多嚢胞性卵巣 とは、卵胞が発育するのに時間がかかり、なかなか排卵しない状態を指します。若い女性の排卵障害の中では多くみられるものです。妊娠の障害になることもあるという多嚢胞性卵巣についてご紹介いたします。
排卵障害の原因になることもある多嚢胞性卵巣とは
多嚢胞性卵巣とは
卵巣の中にはたくさんの卵細胞があって、月にひとつずつ成熟して排卵するということを繰り返しています。卵細胞は卵胞という袋に包まれていて、卵細胞の発育につれてだんだん大きくなり、おおよそ2㎝くらいの大きさになると卵胞の中の液体とともに排卵されます。
多嚢胞性卵巣を超音波でみると、10㎜くらいの大きさの卵胞が卵巣の外側に一列に並んでいて、その形状からネックレスサインと呼ばれています。多嚢胞性卵巣の場合、卵胞はなかなかそれ以上発育することがなく、排卵もしにくいものです。
多嚢胞性卵巣症候群はこのように卵巣の中に卵胞がたくさんできて、ある程度以上に育たなくなり、排卵も起こりにくくなる病態ということができます。
若い女性の排卵障害の中では多くみられるもので、月経周期が35日以上・順調だった月経が不順になる・ニキビが多い・肥満・やや毛深いなどの自覚症状を訴える場合が多いとされています。
多嚢胞性卵巣をもっている女性は20%だと言われていますが、稀発排卵もしくは無排卵・男性ホルモンが多い・多嚢胞性卵巣がみられるという3つを満たした場合に多嚢胞性卵巣症候群と診断されることになります。
多嚢胞性卵巣症候群の症状
排卵が起こりにくいことによって、月経不順になったり、時には無月経になったりします。
卵胞の中ではテストステロンとい男性ホルモンが作られるので、血液中に男性ホルモンが増加します。その結果、ニキビが増えたり、毛深くなったり、場合によっては声が低くなるようなこともあります。
黄体ホルモンの分泌不全を起こし、月経過多になったり、出血が止まらなくなったりするようなこともあります。
排卵が起こりにくいことから、不妊につながります。妊娠を望み妊活をする中で、初めて多嚢胞性卵巣であることが判明したという方も少なくありません。
多嚢胞性卵巣という診断を受けても、そのほとんどは軽度なものが多いと言われていますので、過度に心配する必要はありませんが、妊娠するためにはきちんと検査を受ける必要があります。
多嚢胞性卵巣と肥満
上述のように多嚢胞性卵巣の自覚症状のひとつに肥満があげられています。
肥満に伴って増える体脂肪には男性ホルモンやエストロゲンが蓄えられるので、視床下部や下垂体などのホルモンの分泌をコントロールする部位に過剰に働きかける結果になり、ホルモンの分泌異常を起こす場合があるのです。
また、肥満の方は血中のインスリン濃度が高いことが多いため、卵巣機能が低下することがあるとも考えられています。
多嚢胞性卵巣の原因には諸説あって、現在のところはっきりと解明されているわけではありませんが、肥満や糖の代謝がかかわっているのではないかと言われています。
肥満は健康全般によくないとされていますので、多嚢胞性卵巣の診断を受けた方は健康的なダイエットをし、過剰な糖分の摂取は控えた方がよいでしょう。
多嚢胞性卵巣と妊娠
上述したように妊娠を望み妊活を続ける中で初めて多嚢胞性卵巣であることが判明したという方もあるでしょう。耳慣れない病名に不安に思われるかもしれませんが、多嚢胞性卵巣であっても、自力で排卵があれば自然妊娠も可能です。
ただ、稀発排卵であったりすると、排卵日がわかりにくく、回数も少ないために妊娠しづらい場合があるかもしれません。その場合には、排卵誘発剤を使ったり、腹腔鏡下で卵巣の表面にレーザーで穴を開けたりする治療が施されることがあります。
上述のように肥満と糖分の過剰摂取に配慮して体の状態を整えることも必要であることは言うまでもありません。
まとめ
排卵障害の原因になることもある多嚢胞性卵巣とは
多嚢胞性卵巣とは
多嚢胞性卵巣症候群の症状
多嚢胞性卵巣と肥満
多嚢胞性卵巣と妊娠