躁鬱病は一般的には躁と鬱の気分が反復して見られることが特徴だと言われていますが、どちらか一方が単独で現れることもあります。他の精神障害にはないほど生命感情の障害が著しいことがよく知られています。 躁鬱病 を チェック するポイントをご紹介いたします。
なぜ難しい躁鬱病の自己診断チェック
躁鬱病とは
躁鬱病はドイツの精神医学者クレペリンが概念化した疾患です。現在では全てにわたり持続的な意味をもつ気分という用語の方がより的確であるとして、気分障害という語が用いられるようになってきました。
感情は誰の心の中にもある喜びや怒り、哀しみなどの感覚ですが、持続的で漠然とした感情を気分と言います。
ストレス社会とも呼ばれる現代社会において、人はさまざまなストレスにさらされています。その結果、全人口の35パーセントにあたる方が一生のうちに一度は躁鬱病になるとも言われています。
また、近年では躁鬱病に対する社会的な認知度が高くなったこともあり、病院を受診する方も増える傾向にあります。
基本的に鬱病と躁病という2つの気分の異常がみとめられ、躁または鬱のどちらか1つだけの単発性、いずれか一方を周期的に繰り返す周期性、躁と鬱を交互にくりかえす循環性のものがあります。
鬱病の精神的症状は抑うつ気分、不安、悲観、死へのとらわれなどが多くみられます。不眠または過眠、食欲増進または食欲減退、自律神経失調などの身体的症状も現れます。
躁病の精神的症状は高揚した気分、興奮、情緒不安定、多幸感などが多くみられます。躁病の発病率は鬱病のおおよそ6分の1~7分の1だと言われています。
躁鬱病をチェックするには
認知行動療法理論の創始者であるアメリカのペンシルバニア大学の精神科医アーロン・T・ベック博士によって考案された躁鬱病調査票(BDIテスト)は抑うつ度をチェックするために非常によく用いられています。
21の質問項目に対して最近2、3日の自分の気分に最も近いものを4段階から選ぶという形式の自己評価です。
それぞれの質問は①憂鬱な気分②将来に対する悲観③失敗④満足⑤罪悪感⑥罰意識⑦自分自身への失望⑧自罰意識⑨自殺願望⑩泣く頻度⑪イライラ感⑫他人に対する関心⑬決断⑭自分の美醜⑮億劫さ⑯睡眠⑰疲労感⑱食欲⑲体重の変動⑳健康の心配㉑性欲の変化となっています。
おのおのの質問にその程度を答えていって合計点で鬱状態のレベルが測れるようになっています。点数によって正常範囲の憂鬱な状態、軽い鬱状態、臨床的な意味での鬱状態との境界、中程度の鬱状態、重い鬱状態、極度の鬱状態の6つのレベルにわけられます。
自分自身の気分の傾向を数値化することで客観的に自分の抑うつ状態をみることができるとされています。
躁鬱病の診断の難しさ
上述したように躁鬱病には躁状態、鬱状態、ほぼ無症状な寛解期、混合期などの病相があり、それぞれによって病状が違ってきます。躁鬱病はそれらすべての病相を診てはじめて診断できるものであって、目の前の病相のみで判断できるものではありません。
また、躁鬱病の躁状態と統合失調症の幻覚・妄想状態が非常に似ていたり、躁鬱病が不安障害などの他の精神疾患を合併しやすいなどという更に診断を困難にする要因があります。
躁鬱病の診断で最も大切なことはその経過で総合的に判断することだと言われています。専門医でも診断が難しいとされているのですから、素人が軽々しく判断できるようなことではありません。
もし、ご自分や家族の方の躁鬱病を疑うようなことがあれば、まず、専門医を受診することをお勧めします。その際、現在の症状とともに過去の躁状態や鬱状態時のエピソードを書き留めるなどして持参すると診断の助けになることでしょう。
躁状態がはっきり出現している場合は躁鬱病の診断がつきやすいと言われていますが、躁状態の時には本人的には健康そのもので、むしろ調子がいいと感じているものです。
頭が冴えて、全能感をもつ、通常より短時間睡眠を続けられる、さまざまなアイデアを思いつく、多弁になる、問題になるような買い物や投資をするなどが1週間以上続くようであれば、躁病を疑ってもいいかもしれません。
さらにこのような症状が仕事や人間関係に悪影響を及ぼしていて、それが他の薬物や病気によるものでなければなおさらです。症状が落ち着いている方ですら自らの躁状態を顧みることは難しいと言います。ご家族など周りの方々の協力が非常に大切になってきます。
まとめ
なぜ難しい躁鬱病の自己診断チェック
躁鬱病とは
躁鬱病をチェックするには
躁鬱病の診断の難しさ