現在、子宮体癌の検診はすべての人に行われてはおらず、不正性器出血、月経異常、褐色帯下のいずれかの症状がある人だけに施行されています。
子宮体癌 検診で行われる 検査 としては子宮内膜細胞診と経膣超音波検査(経膣エコー)がよく用いられています。超音波検査では子宮内膜が厚いと癌が疑われます。子宮内膜細胞診や経膣超音波検査で癌が疑われた場合には子宮内膜組織診で診断が確定されます。
子宮体癌の検診と確定診断で行われる検査について説明します
子宮体癌検診
現在、日本では子宮体癌の検診はすべての人に行われてはおらず、症状がある人だけに施行されています。
具体的には最近6ヶ月以内に起こった不正性器出血(一時的な少量の出血、閉経後の出血など)、月経異常(過多月経、不規則月経など)、褐色帯下のいずれかの症状がある人が対象となり、これらの項目は子宮頸癌(しきゅうけいがん)検診の問診の際にチェックされています。
検診対象者がある程度の症状を有している人に限定されていることが特徴で、胃癌や大腸癌など他の癌検診と大きく異なっています。
ただし50歳以上の女性においては子宮体癌の有病率が高いために症状がなくても1度は検診を行うべきだとする意見や、不妊検査・治療中は無症状でも子宮体癌が偶然見つかる率が同年代と比べて高いとする報告などがあり、検診対象者については将来的に見直される可能性もあります。
現在、子宮体癌検診で行われる検査としては子宮内膜細胞診と経膣超音波検査(経膣エコー)がよく用いられています。
子宮内膜細胞診
擦過法(さっかほう)と吸引法の2種類があります。
擦過法の方が吸引法より細胞摂取量が多い利点がありますが、子宮内に採取器具を挿入することができない場合があること、痛みが吸引法よりも強いことなどの欠点があります。
子宮内膜細胞診に共通した欠点として細胞採取操作に伴って感染が起こる場合があります。悪化すると骨盤腹膜炎と呼ばれる感染症に進行します。糖尿病やステロイド剤を使用している人など抵抗力が落ちている人は注意が必要です。
経膣超音波検査(経膣エコー)
超音波検査で子宮内膜の厚さを計測し、厚い場合に子宮体癌が疑われます。再大の問題は何mm以上を異常と判定するか(カットオフ値と言います)が、定まっていないことです。
無症状の閉経後女性の子宮内膜は薄く、海外からの報告ではありますが、平均3mmであったと報告されています(Fleischer AC. Am J Obste Gynecol, 2001)。
また症状がある閉経後女性を対象とした研究で、子宮内膜の厚さ4mmをカットオフ値としたときの感度(実際に子宮体癌があった人がエコーで異常と判定される割合)は91~100%と良好であったことが報告されています。
とりわけ評価が難しいのは閉経前女性の子宮内膜です。排卵の有無、月経周期などにより個人差が非常に大きく、カットオフ値をはっきりと設定することができません。
閉経前の場合は、超音波検査で子宮体癌の有無を判断することは難しいと考えておいたほうがよいでしょう。ただし癌が進行して大きくなっている場合は判断できます。
子宮体癌の確定診断
上述した上記の子宮内膜細胞診で疑陽性や陽性であった場合、子宮内膜組織診(しきゅうないまくそしきしん)と呼ばれる検査を行って診断を確定します。
細胞診が陰性であっても、不正性器出血が持続する人や子宮体癌のリスクが高い人(エストロゲン単独のホルモン補充療法を受けている人、乳癌治療のためにタモキシフェンを使用している人、肥満、多嚢胞性卵巣症候群(たのうほうせいらんそうしょうこうぐん)患者など)で経膣超音波検査で子宮内膜の肥厚がみられた人に対しても子宮内膜組織診の施行が検討されます。
この検査は子宮鏡(しきゅうきょう)で実際に子宮の内面を観察しながら病変部の組織を採取し、標本にして観察する検査です。
上記の子宮内膜細胞診でも子宮体癌の診断ができる場合もありますが、子宮内膜細胞診では細かい癌のタイプ(子宮体癌には類内膜腺癌(るいないまくせんがん)や粘液性腺癌、漿液(しょうえき)性腺癌、明細胞腺癌、扁平上皮癌などさまざまなタイプがあります)までは判定できません。
子宮内膜組織診ではこれらの区別が可能になります。
まとめ
子宮体癌の検診と確定診断で行われる検査について説明します
子宮体癌検診
子宮内膜細胞診
経膣超音波検査(経膣エコー)
子宮体癌の確定診断