今や16人に1人が罹患すると言われる乳癌。早期発見できれば治る確率も高いと言われる一方女性の死因の上位に入る病気でもあります。
手術によって乳房を失う事もあり女性には大変辛い病気でもあります。一体どうしたら 乳癌 を 予防 できるのか、乳癌の原因から考えてみたいと思います。
乳癌の予防について
乳癌の原因について
乳癌の原因については様々な説がありますが、ここでは医学的にエビデンスがある3つの項目について書きたいと思います。
遺伝子
乳癌において細胞が癌化する際には、癌化を促進する遺伝子と抑制する遺伝子が関わっていることが近年わかってきました。
この癌化を抑制する遺伝子に変異がある場合(遺伝性乳癌)や癌化を促進する遺伝子が異常発現すると遺伝子変異が起きやすくなります。その結果遺伝子変異が蓄積され癌が発生すると考えられています。
エストロゲン
乳癌の約70%は女性ホルモンの一種であるエストロゲンの影響を受けやすいという事がわかっています。
乳癌細胞にあるエストロゲン受容体にエストロゲンが結びつくことで乳癌の増殖が促進されます。従ってエストロゲンの分泌量が多い人やエストロゲンに曝露されていた期間が長い人ほど乳癌になりやすいと考えられています。
食習慣
近年の食の欧米化により、動物性脂肪の摂取量が増えたことによる肥満の増加も乳癌の原因であると言われています。
脂肪に蓄えられる女性ホルモンが癌の発生を促すと考えられています。またアルコールの多飲も乳癌発生に関係がある事が証明されています。
乳癌のリスクを高めるもの
前項で述べた通りエストロゲンに依存性のある乳癌に関しては、エストロゲンの分泌量が乳癌の発生に深く関わっているのですが、以下のような場合にエストロゲンレベルが高くなると考えられます。
- 初潮が早い
- 閉経が遅い
- 出産したことがない、または出産経験が少ない
- 高齢出産だった
- 授乳経験がない、または少ない
- 肥満である
またリスクを高めるその他の要因としては、
- 一親等以内の乳癌家族歴
- 乳腺関連の既往歴
- 乳癌の既往歴(再発や新たな癌のリスク)
- 40歳以上である
- 運動不足
- アルコールの過剰摂取
- 動物性脂肪の過剰摂取
- 糖分の過剰摂取
- 喫煙習慣
- 過度のストレス
以上の要因がリスクを高めると考えられています。中には生活習慣に関わる項目もあるので、自分でコントロール可能なものは改善するよう心がけると良いでしょう。
免疫力を上げる事の大切さ
癌細胞は知らないうちに毎日体内で作られていますが、体内で免疫機能がきちんと働くことで、作られた癌細胞を攻撃し増殖を阻み腫瘍ができるのを防いでいます。
ですが癌の勢いが免疫の力を上回ると癌が増殖してしまうので、癌にならないためには免疫力を上げる事も非常に大切です。免疫力を上げるために自分でできる事を挙げてみました。
- 規則正しい睡眠を取り交感神経と副交感神経のバランスをとる
- 軽い運動をして筋肉と血流を増やし体温をあげ、癌が増殖しにくい環境を作る
- 食物繊維や発酵食品を取り入れて体を温める食生活をする
- ぬるめの風呂にゆっくりつかり体を温めリラックスする
- 薬指以外の爪を揉んで副交感神経を優位にし血流を上げる
- できるだけたくさん笑う
免疫を上げることは癌だけでなく他の病気や怪我に対しても効果があり、健康を維持する上でとても重要です。これらの事をなるべく生活に取り入れるようにしましょう。
やはり早期発見が重要
これまでの研究で様々な原因やリスクが挙げられるようになりましたが、実際にはそれが全てとも言い切れないケースがあるのは事実です。
例えば多子多産で食生活も和食中心、喫煙も飲酒の習慣もないのに乳癌になる人もいます。その逆に生活も不規則で運動もせず日々大量のアルコールを摂取していながら乳癌にならない人もいます。
まだ解明されていない原因があると考えられるので、例えリスク要因を全て排除しても罹患の可能性は0にはなりません。結論を言えば確実な乳癌の予防法というのは残念ながら存在しないのです。
どんなに気を配って生活していても一定数は乳癌にかかります。では万一乳癌になってしまったら、どうするのが一番良いのでしょうか。
それはできる限り早期発見することです。発見が早ければ早いほど治癒率・生存率が高くなります。初期の乳癌の10年生存率は95%ですが、ステージが上がれば上がるほどこの数字は低くなります。日頃からセルフチェックと定期的な検診を受けるようにしましょう。
日頃の生活習慣でできるだけ乳癌の可能性を少なくし、もしもの時は早期発見できるような心がけをすること。これが乳癌を克服する近道ではないでしょうか。
まとめ
乳癌の予防について
乳癌の原因について
乳癌のリスクを高めるもの
免疫力を上げる事の大切さ
やはり早期発見が重要