先進国に多いと言われている過敏性腸症候群ですが、我が国では消化器科を受診する方の実に3分の1を占めるほどになってきています。下痢や便秘を繰り返して腹痛や腹部の不快感に悩まされる 過敏性腸症候群 の症状の改善を 食事 を通じて図る方法をご紹介いたします。
過敏性腸症候群の改善に食事からのアプローチはいかがですか
過敏性腸症候群とは
以前は過敏性大腸と呼ばれていました。研究が進むにつれて小腸も含めた腸全体に機能の異常があることがわかってきたために現在のように過敏性腸症候群と言われるようになったのです。
発症が多いのは20から40代で男女を問わずみられますが、男女比は1対1.6と言われており、やや女性に多いとされています。便秘型、下痢型、交互型の3種類に分けられるのですが、男性は下痢型が多く、女性では便秘型の方が多いようです。
主症状は腹痛・腹部不快感・便通異常です。腹痛は左下腹部を訴える方が多いようですが、痛む部位が変わるという方も珍しくないようです。発作的に差し込むような痛みを訴える方もあれば、鈍痛が続くという方もありますが、いずれの場合も便意を伴う痛みです。
腸内にガスが溜まることによって膨満感を感じたり、おなかがごろごろ鳴ったりする方も多くみられます。その他、頭痛や抑うつ感、不安感、集中力欠如など消化器以外の症状を訴える場合もあるようです。
過敏性腸症候群の診断
自覚症状があって消化器科を受診した場合、血液性化学検査・尿一般検査・便潜血検査が行われるのが一般的です。似た症状を示す他の病気である腸の癌や憩室炎、潰瘍性大腸炎、クローン病ではないことを確認します。
とりわけ50歳以上の方が3キロ以上の体重減少と下血を伴った症状を訴えられた場合は大腸内視鏡や大腸バリウム検査で器質的な疾患の有無をチェックすることになります。
過敏性腸症候群という診断が下ると食事指導と薬物療法が並行して開始されますが、この疾患は命に関わることはないとされるものの、治りにくく治療が長期に渡るため病気とうまく折り合いをつけて生活していくという姿勢が必要となります。
控えた方がよい食べ物と食べ方
過敏性腸症候群には便秘型・下痢型・交互型の3つのタイプがあります。この症状の個人差に加えてそれぞれの方に食べ物との相性とも言えるものもあって、何をどう食べれば良くなるか悪くなるかもそれぞれです。
ただし、3つのどのタイプの症状の方であっても過敏性腸症候群の多くの方に適していない食品というものがあります。
消化に長い時間を要するために腸の負担も大きくなる脂質を多く含む食品はその筆頭格と言えます。香辛料やカフェイン飲料は胃腸を刺激しますので、必要以上に腸を動かしてしまうという可能性があります。
熱過ぎたり冷た過ぎたりするものや炭酸飲料なども同様の理由でお勧めできません。また、過度のアルコール摂取は消化を妨げるということはよく知られています。
胃や腸の負担を減らすためにはまずよく噛んで食べるという習慣を身につけることが大切です。
便秘型過敏性腸症候群の方の食事
腸の動きが悪くなって起こる一般的な便秘ではなく腸の過剰な運動のために便が通りづらくなっているのが過敏性腸症候群の便秘です。便が腸内に滞る時間が長くなると水分が吸収されてしまいます。常温のノンカフェインの飲み物をこまめに摂取するようにしましょう。
腸内の善玉菌は食物繊維をエサにしていますので、食物繊維を多く含む野菜をしっかり摂ることも必要です。勿論、腸内環境をよくすると言われているヨーグルトや納豆、味噌などの発酵食品も忘れることはできません。
下痢型過敏性腸症候群の方の食事
過敏性腸症候群の方の下痢は激しく動く腸の中を通過する便のスピードが速くなりすぎて水分を吸収できないまま排出してしまうことで起こります。
何が下痢を引き起こすきっかけになるかはそれぞれです。食事内容と体調をメモしておくと、自分の下痢のきっかけが脂質の多い物なのか乳製品なのかというようなことを見極める手助けになります。
胃腸に負担をかけない食べ物は消化の良い物ということになってきますが、脂質控えめの煮物や蒸し料理などがおすすめです。胃腸を刺激しないためにていねいに出汁を取るなどの工夫をして味付けは薄味を心がけるといいようです。
まとめ
過敏性腸症候群の改善に食事からのアプローチはいかかですか
過敏性腸症候群とは
過敏性腸症候群の診断
控えた方がいい食べ物と食べ方
便秘型過敏性腸症候群の方の食事
下痢型過敏性腸症候群の方の食事