現代人女性の間で増え続けている 子宮内膜症 。病状が進行している場合そして再発を繰り返す場合は 手術 療法がとられます。
子宮内膜症が進行すると不妊の原因(妊娠しずらい状態)になるのでは?と心配される方もおられますが、大丈夫です。ここでは手術療法について詳しくご紹介いたします。
子宮内膜症手術の主流は腹腔鏡手術
子宮内膜症の2つの手術療法
子宮内膜症の手術では、腹腔鏡手術と開腹手術のどちらが選択されます。主流は腹腔鏡手術です。
腹腔鏡手術とは、下腹部に3~5箇所ほどの穴を開け、操作用器具と腹腔鏡を使い病巣を摘み取る方式で、全身麻酔が使用され、手術時間は40分から1時間半程度、入院は5日間から1週間程度が予定されます。
この腹腔鏡手術はメリットが多いのも特徴で、出血も少なく、身体への負担も少なく、傷跡も小さくて済み、手術の翌日には歩けますので、現在多くの病院で積極的に実施されています。
また開腹手術は、お腹を切開し病巣の癒着している部分や一部の組織を切除するだけではなく、子宮、卵巣、卵管すべてを切除する方式で、全身麻酔が使用され、手術時間は約1時間半から2時間程度、入院は約2週間程度を予定しています。
超音波検査において、5センチ以上のチョコレート嚢胞が発見された方は、破裂するリスクがあるため早めに手術を受けるよう勧められます。
また妊娠を希望している方が手術を受けなければならない場合ですが、その後の優先順位も含めてしっかりと医師と確認し治療方針を決定します。
手術以外にも薬物療法を選択することもできますが、年齢そして病巣の進行状態によって左右されます。
なかなか妊娠できない方、これまで不妊治療を受けたのに特に原因がなかったのに妊娠できない方などにおいても、引き続き妊娠の可能性があるため腹腔鏡手術が選択されます。
子宮内膜症は再発を繰り返しますので、できれば再発する前になるべく早く妊娠できるように、という考えのもとです。以下に、それぞれについて、もう少し詳しくご説明いたします。
保存手術
妊娠を希望しておられる方、卵巣に嚢胞ができている方、不妊が疑われる方などで積極的に選択されています。
卵巣と子宮を残し、病巣だけ取り除く方法です。腹腔鏡手術によって実施されます。この手術後の妊娠は十分可能です。
卵巣機能温存手術
妊娠を希望しておられない方でよく選択されています。女性ホルモンを分泌する卵巣機能を残し、子宮のみ摘出します。
根治手術
閉経が近い方そして重症の方で選択されています。子宮、卵巣、卵管のすべてを摘出します。開腹手術によって実施されます。
再発リスクはほとんどなくなりますが、女性ホルモン分泌がなくなるため、更年期障害のような症状が出ます。
子宮内膜症の再発について
子宮内膜症は再発します。保存手術(卵巣や卵管そして子宮を摘出せずに残す)を実施した場合、手術後でも微小の病巣が残っていることがあるため、再発リスクが高まっており、手術後約2年で20%、約5年で40~50%の方が子宮内膜症を再発しています。
また稀ですが、子宮内膜症は癌化します。月経が続く限り、女性ホルモンが分泌される限り、子宮内膜症は再発する可能性があるということを覚えておきましょう。
したがって、手術後も、超音波、MRI、そして腫瘍マーカーの定期検査を受診することが大切です。術後の定期検診が子宮内膜症の再発を防ぐ決め手になります。
手術費用
手術費用は約10万円程度必要になります(腹腔鏡手術も開腹手術も手術費用は同じといわれています)。ただ、開腹手術の場合は入院日数が長くなりますので、その分高くなり、入院費用を含めると約30万円前後必要になります。
子宮内膜症は健康保険が適用されますので、高額療養費制度の対象にもなります。高額療養費制度を利用すると、医療機関で支払った自己負担限度額を超えた分が払い戻されます。
是非活用したい制度ですので、子宮内膜症の手術を受けると決まった方は、お住まいの市町村の健康保険窓口で確認してください。
まとめ
子宮内膜症手術の主流は腹腔鏡手術
子宮内膜症の2つの手術療法
保存手術
卵巣機能温存手術
根治手術
子宮内膜症の再発について
手術費用