2014年から 爪 水虫 にも効果ができる新しい抗真菌薬の 塗り薬 であるエコフィナゾールが使用できるようになりました。
この塗り薬によってこれまでの爪水虫の治療法であった飲み薬の抗真菌薬を使用することが難しかった場合(肝臓の機能障害や、他の薬との相性の悪さなど)でも治療することができるようになりました。ただしこれまでの飲み薬にもメリットがあり、現在も使用されています。
爪水虫に有効な新しい塗り薬
これまでの爪水虫の治療法とその問題点
爪水虫(爪白癬(つめはくせん)が正しい病名です)は、水虫(足白癬(あしはくせん)が正しい病名です)と同じように真菌(しんきん。特に白癬菌と呼ばれるもの)が感染して起こる病気です。
原因が同じですから、抗真菌薬(ていこうしんきんくすり)と呼ばれる真菌をやっつける薬で治療することも共通しています。
ただし爪という硬い組織に侵入した真菌を駆逐するのは簡単ではなく、特に塗り薬(外用薬)については水虫やゼニたむし(体部白癬(たいぶはくせん)が正しい病名です)には保険適応(保険適応についての詳細はここでは説明しませんが、国(厚生労働省)が効果・効能を保障しているものと理解していただくとよいでしょう)が認められているものがいくつか存在したものの、爪水虫に対して効果が保障された塗り薬はこれまでありませんでした。
そのため今までは内服薬(飲み薬)の抗真菌薬を使って爪水虫を治療することが主流になっていました。ところが飲み薬の抗真菌薬には肝臓の機能が悪くなる副作用があり、さらに飲み合わせが悪い薬が多数存在することから、服用できない場合が少なくありませんでした。
またそもそも飲み薬を嫌がる人も多く、これらの場合はせっかく皮膚科を受診して爪白癬と診断されても、放置するか、効果が保障されていない塗り薬で対応するしかありませんでした。
爪水虫に有効な新しい塗り薬
エコフィナゾール(クレナフィンという商品名です)は日本で開発された新しい抗真菌薬で、初めて爪水虫に対して保険適応がある塗り薬となりました。2014年から使用することが可能になっています。
これまでの塗り薬と違って、爪の表層に停滞する薬剤量が少なく、より多くが爪の奥まで浸透するように工夫されています。抗真菌薬を内服する際に心配される肝機能障害や他の薬との相性の悪さといったことを心配する必要もありません。
さらに子どもや妊娠中あるいは授乳中の方では内服の抗真菌薬の使用が認められていない場合や、安全性が確立されていないこともあります。こういったケースにも塗り薬は使用しやすいと考えられます。
塗り薬の副作用と使用上の注意点
新しい塗り薬も副作用が全くないわけではありません。代表的なものとして、爪の周囲に起こる皮膚炎(接触皮膚炎)があります。本来はこの塗り薬は爪にだけ塗るべきで、皮膚に塗るべきではありません。
ところが長い間使用するうちに、爪の周りの皮膚にも塗ってしまい、その結果皮膚炎を生じたケースが報告されています。今、“長い間”と書きましたが、爪水虫の治療効果を判定するためには、爪の伸びる速度を考えると3~6ヶ月以上の期間が必要になります。
これは塗り薬でも飲み薬でも同じです。特に治療を始めた初期は、毎日観察してもなかなか効果が実感できないと思います。根気よく治療を続けることが重要です。
これまでの飲み薬と新しい塗り薬の使い分け
新しい塗り薬が使用可能になった現在でもこれまでの飲み薬が用いられなくなったわけではありません。どの治療法を選ぶかについては、それぞれの患者さんの条件によって異なります。
そのため主治医(多くは皮膚科の先生になると思います)とよく話し合って治療法を決定することが大切です。一般的には飲み薬の作用は全身に及ぶために、爪についても全ての爪に作用し、そのため治療から漏れてしまう部分がありません。
ところが塗り薬では、塗り方によっては効果にむらが出る、あるいは軽い病変が見落とされてしまい薬を塗る対象とされない、などの危険性があります。
しかしこれまでにご説明したように、肝臓に障害がある人や爪白癬に対する飲み薬と相性が悪い薬を使っている人には新しい塗り薬がよい適応となります。
まとめ
爪水虫に有効な新しい塗り薬
これまでの爪水虫の治療法とその問題点
爪水虫に有効な新しい塗り薬
塗り薬の副作用と使用上の注意点
これまでの飲み薬と新しい塗り薬の使い分け