みなさん、不定愁訴(ふていしゅうそ)という言葉は聞いたことがありますか。この不定愁訴の愁(しゅう)という漢字は、秋のものさみしい気落ち(心)を表す文字です。愁訴という言葉で苦しさや悲しさを嘆いて訴えるという意味になります。
この言葉どおり、いろいろな症状が出て苦しいと訴えても、その訴えた症状が常に変化し、しかも原因がわからないという状態を医療用語で不定愁訴と呼びます。
まさに 女性 の更年期に現れるこの不定愁訴。自立神経失調症の 症状 (頭痛、めまい、動悸、のぼせ、発汗など)と精神神経的な症状(不眠、うつ状態)などが相互に作用して起きる症状です。この状態が日常生活に支障をきたすような段階になると、 更年期障害 と呼ぶようになります。
女性の更年期障害の症状とは(前編)
更年期とは
卵巣の働きが低下して、生理が1年以上来ない状態を閉経といいますが、日本人の平均閉経年齢は50歳です。そして、その前後5年間の45~55歳あたりを更年期といいます。
早期閉経(日本産科婦人科学会では、43歳未満で閉経)の場合もありますので、更年期に入る時期は人それぞれです。
更年期には、卵巣機能の低下により卵巣ホルモン;エストロゲンが減少します。このエストロゲンの減少が主な原因となり、様々な症状が現れるのです。
なお、卵巣疾患で二つとも卵巣を摘出した場合は、年齢にかかわらず更年期と同様な状態になり、更年期障害に似た症状が現れます(卵巣欠落症状)。
卵巣ホルモン;エストロゲンとは
普通、みなさんが卵巣ホルモンと聞くと、まず、最初に思い描くのは子どもを作る生殖機能というイメージでしょうか。
このエストロゲンは、赤ちゃんの素である卵胞の成長を促す働きと自立神経や感情の動き、脳の働きを助ける役割もあります。日常生活を快適に過ごすためには、非常に重要なものです。
更年期障害とは
先に述べたように更年期には卵巣ホルモン、エストロゲンが減少します。その作用で自立神経・感情・脳の働きがうまく機能せず、不定愁訴と呼ばれる状態を引き起こします。
この不定愁訴は、個人差が大きく、人によって症状が強く出る場合とそうでない場合があります。日常生活に支障をきたすほど強い症状が出る場合を更年期障害と呼びます。
更年期障害はホルモンの減少だけが原因ではなく、更年期に起こりうる家庭生活の変化(子どもの自立、夫の定年退職、親の介護など)の時期でもあり、この変化によるストレスが加わり、自立神経系の症状が活発化してしまうことも一因と言われています。
男性の更年期
最近では、女性だけでなく男性にもこの更年期・更年期障害があることが分かっています。男性の症状も女性と同様です。女性は卵巣ホルモンであるエストロゲンの低下が原因ですが、男性の場合は精巣ホルモンであるテストステロンの低下が原因となります。
後編では、更年期症状でみられる代表的な症状をご紹介します。
まとめ
女性の更年期障害の症状とは(前編)
更年期とは
卵巣ホルモン;エストロゲンとは
更年期障害とは
男性の更年期