子宮内膜増殖症 と聞いてもピンとくる方は少ないのではないでしょうか?知名度の高い子宮内膜症と混同される方も多いと思いますが、全く別の病気です。正しく知って適切な治療を受けてください。
知名度は低いが実は危険の兆候、子宮内膜増殖症
子宮内膜増殖症とは
子宮内膜が子宮内で過剰に増殖し、内膜の肥厚、内膜腺の形態異常を起こす病気です。上皮細胞の細胞異型(ガン細胞化)の有無により、子宮内膜増殖症と子宮内膜異型増殖症に分けられます。
更に腺構造の異常の程度により4つに分類されます。そして、子宮体がんに進行する可能性を秘めています。
- 単純型子宮内膜増殖症
- 複雑型子宮内膜増殖症
- 単純型子宮内膜異型増殖症
- 複雑型子宮内膜異型増殖症
子宮内膜増殖症が起こる原因
子宮内膜は月経に関係しています。月経終了から排卵までに卵胞細胞から分泌される卵胞ホルモン(エストロゲン)の影響で増殖して肥厚します。排卵後は黄体ホルモン(プロゲステロン)も分泌され、子宮内膜は妊娠に適した状態になります。
しかし、受精卵が着床せず、妊娠が成立しなかった場合は子宮から剥がれ落ち血液とともに排出され月経(生理)が起こります。つまり子宮内膜が増殖すること自体は毎月のことであり、自然なことなのです。
しかし、子宮内膜がエストロゲンへの感受性が増すと、通常よりも厚くなり様々な症状を呈するようになります。この状態を子宮内膜増殖症といいます。
子宮内膜増殖症の症状
症状としては月経量が多くなる、月経時にレバー状の塊が混ざる、生理痛が重くなる、不正出血を起こすなどの他に貧血による体のだるさや息切れ、動悸などがあります。
子宮内膜増殖症のリスク
先に挙げた子宮内膜増殖症の4つのタイプの内、単純型子宮内膜増殖症、複雑型子宮内膜増殖症はガン化する割合は数%といわれています。
一方、単純型子宮内膜異型増殖症は10%程度が、複雑型子宮内膜異型増殖症は30%ががん化する(子宮体がん)といわれており注意が必要です。
子宮内膜増殖症の治療
単純型子宮内膜増殖症、複雑型子宮内膜増殖症はホルモンバランスの改善などで自然治癒可能性が高い為、定期的に超音波検査を受け、経過を観察します。
単純型子宮内膜異型増殖症、複雑型子宮内膜異型増殖症は異型の程度を調べるために子宮の内膜を綿棒のようなもので少し取り、細胞の形を顕微鏡で観察します。
異型が見られないまたは異型化が進行していないと思われる場合で、妊娠の希望がある場合は子宮内膜の全掻把を行い、より詳細に調べガン化していなければホルモン療法(黄体ホルモンを半年間服用する)を行いながら経過を観察します。
ホルモン療法で異型が消失する可能性は80%といわれているので、妊娠の可能性は十分あります。
しかしながらはっきりと異型が確認された場合は子宮体がんと診断され、子宮および付属器官の摘出術を行うことになります。
ただし、転移も見られないほど早期に発見された場合は子宮近くのリンパ節、及び卵巣を残すことが可能なので更年期障害に怯えずにすみます。
手術の方法は開腹手術が一般的ですが、アメリカではお腹に1CM位の穴を開けてカメラで内部を観察しながら子宮に近いリンパ腺などを傷つけないよに靭帯などを切り、膣から子宮を引っ張り出して切り取る内視鏡を使用した方法や、ロボットでの手術も一般的になっています。
知名度は低いが実は危険の兆候、子宮内膜増殖症
このように知名度の低い子宮内膜増殖症ですが子宮体がんに移行する確率が比較的高いので、早期発見のためにも月経に異常があったら早めに産婦人科を受診することをお勧めします。
まとめ
知名度は低いが実は危険の兆候、子宮内膜増殖症
子宮内膜増殖症とは
子宮内膜増殖症ができる原因
子宮内膜増殖症の症状
子宮内膜増殖症のリスク
子宮内膜増殖症の治療
知名度は低いが実は危険の兆候、子宮内膜増殖症