最近体に異常を感じることはありませんか?もしかして、日々のストレスが原因によって発症した 心身症 によるものかも知れません。身体的な要因で発症した症状であれば薬で治療することが出来ますが、精神面で起こってしまう心身症は心と体、両方を視野にいれた治療を行う必要があります。今回は心身症について詳しく見ていきましょう。
体に現れる心の不調:心身症
心身症とは
心身症は一見、精神的な病であると誤解されがちですが、実際には特に精神面の不調による影響で身体に疾患が見られていることを指します。不調とは主に、人間関係や仕事に悩んだりし、日常生活において身体に異常が出るほどの過度のストレスを感じている場合があげられます。
たとえば、女性であれば家庭での問題や家庭と仕事の両立、子育て、職場内での人間関係に関してのストレスなどがあてはまるかと思います。また、恋人や配偶者との別離や心理的に非常に近い関係の人との死別などもストレッサーの一つとしてあげられています。
一般的に、病による身体的異常が見られるときには、ある程度心理・社会的な要因が関係していることも多いですが、心身症の場合これらの要素が非常に強く関係していると考えられています。
心身症が見られる主な身体疾患
心身症と診断される身体疾患は循環器系、呼吸器系、消化器系など多岐に渡り、非常にさまざまです。たとえば、代表的なものでいうと、神経性胃炎、喘息、アトピー性皮膚炎、頭痛、生理不順、十二指腸潰瘍、高血圧などです。ただし、精神病である、神経症やうつ病などによる身体的な症状は除外されています。
心身症になりやすい人とその原因
心身症を発症する原因には、さきほども述べたように過度のストレスなど日常生活における心理的要因が密接に関係しているのですが、そういった環境的要因を除いて、心身症になりやすい性格や心理傾向というのが存在します。
◇失感情(Alexithymia)
代表的な傾向の一つとして、自分の感情を表に出すことが出来ない、上手く表現することが出来ない、抑制してしまうなど失感情と呼ばれるものがあります。自分の感情を上手く表現することが出来ないことで、上手くストレスを回避したり解消したりすることが出来ないのでは、と考えられています。さらにこういった傾向を持つ人は、悩みやストレスを言語化できないばかりか、それらがないものだと自分で無意識に思ってしまうことから、うつ病などの精神疾患と同じく、他人から見ても異常が見受けられないため、さらにストレスを溜め込み状態が悪化するなどの悪循環に陥ってしまう可能性があります。
◇タイプA性格
心身症を発症しやすい性格のもう一つの傾向として、タイプA性格にあてあまるということがあげられます。几帳面、野心家、まじめ、完璧主義、責任感が強い、時間に追われているなどの特徴を持つ人がこのタイプにあてはまります。
心身症の治療法
心身症は身体的に異常があらわれますが原因が精神面であるため、身体面と精神面両方の治療を行います。身体面の治療に関しては、異常が出ている箇所を個々に治療していき、精神面においては、カウンセリング、認知行動療法、薬物療法で治療してきます。
薬物療法とは、身体面の症状を緩和させるのではなく、精神面においての症状を緩和させていく治療法のことです。たとえば、人間関係に不安を持っている方であれば、抗不安薬などを処方し、不安感を緩和させることで心身症の症状の緩和をはかります。薬物療法と認知行動療法などの心理療法は個々で行っても効果はあるのですが、両方同時に行っていくことが一番効果が高いとされています。
また、心身症の治療では、患者に心と体のつながりを意識させるのが重要であるとされています。忙しい現代社会では、毎日をこなすのに精一杯で、ストレスを感じていると思う暇すらないと感じる方が多いのではないでしょうか。ストレスを感じていないと思い込んでも、結局心がいつか限界を向かえ、体に症状として表れてしまいます。こうした感情を抑制してしまっている方が、内面にも目を向け、実は自分は疲れているのだと理解し自覚することが治療の第一歩でもあります。
まとめ
体に現れる心の不調
心身症とは
心身症が見られる主な身体疾患
心身症になりやすい人とその原因
心身症の治療法