良性発作性頭位めまい症という長い名前の病気をご存知でしょうか。めまいの症状に中で最も多く、特に中高年の女性に多い病気だと言われています。
良性発作性頭位めまい症 の 原因 をその対策も含めてご紹介いたします。
中高年女性に多発する良性発作性頭位めまい症の原因と対策
良性発作性頭位めまい症とは
良性発作性頭位めまい症とは、寝たり起きたりするときに30秒から1分程度の回転性のめまいがする病気です。耳鳴りや難聴、手足のしびれなどその他の神経症状は伴いません。
また、首を後ろにそらしたり、後ろを振り向いたりしたときに浮動感として違和感を感じるような場合もあるようです。美容院でのシャンプーや歯科診療などの際に回転性めまいだけではなく、浮動性めまいや立ちくらみなどとして感じる方もあるようです。
中高年の女性に多く、特に更年期以降に多くみられる症状であることがよく知られています。
良性発作性頭位めまい症の原因
内耳にある卵形嚢の中にある耳石が剥がれ落ちて、同じく内耳にある三半規管に入ってしまうことが良性発作性頭位めまい症の原因であると言われています。
耳石とは三半規管の根元の前庭というところにあるカルシュウムの結晶です。異物である耳石が三半規管に入ってしまうと、その半規管だけ中に入っているリンパ液の流れる速さが変わってしまいます。
ご存知のように三半規管は前半規管・後半規管・外半規管の3つの半規管によって構成されていますが、耳石の入ってしまった半規管だけは実際の頭の動きとは違う情報を脳に送ってしまいます。
この情報は当然他の半規管から送られる情報と食い違ってきますので、そのことがめまいの原因になってしまうのです。
良性発作性頭位めまい症によるめまいが30秒から1分で治まるのは、頭を動かした後に頭の動きが止まるとやや遅れて三半規管の中のリンパ液の動きも止まるので、三半規管からのさまざまな情報も脳に送られなくなることが原因です。
また、頭をある特定の方向に動かしたときだけにめまいを感じるのは、3本ある半規管がそれぞれの方向を別々に担当しているためで、耳石の入ってしまった半規管の担当する方向に頭を動かしたときにめまいを感じるようになるという理由です。
耳石が三半規管に入ってしまう原因としては、頭部外傷・内耳の感染症・内耳障害・加齢に伴う変性などと言われていますが、睡眠中の姿勢との関連も指摘されていますので、いつも同じ向きで寝る習慣のある方で良性発作性頭位めまい症の症状を繰り返す方は意識的に向きを変えるなどの就床時の工夫も必要です。
良性発作性頭位めまい症の治療と対策
良性発作性頭位めまい症も他のめまい症と同様にめまいの症状が強くて吐き気を伴うなどの場合には、内服薬や点滴で症状の軽減をはかります。
上述したように良性発作性頭位めまい症のめまいは耳石が三半規管に入ってしまったことが原因になっていますので、耳石がなくならないかぎりは症状が完全になくなることはありません。
耳石は内耳の暗細胞で再吸収されて消失することもありますが、治療としては異物である耳石をできるだけ早く取り除くことが必要になります。
耳石は頭の位置や動かし方によってたまたま三半規管に入ってしまったものですので、頭を特定の順番で動かすことで入ってきたのと逆の方向に排出させるという考え方に基づいて行われるのがEpley法に代表される方法です。
この方法は耳石がどの三半規管に入っているのかを特定する必要がある上に、どこに入っているかで頭の動かし方が違うなどという難しい点があります。
昨今ではROM(rolling-over maneuver)という誰でも簡単にできる寝返り運動が勧められることが多いようです。
「仰向けになって天井を見て10秒止まる・右を向いて10秒止まる・仰向けになって天井を見て10秒止まる・左を向いて10秒止まる」という一連の運動を1セットとして朝晩2回10セット繰り返すことで7~8割の方の症状が改善したという報告があります。
また、枕を高くすることでも三半規管に耳石が入ることが防げると言います。就床時の姿勢を一定にしないことも含めて取り入れてみてはいかがでしょうか。
まとめ
中高年女性に多発する良性発作性頭位めまい症の原因と対策
良性発作性頭位めまい症とは
良性発作性頭位めまい症の原因
良性発作性頭位めまい症の治療と対策