「鬱病は心の風邪」という言葉を耳にされたことはないでしょうか。確かに鬱病は誰の身にも起こりうる病気ですが、風邪のように症状ごとの対処法がはっきりしている病気とは言えません。
鬱病を疑った時や 鬱病 の程度を知りたい時に チェック できるような方法はあるのでしょうか。
上手に活用したい鬱病のチェックリスト
簡易抑うつ症状尺度とは
簡易抑うつ症状尺度は睡眠、食欲・体重、精神運動状態などに関する項目に答えていくことで簡易にうつ度がチェックできるものです。16項目の点数を加算して、0~27点中の何点かということによってうつ度をはかるのです。
鬱病の重症度を評価できるだけではなく、アメリカ精神医学会の診断基準に対応していることでもよく知られています。現在、世界10か国以上で使われています。
第1~4項目は睡眠に関する質問です。それぞれ、寝つきの良し悪し、夜間睡眠の途中覚醒、早期覚醒、過眠の程度について各設問ごと4つの選択肢の中から選ぶ形で答えます。
第6~9項目は食欲・体重に関する質問です。それぞれ、食欲の低下の程度、食欲の増進の程度、最近2週間の体重の減少の程度、最近2週間の体重の増加の程度について各設問ごと4つの選択肢の中から選ぶ形で答えます。
第15と16項目は精神運動状態をみるもので、動きが遅くなった気がする、落ち着かないということに関して各設問ごと4つの選択肢の中から選ぶ形で答えます。
上記の項目に関してはそれぞれの項目で最も点数が高いものを1つだけ選んで点数化し、それ以外の第5、10、11、12、13、14項目はそれぞれの点数を足します。
それぞれ、悲しい気持ちの程度、集中と決断の難易、自分についての考え方、死や自殺についての考え方、一般的な興味、エネルギーのレベルについて各設問ごと4つの選択肢の中から選ぶ形で答えます。
合計点数が0~5点は正常、6~10点は軽度、11~15点は中等度、16~20点は重度、21~27点はきわめて重度とされており、6点以上の場合には鬱病の可能性があるので専門医の受診を勧められます。
このチェックはインターネット上でも簡単に受けることができますので、鬱病を疑って専門医を受診しようかと思い悩んでいる方などの役にも立つものだと思います。受診の際にはチェック結果を持参すると診断の参考になることでしょう。
WHO(世界保健機構)作成のチェックリストとは
最近の2週間を振り返って当てはまる項目がいくつあるか答えるという形式になっています。
まず大項目として、憂鬱な気分の有無、何かをしようという意欲の有無、疲れやすさの有無を問われます。次いで小項目として、集中力と注意力の減退の有無、自尊意識の有無、物事の価値を感じることの有無、悲観的な気分の有無、自傷や自殺願望の有無、睡眠障害の有無、食欲の低下の有無について問われます。
大項目2つと小項目2つが同時に当てはまる場合は軽症、大項目2つと小項目4つに同時に当てはまる場合は中程度、大項目の全てと小項目の4つ以上が同時に当てはまると重症とされています。
2週間にわたって気分の落ち込みが継続し、仕事など社会生活に何らかの影響があるという時点で対策を考えなければならないというのがWHO(世界保健機構)の基本的な姿勢です。
チェックリスト活用の注意点
上記の2つのチェックリストの他にも簡便に鬱病のチェックができるようなものがインターネット上にも書籍にもたくさん見受けられます。活用にあたって最も注意しなければならないことは、これらのチェックによって得られた結果は診断ではないということです。
鬱病は誰にも起こりえて稀な病気ではありませんが、専門医でも確定診断が難しいとされている病気です。鬱病に似通った病気も存在しますし、素人判断は大変危険です。
現在は個人が海外からですら薬を入手できる時代ですので、鬱病でない方が鬱病の薬を素人判断で服用してしまうという非常に危険なことが起こってしまうこともあるでしょう。
受診の判断や回復の程度をはかるためにチェックリストを活用することはいいことですが、診断は必ず専門医に仰ぐことが肝要です。
まとめ
上手に活用したい鬱病のチェックリスト
簡易抑うつ症状尺度とは
WHO(世界保健機構)作成のリストとは
チェックリスト活用の注意点