現在、女性のがん罹患率第1位の乳癌ですが、早期から乳癌ときちんと向き合って治療することで完治することができます。そこで重要となってくるのが定期的な検査です。自発的な 検査 によって、自ら 乳癌 の早期発見につなげましょう。
より早く乳癌と向き合うために自発的な検査を
乳癌について
乳癌は乳房の中の「乳腺」と呼ばれる組織にできたがんのことです。女性が罹患するがんの第1位を占めており、がんの部位別死因では第5位となっています。
この乳癌の発生にはエストロゲンと呼ばれる女性ホルモンの1種が関与していると考えられています。エストロゲンは通常、月経終了頃から排卵前にかけて多く分泌され、妊娠に備え子宮内膜を厚くする働きを持っており、女性らしさのもととも言われています。
このエストロゲンが、ホルモンバランスの崩れによって過剰に分泌されたり、初産年齢が高い、妊娠経験がない、などによって長期にわたりエストロゲンにさらされることによって乳癌の発症リスクが上昇することが分かってきています。
現在増加傾向にある乳癌ですが、早い段階で適切な治療を受けることで完全に治すことができるがんであるため、早期発見がとても重要となってきます。
乳癌のセルフチェック
早期発見に重要なことは定期的に検査を受けることです。しかし、乳癌は自分で気付くこともできるため、普段から自分の身体と向き合うことが大切です。そこで、次のポイントに注意して、月に1回セルフチェックを行うことを習慣にしましょう。
しこりの有無
指の腹を滑らせるように使い、胸全体をチェックししこりがないかを確認(立位、仰臥位)
乳房の形
鏡の前に立ち左右差がないか、へこみや引きつれがないか、赤みやただれがないかを確認
乳頭からの分泌物
血性の分泌物がないかを確認確認
セルフチェックは月経前や直後は胸が張って正しく判断できない場合があるため、月経終了後4~5日経ってから行ってください。また、閉経後の場合は月に1回同じ日に行うようにしましょう。
乳癌の検査内容
主に医療機関で行う乳癌の検査は以下の項目で実施されます。
問診、視診、触診
生活習慣などから乳癌の危険因子の有無を確認します。また、セルフチェックと同様に医師が行い判断します。
マンモグラフィー
乳房のX線検査のことをいいます。ごく小さな石灰化でも映し出されるため、超早期の発見につながり非常に重要な検査となります。
しかし、若い女性は乳腺が発達しているため、乳腺全体が白く映し出され、石灰化と正しく区別できないことがあります。画像上石灰化は白く、脂肪が黒く映し出されます。また、X線検査は妊娠している女性は行うことができません。
超音波検査
いわゆるエコー検査のことです。マンモグラフィーと同様に重要な診断法の1つですが、こちらは画像のコントラストの差を用いて判断するため、場合によってはマンモグラフィーほど細かい石灰化を明確に判別できないこともあります。
しかし、こちらは妊婦さんでも安心して受けることができる検査になります。また乳腺が発達している若い女性もマンモグラフィーマンモグラフィーより超音波検査の方が向いていることがあります。
以上の検査で乳癌が疑われた場合、次の検査に移ります。
細胞診
これによりがんであるかの診断の決め手となります。
生検
細胞診でもハッキリと確定できない場合もあり、その際は組織検査を行い評価します。
CT、MRI、骨シンチグラフィー
がんの広がりや転移の状態が確認できます。
その他
治療法や適応薬剤の決定を目的として行われる検査があります。血液検査などであり特に身体に大きな負担がかかるような検査ではありません。
乳癌検査にかかる費用
乳癌検診の費用はマンモグラフィー検査を受けたか、超音波検査を受けたかで変わってきます。また、検診を個人的に受けたか、自治体で受けたか、会社の検診で受けたかでも負担する費用が変わってきます。
40歳以上の女性の場合は2年に1度自治体で検診を受けることができ、その場合は自治体から一部~全額負担してもらえます。各自治体により負担額は異なりますが、0~3,000円程の自己負担額で受けることができます。
40歳未満の女性の場合、自治体からの費用負担を受けることがほとんどできないため、基本的には全額自己負担となります。会社の検診で受ける場合は、その会社の制度毎で負担額は変わってきます。
全額自己負担となる場合、マンモグラフィーが5,000円前後、超音波検査が3,500円前後、両方行った場合は10,000円前後かかってきますが、更に診察代およびその他必要なケア等が加わるため、総額15,000~20,000円程になってきます。
乳癌と診断されたら
乳癌に限らず、がんと診断された患者さんのほとんどが「何かの間違いではないか」「これは夢なんじゃないか」と自分のおかれた状況を受け止めることができません。
その後、これからの人生が不安になり、怒りを覚え、絶望感を抱きます。その過程を経た後ようやく自分ががんと闘わなければならないことを受け入れることができます。そこから、スムーズながん治療が始まります。
乳癌はがんの中でも質の良いがんであり、早期に発見し適切な治療を受けることで完治することができます。また、進行していても乳癌にはいくつもの有効な治療法があり、患者さんに最適な治療法を選択することが可能です。
たとえ選択した治療法で効果が見られない場合でも、次の治療法を行うことで効果がみられる場合は十分あります。ですので、少し時間がかかっても途中で治療から逃げ出したりせず根気強く治療を続けてください。
まとめ
より早く乳癌と向き合うために自発的な検査を
乳癌について
乳癌のセルフチェック
乳癌の検査内容
乳癌検査にかかる費用
乳癌と診断されたら