口内炎 に対する 塩 の効果はあるともないとも言えません。その理由は口内炎が病名ではなく症状名であり、医学的に厳密な定義がないからです。ウイルス感染症や炎症性腸疾患、微量元素の不足、義歯の刺激などさまざまな原因で口内炎が生じます。
なかにはベーチェット病、SLEなど全身の病気にともなって口内炎が出る場合があるので注意してください。なおSLEは特に20~40歳の女性に多いとされています。
口内炎に対して塩は有効か?
口内炎に対する塩の効果
口内炎はふだん健康な人にもよく起こる症状で、その対処法は人によってさまざまだと思います。放置しておく人、病院に行く人、なかには塩を使用する人もいます。
塩水で口をゆすいで用いる人が多いのですが、なかには患部に直接塩をすりこむ人もいます(とても痛いですし、唾液ですぐに塩は流れてしまうのでおすすめではありません)。
塩は本当に口内炎に効果があるのでしょうか?医学的には“効果があるとも言えないし、効果がないとも言えない”がその応えです。その最も大きな理由として口内炎は病名ではなく症状名であることがあげられます。
口内炎とは
病名ではなく症状名である、とはどういうことでしょうか。
頭痛で考えるとわかりやすいと思います。頭痛は症状名ですが、片頭痛(へんずつう)、筋緊張性頭痛(きんきんちょうせいずつう。頭痛を起こすもっとも多い原因です)、脳腫瘍(のうしゅよう)、クモ膜下出血はいずれも病名で、すべてが頭痛の原因になります。
筋緊張性頭痛、脳腫瘍、クモ膜下出血では使用する薬や治療法は大きく異なります。
口内炎も同様で、厳密な医学的定義は存在しませんが、通常は口の中にある粘膜に生じるびらんや潰瘍(かいよう)など炎症性疾患の総称として用いられています。
したがって、その原因はさまざまで、原因によっては塩が効く可能性もありますし、一方で塩の全く効果が期待できないものも存在します。
この項では口内炎をともなう病気で、口以外に原因があるものについて特にベーチェット病、SLE(エス・エル・イー)について説明します。
なおこれら以外にもウイルス感染症(子供に多い手足口病(てあしくちびょう)やヘルペスイウルス感染症、帯状疱疹ウイルス感染症、HIV(エイチ・アイ・ブイ)ウイルス感染症など)、炎症性腸疾患(えんしょうせいちょうしっかん。クローン病や潰瘍性大腸炎(かいようせいでいちょうえん)が代表的な病気です)でも口内炎を生じますし、さらには病気以外にも亜鉛(あえん)などの微量元素不足や義歯(入れ歯)や歯列矯正の物理的な刺激で口内炎を生じることがあります。
ベーチェット病
ベーチェット病は口内炎(正確にはアフタ性潰瘍と言います)、外陰部潰瘍、皮膚症状(足や腕が赤くなる、あるいは皮下にしこり(結節(けっせつ)を触れるなどの症状が出ます。痛みを伴います))、眼症状(痛み、充血、まぶしさなどの症状が出ます。ほとんどの場合両側に出現します)の4つを主な症状とする病気です。
国の指定難病の1つであり、未だに原因がはっきりとわかっていませんが、日本では北海道や東北に多いことが知られています。
口内炎はベーチェット病にほぼ必発する症状で、一番初めに出現する症状としてもっとも多いものです。唇や頬の粘膜、舌、歯肉などに円形の潰瘍ができます。塩の効果は期待できません。いったん治っても、再発を繰り返すことが特徴です。
眼症状が進行すると失明するケースもあるために、専門的な治療を受ける必要がある病気です。
SLE
SLE(エス・エル・イー。全身性エリテマトーデスとも呼ばれます)は膠原病(こうげんびょう)と呼ばれる病気の1種で、やはり国の指定難病に含まれています。すべての年齢で起こりえる病気ですが、特に20~40歳の女性に多いとされています。
約25%に出現するとされる口内炎はふつう痛みをともないません。
口内炎だけでなく神経や腎臓、血液(赤血球や白血球、血小板の数が異常に低下する場合があります)など全身にさまざまな症状が出現しますが、なかでも皮膚症状は発症時に約70%に認められるために重要です。
口内炎以外にSLEでよく見られる皮膚所見としては、蝶形紅斑(ちょうけいこうはん。頬にできる赤い発疹が羽を広げた蝶のように見えるので、こう呼ばれます)、レイノー現象、日光過敏(強い紫外線にあたると赤い発疹や水ぶくれができます)、脱毛などがあります。
レイノー現象は寒さや冷たさの刺激で指先の色調が白色や紫色などに変化する症状で、“冷たい水に手をつけると手がしもやけのようになる”、“寒くなると手が紫色になる”などで気づきます。
一方で体重減少、発熱、だるさなど他の病気でも見られる症状に悩まされることも多く、そのためSLEであるとわかるのが遅れるケースも少なくありません。
まとめ
口内炎に対して塩は有効か?
口内炎に対する塩の効果
口内炎とは
ベーチェット病
SLE