汗は体温を調節するために必要不可欠であり、自律神経のうちの交感神経が興奮することにより分泌されます。自律神経のバランスがよい状態では、適度に副交感神経へと変わり汗の分泌が抑制されます。
しかし、 緊張 やストレス環境の下では、交感神経が優位な状態であり汗の分泌が抑制されません。さらに、 汗 の量やニオイがよりストレスとなり交感神経を興奮させてしまうのです。
緊張は交感神経を興奮させて汗を分泌させる
汗が分泌される2つのタイミング
汗は皮膚にある汗腺というところから分泌されます。分泌されるタイミングは2つあり、ひとつは体温調節です。
夏の暑いときや熱を出したときに汗をかくイメージがありますが、それは汗が皮膚表面に分泌され蒸発するときの気化熱を利用して体温を下げようとしているからです。それにより、私たちの身体は体温を一定に保っています。この体温調節を目的に汗が分泌されることを温熱性発汗といいます。
もう一つの汗が分泌されるタイミングは緊張したときです。体温調節とは関係なく緊張が原因となり汗が分泌されるものを精神性発汗といいます。
どちらの場合も、汗は交感神経が優位になったときに分泌され、適度に副交感神経に切り替わることにより汗の分泌量を調節しています。しかし、緊張により交感神経が優位な状態が続くと体温調節とは関係なく汗が分泌されてしまうのです。
交感神経が招く負のスパイラル
汗は交感神経が優位になると分泌されます。そのため、自律神経の働きが正常であり、適度に副交感神経に切り替わる場合は自ら運動したり身体を温めることにより汗をかくことは気持ちいいと感じる方もいるでしょう。
しかし、緊張により汗をかきやすい方は、その度に何とか汗が止まってほしいという思いから焦りや不安を感じるでしょう。それがさらにストレスとなり、交感神経を優位にさせ汗の分泌を助長させるという負のスパイラルを招いてしまうのです。
また、汗は自律神経によって調節されているため、自律神経失調症の方は日頃から身体にストレスがかかっている状態であるため汗をかきやすい傾向にあります。
体内環境が汗のニオイに影響
汗をかいて一番嫌なのは、汗のニオイです。酸味のようであったり、アンモニアのようなニオイなど決していいニオイとはいい難いものです。
汗を分泌する汗腺には、エクリン汗腺とアポクリン汗腺の2つがありますが、温熱性発汗も精神性発汗もエクリン汗腺からの分泌が多く、水に近い成分をしており汗自体にニオイはありません。
そのため、汗をかいてすぐに蒸発してしまえば、ニオイを感じることはありませんが、衣類や皮膚に汗がついた状態で放置してしまうとそこに雑菌が繁殖し、不快なニオイへと変化してしまうのです。
しかし、汗のニオイの原因はそれだけではありません。汗は身体の老廃物でもあります。そのため、食事や健康状態などの影響を受けます。
たとえば、老廃物を除去する機能をもつ肝臓が弱っていると汗からアンモニア臭がすることがあります。
他にも、ニンニクなどのニオイの強い食材を食べた後や便秘でもニオイのある汗が分泌されやすくなります。そのため、体内環境を良好に保つことにより汗のニオイを抑えることが期待できるのです。
自律神経のバランスを整える
汗が出るということは、それだけでも身体の機能が働いているという証です。しかし、自律神経のバランスが崩れてしまうと汗を適度に分泌したり、抑えたりすることができなくなってしまいます。
また、自律神経の乱れはうつ病やそれ以外の体調不良にも影響を及ぼします。そのため、汗の量やニオイといった悩みに限らず身体全体の調子を整える意識が大切になります。
その方法として、まずは極度に緊張しないように試みたり、ストレスを溜めないようにします。緊張の度合いは、人それぞれですが何度も同じ環境を体験して慣れるよう努力したり、リラックスできるように準備をするとよいでしょう。
ストレスは心が感じるストレスはもちろんですが、身体が感じるストレスもあります。疲れた身体を癒すためにしっかりとお風呂に浸かったり、お風呂上がりには緊張した筋肉がほぐれるように軽いストレッチをするのもよいでしょう。
夜は十分な睡眠をとれるよう、寝室を落ち着いた環境に整えることも効果があります。さらに、バランスのよい食生活を心がけ、日頃から運動を取り入れることにより便通もよくなります。
このような生活改善が1日の体内リズムを調節し、自律神経のバランスを整えることにつながります。
まとめ
緊張は交感神経を興奮させて汗を分泌させる
汗が分泌される2つのタイミング
交感神経が招く負のスパイラル
体内環境が汗のニオイに影響
自律神経のバランスを整える