更年期特有の症状である不定愁訴。この症状が日常生活に支障をきたすような状態になることを更年期障害と呼びます。この 更年期障害 の治療は、不定愁訴の症状を 薬 で抑える対症療法とホルモン薬を投与し根本的な治療をする原因療法があります。
自分にはどの治療があっているのか、まずは医師に相談をしてみましょう。
更年期障害で薬を使った治療とは(前編)
漢方薬
漢方薬の特徴としては、通常二つ以上の天然生薬を組み合わせて配合しているため、ひとつの処方で様々な症状に対応できます。また、副作用も少なく、その効果は困っている症状だけでなく、本来、体が持っている自然治癒力を高めてくれる効果があります。
このように更年期の不定愁訴には、漢方薬の特徴はとても適していると言えるでしょう。
また、漢方薬のもうひとつの特徴として、体質を体力が充実、比較的体力がある、体力中程度、やや虚弱、体力虚弱という5段階で分けているところです。薬局などで購入できる漢方薬の注意書きにも必ず記載があります。
では、更年期障害でよく処方される三大漢方薬を見ていきましょう。
当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)エキス顆粒
体質としては、体力虚弱で冷え性、貧血があり疲労しやすく、ときに下腹部痛、頭重、めまい、肩こり、耳鳴り、動悸などがある人に用います。
この漢方薬は女性のための代表的な漢方薬で、妊婦の方にも使える薬です。
加味逍遥散(かみしょうようさん)エキス顆粒
体質としては、体力中程度以下でのぼせ、肩こり、倦怠感、便秘、頭痛、精神不安やいらだちなどの精神症状などがある人に用います。
桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)エキス顆粒
体質としては、比較的体力があり、下腹部痛、肩こり、頭重、めまい、のぼせ、冷え性などの症状がある人に用います。更年期障害以外でもしみ、湿疹、にきび、皮膚炎などにも効果がありますので、美容法としても活用できます。
抗うつ薬
次に更年期障害に伴う不眠、不安などの精神神経症状、そしてうつ症状を改善する抗うつ薬をご紹介します。
従来の抗うつ薬では、便秘や口の渇き、排尿障害などの副作用があると言われてきましたが、最近では副作用の少ないSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)、SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)というものがよく使用されます。
では、この2種類の抗うつ薬の特徴と日本にて発売されている主な薬剤名をご紹介します。
SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)
うつや不安障害の原因は、脳内のセロトニンが少なくなっていることが考えられます。このセロトニンの分解を抑制出来れば、濃度があがり、長く脳内に留まることができます。結果、セロトニンの量が増えるという仕組みのお薬です。
日本語訳である再取り込み阻害薬というのは、脳内で分泌されたセロトニンが取り込まれて、分解されないようにするという意味です。
人によっては逆の働きである不安増強・激高・抑うつ傾向がみられる場合があります。さらに、セロトニンの働きにより不眠(眠りの質が悪くなる、中途覚醒、熟眠障害)が見られます。あまり不眠が強い場合には、医師に他の薬を処方してもらうとよいでしょう。
薬剤名では、ルボックス、デプロメール、パキシル、ジェイゾロフト、レクサプロの4種類があります。
SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)
SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)はセロトニンのみを吸収、分解を抑制しますが、このSNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)は、セロトニンとノルアドレナリンの吸収、分解を抑制します。
このノルアドレナリンは、意欲や気力、判断力、集中力などに影響する物質で、この物質が減少することでうつ状態を引き起こすと言われています。この物質は交感神経を刺激しますので、SSRIと同様に不眠(睡眠が浅い)という副作用が発生します。
薬剤名では、トレドミン、サインバルタの2種類が発売されています。
後編では、ホルモン補充療法(HRT)による原因療法についてご紹介致します。
まとめ
更年期障害で薬を使った治療とは(前編)
漢方薬
抗うつ薬