足 に 赤い斑点 を生じる病気のなかに結節性紅斑があります。女性に多く、1~10cm程度の境界が不明瞭な赤い斑点が多発します。特に“むこうずね”によく出ます。病変部には痛みがあり、皮下にはしこりのような硬い部分を触れることができます。
結節性紅斑の原因には溶連菌感染症、サルコイドーシス、薬剤、妊娠、炎症性腸疾患などがありますが、原因を特定できないことも少なくありません。
足の赤い斑点は結節性紅斑かもしれません
足に赤い斑点を生じる病気
さまざまな病気によって足に赤い斑点が生じます。
代表的なものとして結節性紅斑(けっせつせいこうはん)、蜂窩織炎(ほうかしきえん。皮膚の下に細菌が感染する感染症で、ふつう病変部(=赤い斑点ができているところ)は1ヶ所に限定されます)、血栓性静脈炎(けっせんせいじょうみゃくえん。病変の皮膚の下に糸やひものようなものを触れます)、硬結性紅斑(こうけつせいこうはん。熱感や痛みがなく、皮下にしこりを触れます。潰瘍(かいよう)になることもあります。
数ヶ月以上持続することが多い病気です)があります。この項では特に女性に見られることが多い結節性紅斑について説明します。
結節性紅斑の特徴
結節性紅斑は大きさが1~10cm程度の赤い斑点が多発する病気です。赤い部分と、通常の部分との境界ははっきりしないことがふつうです。
痛みがあり、病変部の皮下にはしこりのような硬い部分を触れることができます。上述した硬結性紅斑とは違って潰瘍になることはありません。
結節性紅斑がもっとも出現しやすい部位は下腿(かたい)前面、すなわち“むこうずね”に相当するところですが、体幹、太もも、上肢など脂肪組織があるところにならどこにでも起こりえます。
赤い斑点以外の症状として、発熱、全身のだるさ、さまざまな部位の関節痛などをともなうこともありますが、必須ではありません。
結節性紅斑の原因
さまざまな原因で結節性紅斑が起こりますが、50%程度は原因を特定することができません。
原因が判明したものの中では感染症、特に溶連菌(ようれんきん。溶血性連鎖球菌も同じ意味です。)に感染した後に起こる場合が28~48%と最多です。
その他の原因としては、サルコイドーシス(11~25%。肺、リンパ節、皮膚、眼、心臓など全身の臓器に肉芽腫(にくがしゅ。にくげしゅとも言います)とよばれる病変を生じる病気で、日本では20歳代に発症のピークがあります。原因はわかっておらず、国の指定難病になっています。)、薬によるもの(3~10%。抗生剤(アモキシシリン、ミノサイクリン)、抗真菌剤(ST合剤)、経口避妊薬、抗てんかん薬(フェニトイン)など)、妊娠(2~5%)、炎症性腸疾患(えんしょうせいちょうしっかん。クローン病や潰瘍性大腸炎(かいようせいだいちょうえん)が代表的です。詳しくは他項を参照してください。1~4%)などがあります。
他にも頻度は少ないですが溶連菌以外の感染症(結核、サルモネラ、エルシニア、真菌など)、ベーチェット病(原因不明の病気で、国の指定難病の1つです。詳しくは【口内炎】の項を参照してください)、SLE(エス・エル・イー。特に20~40歳の女性に多い膠原病(こうげんびょう)の1種で、やはり国の指定難病に含まれています。詳しくは【口内炎】の項をごらんください)、悪性リンパ腫(血液がんの1種です)などがあります。
赤い斑点が出た場合、まず皮膚科を受診されることが多いと思います。それでよいのですが、サルコイドーシスや炎症性腸疾患などが疑われる場合には、内科も受診し、背景にある病気を治療していくことが必要になります。
溶連菌感染症
溶連菌は複数に分類されていますが、日常でよくかかるのがA群β溶連菌(エー・ぐん・ベータ・ようれんきん)と呼ばれるもので、学校などで流行することがあります。
A群β溶連菌は若い人(子どもを含む)に感染して咽頭炎や扁桃炎を起こします。のどの痛みや、熱が出る、首の前面のリンパ節が腫れるなどの症状を伴います。さらに頭痛、嘔気、腹痛などを生じるケースもあります。
注意が必要なのが、溶連菌感染症が原因で結節性紅斑を起こしている人でも、咽頭痛などの溶連菌感染症の症状がはっきりしない場合があることです。
そのために初めて結節性紅斑を生じた人に対しては、発熱やのどの痛みなどの症状がなくても咽頭培養(のどに感染している細菌を調べる検査です)やASO(エー・エス・オー。抗ストレプトリジン-Oのことで、溶連菌に感染した際にそれに対抗するために血液中に現れる抗体のことです。採血検査で調べることができます)のチェックを行うことが勧められています。
まとめ
足の赤い斑点は結節性紅斑かもしれません
足に赤い斑点を生じる病気
結節性紅斑の特徴
結節性紅斑の原因
溶連菌感染症