厚生労働省の調査によれば、うつ病を含む気分障害の患者数は近年急速に増加してきているようです。昨今ではネット上でも うつ病 の症状の チェック を 無料 でできるようなサイトが多くなってきました。
うつ病を見つけたり、うつの度合いをチェックする方法についてご紹介いたします。
多様な診断基準に基づく無料うつ病チェックの活用法
うつ病の診断基準に基づくチェック
現在、うつ病の診断基準にはアメリカ精神医学会による「DSM-5精神疾患の診断・統計マニュアル」と世界保健機構(WHO)による「疾病及び関連保健問題の国際統計分類第10版(ICD-10)」が用いられることが多くなっています。
書籍やネットで提供されているうつ病の症状チェックシートは上述の2つの診断基準に基づいて、日本人に合うように工夫されているものが多いようです。
DSM-5ではうつ病は抑うつ症候群のひとつとして分類されいて、「大うつ病性障害」とも呼ばれています。以下に述べる9つの症状のうち、⑴または⑵を含む5つ以上の症状が2週間以上続いている時にうつ病と診断されます。
DSM-5のチェック項目
⑴ほとんど毎日、ずっと気分がおちこんでいる。⑵ほとんど毎日、ずっと何にも興味や喜びを感じない。⑶ほとんど毎日、食欲の低下または増進が続き、体重の減少または増加が著しい。⑷ほとんど毎日、不眠または過眠が続いている。
⑸ほとんど毎日、話し方や動作が緩慢になったり、イライラしたり、落ち着きがない。⑹ほとんど毎日、疲れやすかったり、やる気が出ない。⑺ほとんど毎日、自分に価値がないと感じ、自責の念がある。
⑻ほとんど毎日、考えがまとまらず、集中力が欠如し、決断できない。⑼自分を傷つけたり、死ぬことを考えたり、その計画をたてる。
ICD-10ではうつ病の症状を大項目と小項目に分けています。
大項目2つ以上で小項目2つ以上を満たし、症状が著しくはないものを「軽症うつ病エピソード」、大項目2つ以上、小項目3つ以上を満たし、一部の症状が著しいか全般的に広汎的な症状をみとめるものを「中等症うつ病エピソード」、大項目3つ、小項目4つ以上を満たし、そのうちのいくつかが重症であるものが「重症うつ病エピソード」とされます。
ICD-10のチェック項目
大項目として、⑴抑うつ気分⑵興味と喜びの喪失⑶疲れやすさの3つがあげられています。小項目として、⑴集中力と注意力の減退⑵自己評価と自信の低下⑶無価値観と罪責感⑷将来に対する悲観⑸自傷や自殺の観念や行為⑹睡眠障害⑺食欲不振の7つがあげられています。
ICD-10の診断基準はDSM-5と違って、興味と喜びの消失をみとめない場合は重症になりません。
また、食欲も不振に限定されています。非定型うつ病をうつ病とは別のカテゴリーで定義しているため、ICD-10の診断基準に当てはめると非定型うつ病は重症度が低く出てしまう傾向があると言われています。
患者自身や家族が参考として診断基準を活用する時にはチェック項目が具体的に書かれているDSM-5がわかりやすいかもしれません。
いずれにせよ、患者自身が「診断基準に該当している」と感じることがそのまま確定診断になることはありません。必ず参考程度にとどめて、専門医の診断を仰ぐ必要があります。
簡易抑うつ症状尺度とは
世界的な精神科医によって開発された簡易抑うつ症状尺度は16項目のセルフチェックでうつ病の重症度が評価できるだけでなく、アメリカ精神医学会の診断基準DSM-5の大うつ病性障害の診断基準に対応しているものです。
睡眠に関する項目(第1~4項目)、食欲と体重に関する項目(第6~9項目)、精神運動状態に関する第15と16項目はそれぞれの項目の最も高い点数を書き出し点数化し、それ以外の項目はそれぞれの点数を書き出します。うつ病の重症度は合計点数で評価されます。
0~5点が正常、6~10点が軽度、11~15点が中等度、16~20点が重度、21~27点がきわめて重度となっています。ネットなどで自動的に点数化して合計点が出てくるようになっているようなものもあります。
無料うつ病チェックの注意点
上述のチェックの他にも自治体やそれぞれの医療機関などが独自にさまざまなうつ病のチェックリストを提供しています。うつ病は専門医でも診断の難しい病気であると言われています。そのために専門医でも一度の問診で確定診断を下すことは稀なほどです。
チェックの結果に一喜一憂することなく、あくまでも参考として考えるようにする必要があります。また、医療機関を受診する際にチェックの結果を持参するようにすると診断の助けになるようなこともあります。
まとめ
多様な診断基準に基づく無料うつ病チェックの活用法
うつ病の診断基準に基づくチェック
簡易抑うつ症状尺度とは
無料うつ病チェックの注意点