欧米に比べ、日本は卵巣がんの患者数が少ないといわれていますが、最近増加傾向にあります。卵巣は沈黙の臓器と呼ばれており、そこで異変が起きていても、私たちにそれを自覚症状として教えてくれません。
卵巣がん においてもそれは同様で、検査で腫瘍が発見されるケースがほとんどです。しかし、典型的な 初期症状 がありますので、ここで確認しておきましょう。
見逃さないで!卵巣がんの初期症状
卵巣がんとは
卵巣がんは、卵巣に発生する悪性の腫瘍のことで、悪性卵巣腫瘍とも呼ばれています。卵巣は腫瘍ができやすい臓器ですが、腫瘍が良性の場合が約9割、そして悪性(卵巣がん)の場合が約1割です。
腫瘍は、卵巣の表層上皮、胚細胞、そして間質細胞で発生しますが、卵巣がんは表面上皮で発生します。突然発生し急激に増殖する漿液性腺がん、そして比較的ゆっくりと発症する非漿液性腺がん、に大別されます。
前者は腫瘍がさほど大きくならないうちに、腫瘍がすっとお腹のなかで広がり、大量の腹水を伴ったがん性腹膜炎になります。
卵巣がんの好発年齢は40代以降ですが、50代以降の閉経後の女性において卵巣腫瘍が発見された方の約6割で卵巣がんと診断されています。
卵巣がんの初期症状
沈黙の臓器と呼ばれる卵巣ですので、異変がなかなか自覚症状として出にくい特徴をもっています。しかしながら、卵巣がんの典型的な4つの初期症状がありますので、見逃さないためにも、しっかりと確認しておきます。
まず、「腹部の膨張感あるいは腹部の周囲が大きくなる」です。最近太ったかも?と勘違いされる方も多いようですが、卵巣そのものがそれほど大きくない臓器ですので、腫瘍が少しでも大きくなっている場合は膨張感や腹部周辺のサイズアップが感じられます。
横になっている体勢でも膨張感を感じる場合は、卵巣がんが進行している可能性が高いですし、大量の腹水が溜まっている可能性もありますので、すぐに病院を受診してください。
つぎに、「骨盤や腹部の痛み」です。骨盤あたりに痛みがあるのは腫瘍が大きくなってきていることから圧迫をうけているためです。茎捻転を起こしている可能性もあり、激痛が走る場合は危険です。
そして「食欲がないのに満腹感がある」です。腹水や腫瘍による圧迫により満腹感を感じています。満腹感を感じているので自然と食欲が出ない場合もあります。食べているのに体重が落ちてきた場合も注意が必要です。
そして「トイレが近くなるあるいは排尿が困難になる」です。これも腫瘍が大きくなってきているので膀胱が圧迫されているためです。膀胱炎だと勘違いする方もおられます。
この4つの症状が出ている場合は、卵巣がんのリスクが非常に高くなっています。統計資料として、この4つの症状が出ている場合に医療機関へ行くと、約6割で早期卵巣がん、そして約8割で後期(進行)卵巣がんが検出されています。
医療機関での検出率の高さからも、絶対に初期症状を見逃してはいけません。上記のような異常を感じたら、すぐに病院を受診することが大切です。
卵巣腫瘍の良性と悪性の区別
卵巣で腫瘍が発生しているあるいは病状が進行悪化していても、ほとんどの方で自覚症状が出ないのが現状で、婦人科の検査で偶然腫瘍が発見される場合がほとんどです。
卵巣の腫瘍の検査方法として、CTやMRI画像、そして採血による腫瘍マーカー検査があります。ここで、ある程度腫瘍が良性なのか悪性なのか予想されます。つまり、卵巣がんの疑いがありそうだ、と診断されます。
卵巣がんの場合は、水、粘液、血液成分の他に充実部と呼ばれる部位が増殖し増大する特徴をもっているため、CTやMRI画像診断により、その有無を確認できます。
また、がん(悪性腫瘍)は転移する性質をもっていることからも、画像診断によって腫瘍の転移がみられるかどうかも判断材料になります。
さらに、腫瘍マーカーでは、CA125そしてCA19-9という数値が調べられ、正常であれば良性、高値であれば卵巣がんの可能性が高いと診断されます。
しかしながら、現実では、卵巣腫瘍の良性と悪性の区別をするのは非常に難しいといわれており、腫瘍の一部を採取し病理組織検査を行わない限り区別がつかないといわれています。
良性だと思って放っておいた、あるいは上記の検査で良性だと診断されていたのに病理組織検査をしてみたら実は腫瘍が悪性(卵巣がん)だったということもあるからです。
まとめ
見逃さないで!卵巣がんの初期症状
卵巣がんとは
卵巣がんの初期症状
卵巣腫瘍の良性と悪性の区別