多嚢胞性卵巣症候群という長い名前の病気をご存知ですか。不妊に悩んで初めて診断される女性も多いようですが、20人に1人の割合で起こると言われ、稀な病気ではありません。
多嚢胞卵巣症候群 についてその治療法を含めてご紹介いたします。
妊活中の多嚢胞性卵巣症候群にもあせらないで
多嚢胞性卵巣症候群とは
卵巣を覆う被膜が厚くて硬いために排卵が困難になってしまい、卵巣の中に卵胞がたくさん溜まってしまっている状態を多嚢胞性卵巣と言います。多嚢胞性卵巣を意味する英語のPoly Cystic Ovaries の頭文字をとってPCOと呼ばれることもあります。
左右それぞれの卵巣に2~9ミリの卵胞が12個以上あって、卵巣の体積が10ミリリットルを超えているものを多嚢胞性卵巣と診断します。
多嚢胞性卵巣の女性は20パーセントにも及ぶとされていますが、そのすべての方が多嚢胞性卵巣症候群と診断されるというわけではありません。
年に数回しか排卵がないか無排卵であり、高アンドロゲンといって男性ホルモンが多い状態で多嚢胞性卵巣が見られる場合に多嚢胞性卵巣症候群という診断が下されるのです。
多嚢胞性卵巣症候群は進行性の病気と考えられているのですが、自然治癒する場合もありますし、症状の現れ方も非常に個人差が大きい病気です。
典型的な症状として、生理不順、不妊、多毛、ニキビ、黄体機能不全などがあります。生理不順や不妊は排卵障害によるもので、多毛やニキビなど肌トラブルは男性ホルモンが多い高アンドロゲンが原因です。
また、脳下垂体から分泌される黄体ホルモンは排卵後に卵巣の中に黄体という組織を作るわけですが、多嚢胞性卵巣では排卵がおこなわれないため、黄体の機能はうまく働きません。これが黄体機能不全と呼ばれるものです。
黄体機能は十分に発育した卵胞を卵巣に通知する働きの黄体ホルモンを分泌するだけでなく、排卵後の卵巣に黄体を作ることで子宮内膜を厚くして妊娠の準備と継続を促すなどと、妊娠とそれに続く出産になくてはならない機能です。
不妊に悩む方がその治療の経過の中ではじめて多嚢胞性卵巣症候群に気づくことが多いのもそのためと言えるでしょう。
多嚢胞性卵巣症候群の治療
多嚢胞性卵巣の70パーセントの女性は排卵に問題を起こすと言われています。妊娠を希望する方には排卵誘発が行われます。排卵誘発剤の投与や排卵をおこすための注射療法を行ったりします。排卵誘発剤の投与で80パーセントの女性は排卵を起こすとされています。
腹腔鏡下で卵巣の表面に穴をたくさんあけて、排卵を促すこともあります。
妊娠の希望がない場合にはホルモン療法や低用量ピルをつかって月経のリズムを整える治療が行われます。
インスリン抵抗性が高血糖の原因と考えられているインスリン非依存型糖尿病の治療薬であるグリコランという薬が多嚢胞性卵巣に効果があるとされています。
多嚢胞性卵巣の方がグリコランを服用すると血中のインスリンが減少し、多嚢胞性卵巣の原因と考えられている卵巣内のアンドロゲンが減少するというのがそのメカニズムです。
妊活中の方へ
妊娠を待ち望んでいる方や不妊治療中の方の中で、多嚢胞性卵巣症候群という耳慣れない病気に不安を覚えてみえる方も多いことと思います。ブログなどでこの病気でありながら妊娠、出産した体験談をすでに読まれた方もあるのではないでしょうか。
専門医の下で治療をするとともに、この多嚢胞性卵巣は糖の代謝と関連が強いことがわかってきましたので、甘いものの大量摂取を控えて肥満を避けることも大切です。
冷えや運動不足は体の代謝を低くしてしまいますので、体を冷やさないこととウオーキングなどの軽い運動の継続もお勧めです。
まとめ
妊活中の多嚢胞性卵巣症候群にもあせらないで
多嚢胞性卵巣症候群とは
多嚢胞性卵巣症候群の治療
妊活中の方へ