「発症までにみられるHIV感染を疑うエイズの症状(前編)」では、HIVの感染経路や初期症状についてご説明いたしました。後編では、無症候期にあらわれる症状やエイズを発症した場合の エイズの症状 や予後についてご説明いたします。
発症までにみられるHIV感染を疑うエイズの症状(後編)
無症候期にみられるエイズ関連症候群
無症候期には、HIVに感染していることがわかるような明らかな症状はみられません。しかし、エイズ関連症候群といわれるような、HIV感染者の多くにみられる症状があります。
たとえば、大量の寝汗、リンパの腫れ、発熱、疲労感、下痢、吐き気、体重減少などです。しかし、どの症状もHIV感染とは関係なく誰もが経験する可能性のあるものであり、長引く風邪やストレスとして片付けられてしまうのです。
その他にも、湿疹や発赤などの皮膚の異常もみられます。その際に、皮膚科を受診すると帯状疱疹やアレルギーなどと診断されることもあります。そのような皮膚疾患もHIV感染の特有の症状ではないため、すぐにHIV感染を疑うことは少ないでしょう。
このように体がHIVに感染してからさまざまな症状をあらわしているにも関わらず、HIVに感染していることが疑われない原因は、血液検査をおこなわないと判断できないという点です。誰でもかかる可能性のあるような症状であれば医師もすぐにHIV感染を疑いません。
そのため、エイズ関連症候群といわれるような症状があって病院を受診したとしても、まずは処方薬で様子をみたり、安静にして経過をみる場合が多いでしょう。
エイズ関連症候群の唯一といえる特徴は、風邪や他の疾患にみられるような一般的な症状であっても、薬で完全に治ることなく症状が長引くということです。そのため、原因のわからない症状が長引くという方は、念のために自らHIVの検査を受けることをおすすめします。
いきなりエイズを防ぐ症状の見極め
無症候期までの間に、全くHIV感染を疑うことなく経過した場合は、突然、日和見感染をおこしエイズを発症することがあります。
HIV感染は、早期に発見して適切な治療を受けることにより、エイズの発症を遅らせることができるようになりました。しかし、すでに発症してしまってからでは、早期に発見できた場合よりも予後が悪くなります。
エイズ関連症候群などのHIV感染が原因でおこる症状は、特有のものはなく、さらに人それぞれ違うということ、そして誰にでもみられる症状であることを意識しておきましょう。
それに加えて、他者の血液に触れるような経験がある方は、一般的な症状であってもまずは疑うということが大切です。
匿名で受けることのできるHIV検査は、何度でも無料で受けることができ、その場で結果を聞くこともできます。そのため、HIV感染予防を怠らないことはもちろんですが、もし気になる症状がある時には進んで検査を受けてみるということが、何よりも効果的な早期発見方法なのです。
まとめ
発症までにみられるHIV感染を疑うエイズの症状(後編)
無症候期にみられるエイズ関連症候群
いきなりエイズを防ぐ症状の見極め