本人だけでなく家族まで巻き込むことの多いと言われているギャンブル依存症ですが、昨今、その病気の実態が明らかになってきました。従来、意志の問題で片づけられがちでしたが、明らかに脳に変化が起きてきていることが調査によってわかってきたのです。
ギャンブル 依存症 をいち早く チェック することはできるのでしょうか。
治療に繋げるギャンブル依存症チェック
ギャンブル依存症とは
ギャンブル依存症は他のアルコールや薬物の依存症と同じようにギャンブルへの渇望、ギャンブルの制御の困難、離脱症状、ギャンブルの頻度や掛け金の増加や高リスクの賭け方、ギャンブル以外への関心の低下、ギャンブルでの借金などの社会的な問題があってもやめられないなどという6つの特徴がみられます。
ギャンブルはアルコールや薬物と違って体内に取り入れるものではないため、離脱症状はないと考えられがちですが、現実にはギャンブル依存症患者がギャンブルを絶つと感情が乱れ、発汗や手の震え、不眠などさまざまな離脱症状に見舞われることがあると言います。
「精神障害の診断と統計マニュアル第5版」や「疾病及び関連保険問題の国際統計分類第10版」によると「ギャンブル障害」という言葉が使われていて、ギャンブル依存症という言葉を使う場合には「いわゆるギャンブル依存症」とすることが多いようです。
アメリカ精神医学会のギャンブル障害チェックシートとは
アメリカ精神医学会によれば、ギャンブル障害とは臨床的な機能障害や苦痛を引き起こす継続的で反復性のある問題賭博行動を言い、過去1年間に以下に述べる兆候の4つ以上を示すものであるとしています。
- 興奮をえるために掛け金を増額して賭博をする欲求
- 賭博の中断や中止によってのいらだち
- 賭博の制限や中止の努力の挫折
- 絶えず賭博のことを考える
- 無気力、罪悪感、抑うつなど負の気分のときに賭博をすることが多い
- 失った掛け金を深追いする
- 賭博にのめりこんでいることを隠すために嘘をつく
- 賭博のために人間関係、仕事や教育の機会を失ったり、失う危険にさらす
- 賭博で絶望的な経済状態となり、他人に借金を申し込む
サウスオークス・ギャンブリング・スクリーンとは
SOGS(サウスオークス・ギャンブリング・スクリーン)はアメリカのサウスオークス財団が開発したギャンブル依存症の自己診断のためのチェックリストです。
- ギャンブルで負けた分を取り返すためにギャンブルをしたか
- ギャンブルで負けたときに勝ったと嘘をついたことがあるか
- ギャンブルのために何らかの問題が生じたことがあるか
- 想定以上にギャンブルにはまったことがあるか
- ギャンブルのために他人から非難されたことがあるか
- ギャンブルに関して罪悪感をもったことがあるか
- ギャンブルを止めることは不可能だと感じるか
- ギャンブルの証拠を家族に隠したことがあるか
- ギャンブルが原因で家族と口論になったことがあるか
- 借りた金をギャンブルで負けてしまったことがあるか
- ギャンブルのために仕事や学業をさぼったことがあるか
- ギャンブルに使う金をどのように作ったかという
12の質問項目に対して①~③はその頻度を④~⑪はその有無を⑫は該当する金策を全てチェックするという方法で答えいくことで自己診断するものです。
このサウスオークス・ギャンブリング・スクリーンには日本人に合うように修正を加えた修正日本語版もあって、専門医でも活用している場合が多いようです。
修正版では賭け事の種類を問う設問において日本の実情に即した選択肢がある他、一日に賭けた最高金額を問う設問と両親のギャンブルに関する問題の有無を問う設問が追加されています。
ギャンブル依存症による脳の変化と治療の必要性
ギャンブル依存症患者はギャンブルで勝った時の記憶が脳に深く刻印されてしまっていて、繰り返しその刺激を求めるようになってしまい止めることができなくなると言います。
依存症というほどの状態ともなると他のゲームや娯楽のみならず、自分の関心のあるギャンブル以外の事柄に対する関心が薄れる脳の機能変化が起きてくることが脳の血流検査などの結果から明らかになってきました。
本人にギャンブル依存症の自覚がある場合もない場合も、この病気は家族が巻き込まれ、家族がパニック障害や強迫性障害をもつに至ることさえあります。
ギャンブル依存症は脳の機能変化を伴う病気であることをしっかりと認識し、家族で抱え込まず依存症の治療をしている病院や精神福祉センターなどに相談することが非常に大切です。
まとめ
治療に繋げるギャンブル依存症チェック
ギャンブル依存症とは
アメリカ精神医学会のギャンブル障害チェックシートとは
サウスオークス・ギャンブリング・スクリーンとは
ギャンブル依存症による脳の変化と治療の必要性