女性には特有の様々な疾患があります。 絨毛癌 もそのうちの一つですが、特に馴染みが薄い病気の一種です。初めて聞く絨毛癌、どんな病気かざっと解説します。
通常のガンとは違い、妊娠成立後にかかる癌というだけでもその特殊性が分かると思います。絨毛癌についてもう少し細かく紐解いていきたいと思います。
初めて聞く絨毛癌、どんな病気かざっと解説
絨毛癌とはどんな癌?
絨毛性疾患の一種です。絨毛性疾患とは、妊娠時に胎児由来の細胞からできる胎盤のうち母体に接する側にある絨毛細胞という細胞から起こる病気全体を指します。
具体的には胞状奇胎(妊娠した子宮内にブドウの房のようなつぶ状の構造物が発生する病気)という異常妊娠、侵入奇胎(胞状奇胎後に発生する腫瘍)、絨毛癌があります。
絨毛癌は、胎児由来の絨毛細胞から発生した絨毛細胞が癌化したものです。その為、妊娠成立後に絨毛癌になりますが、稀に卵巣や精巣にある生殖細胞から絨毛癌が発生することもあります。前者を妊娠性絨毛癌、後者を非妊娠性絨毛癌とよびます。
多くの場合、子宮に病変が見られますが肺など、他の臓器に転移巣だけが見つかり、子宮に病変が見られない場合もあります。また、非常に血行性転移を起こしやすい為、膣、肝臓、肺、脳などに転移してしまい致死性の高い癌といわれていました。
しかし、化学療法の進歩などにより飛躍的に治療成績が向上しています。
どんな人がどのくらいの確率でかかるの?原因は?
妊娠性絨毛癌は全ての妊娠に続発する可能性があります。とはいえ、胞状奇胎後の1%、正常分娩後の0.002%です。つまり胞状奇胎であったとしても100人に一人、正常分娩では5万人に一人という確率です。
絨毛癌患者の内訳を見てみますと、胞状奇胎後では50%、正常妊娠後では25%、流産もしくは子宮外妊娠後では25%です。
前述のように絨毛癌はその約50%が胞状奇胎から後に発生するため、胞状奇胎の原因について記載します。
胞状奇胎は受精時に異常がある事が原因となります。卵子由来の核が消失し、精子由来の核のみから発生する全胞状奇胎と、卵子一つに対して精子二つが受精して起こる部分胞状奇胎があります。
このように受精の異常が原因であることは分かっていますが、なぜ受精の異常が起こるのかは不明です。40歳以上でやや発生率が上がる他は、遺伝性も同一の女性が繰り返し胞状奇胎になる可能性も否定されています。
どのような症状か
胞状奇胎が発見され、治療した後も定期検査をすることで無症状の早期段階で発見することが可能です。妊娠中の不正出血、下腹部痛が見られる場合もあります。
胸の痛みや血痰、呼吸困難など、胸部に不快感を感じ、受診した際には既に肺に転移しており、元をたどると絨毛癌であったという場合もあります。
絨毛癌の疑いあり、診断はどうされるのか
腹部エコー、MRI、CTのように画像解析をすることによって調べることが出来ます。子宮および周辺組織への転移も画像解析により調べることが出来ます。
全胞状奇胎は全ての遺伝子が精子由来であり、部分胞状奇胎は精子由来遺伝子が2、卵子由来遺伝子が1である3倍体であることから遺伝子を調べることにより遺伝学的に調べることも可能であるものの、一般病院では設備がないことからこの方法で診断することは難しいです。
肺への転移が非常に高確率で起こり、自覚症状も出やすいことから、胸部レントゲン撮影で発見されることもあります。
気になる治療とその後
どの癌もそうであるように、手術で除去することが根治につながります。しかし、絨毛癌は化学療法が非常に有効な為、将来沢山の子供が欲しい女性も悲観する必要はありません。
肺などの転移巣のみ手術による治療を行い、子宮は温存するということが可能です。子宮を温存し化学療法で治療を行う際、通常は1種類の薬剤が使用されるところ複数種類の薬剤を使用します。この方法で寛解率は90%近くになります。
まとめ
初めて聞く絨毛癌、どんな病気かざっと解説
絨毛癌とはどんな癌?
どんな人がどのくらいの確率でかかるの?原因は?
どのような症状か
絨毛癌の疑いあり、診断はどうされるのか
気になる治療とその後