにより、身体が傾いているという情報を脳に伝達し、平衡感覚を保っているのです。
耳石が何らかの原因によりあるべき所からはがれ三半規管に入り込んでしまうと、身体の傾きとは異なる誤った情報として認識され脳に伝達されてしまいます。それにより、目が回ったように感じ、吐き気やおう吐を伴うこともあります。
しかし、症状の程度に差はあるものの、ほとんどは予後良好の良性発作性頭位めまい症だといわれています。
すぐに治まるめまいであれば、良性発作性頭位めまい症と判断できますが、めまいが続いていたり他にも症状が伴う場合は、他の疾患を疑う必要があります。
また、回転性のめまいが良性発作性頭位めまい症の特徴ですが、浮遊感や目の前が真っ暗になるというようなめまいの場合も、他の疾患の可能性も疑い早めに受診するようにしましょう。
治療は対症療法しかない?
良性発作性頭位めまい症と診断された場合は、特別な治療をおこなう必要はありません。しかし、吐き気がある場合に制吐剤を処方されたり、あまりにも症状がつらく、内服も困難なときには薬の投与や水分、栄養補給を目的とした点滴治療がおこなわれることもあります。
このような対症療法が、良性発作性頭位めまい症の治療の基本になりますが、根本的な治療にはなっておらず再発を繰り返す方もいます。根本的に治すためには、はがれて違う場所にある耳石をあるべきところへ戻すことが必要です。
その方法が、エプリー法または浮遊耳石置換法といわれる手法です。
まず、内耳の中にある耳石が、重力によって少しずつ元の場所へ移動するように、体勢を変えながら頭の位置を回転させていきます。このとき、ひとつの姿勢を約30秒ずつおこなっていきます。
最後には、耳石が元の場所に戻ったかどうかを判断するために、回転性めまいがおこったときの体勢をとり、めまいがおこらないことを確認します。
手法としてはそれほど難しいものではありませんが、頭を動かすことによりめまいを誘発させてしまいます。そのため、医療機関を受診して専門の医師による診察を受けた上で実施してもらうと安心して受けられるでしょう。
まとめ
めまい体操が効果的な良性発作性頭位めまい症(前編)
耳が原因の回転性めまいとは
治療は対症療法しかない?