髄膜炎はそれだけでも十分な治療を行わなければ高い死亡率を持つ疾患です。しかし、治療が適切に行われても、後に 髄膜炎 の影響で悪性の 髄膜腫 を発症する場合があるため十分な注意が必要です。
それらの腫瘍の成長が進行すると転移が多発的に起こることもあり早急に対処しなければなりません。
髄膜炎によって悪性の髄膜腫を発症する場合がある
髄膜腫とは
脳腫瘍の一種で、脳の外側と頭蓋骨の内側の間にある硬膜という膜に腫瘍が発生します。よって脳自体に腫瘍が生じるものではなく脳の外側に発生し、脳を圧迫するできもののようなものです。
脳腫瘍の中では比較的一般的な脳腫瘍になり、日本脳神経外科学会の発表によると、近年の日本での脳腫瘍発症者において約20%を占める脳腫瘍で、統計の中では発症率が1位の結果になっています。
脳腫瘍の発生の頻度は年間の発症率が約1万人に1人と言われており、年間1000万人辺り200数十人の方がこの病気を発症している計算になります。
発症においては女性に特に多く、女性ホルモンとの因果関係が指摘されていますが、未だ確かな確証は持たれていません。また、子供においての発症は極めてまれな病気です。
多くの場合その腫瘍は良性で組織学的に進行が遅く、転移の心配もありません。しかし、髄膜炎の発症によってその原因である細菌が影響して発症した髄膜腫は進行が早く、転移の可能性もあることから悪性髄膜腫と言われます。
髄膜腫に伴う症状
多くの場合腫瘍が大きくなると脳を圧迫するため脳圧が高くなるため、吐き気や頭痛などが生じます。これらの症状は特に朝目覚めた時に起こりやすくなります。脳のどの箇所に腫瘍ができるかにもより症状が異なります。
吐き気や頭痛の共通症状は勿論の他、痙攣や歩行障害、物忘れや認知症、両手足の麻痺などが起こることもありその症状は多岐にわたります。
また、小脳の下に位置する後頭蓋窩に腫瘍ができた場合にはその症状が出にくく、顔面の知覚障害、神経麻痺、眼球運動障害などが見られた時点では腫瘍がかなりの大きさになっていることがあります。
髄膜腫を発症したら
髄膜腫の発見は症状が出ていない限り人間ドックや、何らかの怪我などによって偶然に見つかることもしばしばです。
多くの場合が良性と判断されるため、生活に支障が出るような症状がない限りは放置しておいても問題はありません。気になるようであれば病院で定期的にMRIやCTスキャンで腫瘍の大きさなど経過を観察することが望ましいです。
髄膜腫の治療法
症状が出ている場合には早急に手術によって腫瘍を取り除く必要があります。多くの場合はその腫瘍周辺の組織を切開切除することが主です。腫瘍部分を周囲の組織とともに切除し転移と再発のリスクをできる限り軽減します。
腫瘍が小さかったり、何らかの状況によって切開手術ができない場合は放射線治療という方法もあります。いずれの場合にしても良性腫瘍とは言っても進行は遅からず進むため、どのタイミングでどういった方法で治療するかが重要になります。
その後のリスク
手術に伴い合併症の発症率も少なからずあります。また切開部分のひきつりや痺れ、切除に伴う頭骨の一部の変形や軽微な慢性頭痛になるなどの後遺症が起こることもしばしばです。
手術以外にも放射線治療がありますが、関係のない場所に放射線が照射されることもあり、その他腫瘍周辺の組織の腫れや放射線による機能障害が起こる場合もあります。
場所によって症状も規模ももまちまちなため一概には論じえませんが、どちらの方法も少なからずリスクを伴うことをよく理解し、どちらにするのかを専門医と共によく相談することが大切です。
まとめ
髄膜炎によって悪性の髄膜腫を発症する場合がある
髄膜腫とは
髄膜腫に伴う症状
髄膜腫を発症したら
髄膜腫の治療法
治療後のリスク