女性ホルモンの分泌量の変動などによる生理的な要因や社会進出が進んで多くの役割を求められるようになった社会的な要因が加わって、女性の鬱病発症数は男性の2倍だと言われるようになってきました。
欝病 はどのように 診断 されるのでしょうか。最新の診断方法も含めてご紹介いたします。
問診から光トポグラフィー診断まで欝病の診断のいろいろ
欝病の受診の目安
「やる気が出ず、家事や仕事に取り組むのが億劫になる」・「気分が沈んで憂欝になる」という欝病の2大症状が2週間以上続いた場合、欝病の可能性があると言われています。
さらに「夜、眠れないことがある」「午前中気分が悪く、夜にかけてだんだん調子がよくなる」「食欲がない」「性欲がない」「決断力がない」「将来に楽しみや希望がもてない」「自分の存在価値を感じない」「自分がいなくなった方がいいと思う」などという項目をチェックして2項目以上該当する場合には欝病予備軍の可能性があるとも言います。
他の病気と同じように欝病も早期発見・早期治療が回復への一番の近道です。欝病は性別を問わずかかる病気ではありますが、統計的にも女性がかかりやすい病気ですので、心の異変を感じた時には専門医の診断を受けるようにしましょう。
欝病の最新診断法
「光トポグラフィー検査」
平成21年に厚生労働省によって認可された最新の検査方法です。被験者は脳の血流の状態を調べるために頭部に光トポグラフィー装置を装着します。
検査が始まると簡単な質問をされますので、それに答えていきます。被験者が答えを考えている時と答えている時の脳の血流量の変化をグラフにします。
グラフ化された血流量の変化によって健常・大欝病性障害(いわゆる欝病)・双極性障害・統合失調症などが識別されると言います。光トポグラフィーの波形としてデータがしめされるために客観的に見ることができるという利点があります。
最新の検査であるだけに、現在のところ、全国で10か所程度の医療機関で導入されている状態です。費用も13,000円から入院を伴う検査を行うために70,000円以上かかる場合もありますので、希望する場合はその点も含めてよく調べる必要があります。
唾液検査
人は強いストレスを感じ続けると腎臓からアドレナリンを放出するようになると言います。
代謝が早いアドレナリンを検出して検査をすることは困難でしたが、アドレナリンと同時に分泌されるクロモグラニンAという物質を唾液を用いて計量するという方法がとられるようになってきました。
現在ではクロモグラニンAなど欝病と関連性が強いと考えられている物質を唾液から分析することが可能になってきています。
唾液を採取するだけですので、被験者の負担が非常に少ないという利点があるものの、ストレス度は測れるものの確実な欝病の診断には結びつかないという難点が指摘されています。
血液検査
平成23年に研究結果が発表されて、現在も研究のさなかにある検査方法です。欝病患者の血漿にエタノールアンミリン酸という成分の濃度が高いことに着目した検査です。
研究途上の検査方法ですので、対応している医療機関もわずかです。検査の信頼性が確実なものになると被験者の負担も少なく、費用も安く押されられるので有用だと考えられています。
従来の診断法
欝病の診断では本人または家族への詳細な問診が行われるのが基本です。問診は「症状がいつから始まったか」・「どのような症状があらわれたか」・「症状があらわれたきっかけ」・「日常生活や社会生活への支障の程度」などを中心にして進められます。
この他にも既往歴や家族歴、もともとの性格傾向なども問診に含まれることが多いようです。
本人が欝病であることに気づかない場合やうまく症状などを伝えられない状態にある場合には家族から聞き取りをする形で問診を進めることもあります。
欝病の診断にはWHO(世界保健機構)の国際疾病分類である「ICD-10」とアメリカ精神医学会の「DSM-5」が診断基準として用いられています。
これらの診断基準では、欝病の症状の診断項目の中で当てはまる項目がいくつあるかということで診断するようになっています。
また、欝度を測るためには抑欝の状態を評価するスケールがいくつかあって、必要に応じて使い分けられています。評価スケールの中にはセルフチェックができるようなものもあります。
まとめ
問診から光トポグラフィー診断まで欝病の診断のいろいろ
欝病の受診の目安
欝病の最新診断法
従来の診断法