「ピロリ菌感染は胃がんのリスクが?!除菌にも問題が?(前編)」では、ピロリ菌の感染経路についてお伝えいたしました。後編では、 ピロリ菌 の 感染 検査や除去方法についてお伝えいたします。
一度ピロリ菌の完全除去をおこなった人が再びピロリ菌感染する可能性は非常に低いようです。
ピロリ菌感染は胃がんのリスクが?!除菌にも問題が?(後編)
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ピロリ菌の感染検査とは?
ピロリ菌感染の予防のためにピロリ菌除去をすることはさまざまな疾患予防には結びつくことは確実とされています。ではピロリ菌感染しているかどうかを確認するための検査はどのようにおこなわれるのでしょうか。
1つ目は内視鏡を使った方法です。内視鏡を使ったやり方にもいくつか方法があります。鏡検法は胃の粘膜の一部の生検組織を染色し、顕微鏡でピロリ菌の有無を確認する検査です。
迅速ウレアーゼ法は胃の粘膜組織を採取してpH試薬で反応をみます。ウレアーゼという酵素を分泌し尿素を分解してアンモニアを作る働きをもつピロリ菌の性質を利用し、pH試薬にアンモニア反応があった場合はピロリ菌感染しているということになります。
さまざまな検査方法の中でも誤判定が出づらく非常に精度が高い方法とされています。
培養法は胃の粘膜の組織からピロリ菌の発育しやすい環境下で一週間程度培養して感染の有無を確認します。以上が内視鏡を使った検査となりますが、内視鏡ではあくまでも胃粘膜の一部の組織の採取にすぎないため正確な判定とは言い難いという医師の意見もあります。
2つ目は内視鏡以外の方法です。こちらもいくつか方法があります。尿素呼気検査法はピロリ菌が尿素を二酸化炭素とアンモニアに分解する働きを利用します。尿素を含んだ検査薬を口から入れ15分から20分後の呼気を採取して二酸化炭素量によってピロリ菌の有無がわかります。
痛みなども感じず非常に精度も高いため判定方法としては非常に適しています。
次は尿中・血液中抗体測定法です。ピロリ菌感染した場合、ピロリ菌に対抗するために血液中や尿中に抗体が存在するようになることを利用して感染判定をおこないます。
しかしこの検査では生息中のピロリ菌だけでなく死菌に対しても陽性判定が出てしまう可能性があります。便中抗体測定法は検便から抗原の有無を確認して感染を判定します。痛みもなく簡単な検査のため幼児に対する検査にも利用されます。
ピロリ菌の除菌方法とは?
実際にピロリ菌感染していた場合はそれを除菌する方が胃に関するさまざまな疾患の発症リスクを低下させます。除菌方法としては一般的に抗生物質2種類と胃酸の分泌を抑える薬を一週間服用することになります。
2013年からは胃潰瘍や十二指腸潰瘍、突発性血小板減少性紫斑病、胃MALTリンパ腫、早期胃がん、慢性胃炎罹患者のピロリ菌除菌では保険適用となりました。除菌のために処方された抗生物質は処方された分を飲み切らないと完全に除菌できない可能性が高くなります。
またピロリ菌の除菌治療過程では約1割程度の人に対し薬により口内炎、腹痛、発疹、下痢、発熱などの副作用も報告されています。副作用を疑う症状があらわれた場合は薬の服用の継続か否かも含め医師からの指示をあおぎましょう。
しかしピロリ菌除菌治療をおこなった人全員が完全に除菌できるわけではありません。1次除菌治療においては7割以上、2次除菌治療では約9割以上の人に除菌が成功すると言われているため高い成功率ではありますが、一方で約1割弱の人たちは除菌失敗という結果となっています。
もし3次除菌治療する際には保険が適用されないため全額自己負担となります。また除菌後に一部の人に逆流性食道炎を発症、または除菌前に逆流性食道炎だった人は症状が悪化したという報告もあります。
ピロリ菌除去をすることで胃がんをはじめさまざまな疾患の発症リスクを低くすることは確かですが、その除菌治療において、または治療後には一部の人たちには軽度のものが多いとはいえ問題が発生していることも頭に置く必要があります。
ピロリ菌の感染検査をおこなって感染が認められた場合は、医師にその時の自身の体調、服用している薬などを報告したうえで除菌治療をするか否かをしっかりと検討することをお勧めします。
まとめ
ピロリ菌感染は胃がんのリスクが?!除菌にも問題が?(後編)
ピロリ菌の感染検査とは?
ピロリ菌の除菌方法とは?