子宮内膜症 の 治療 方法は、手術と薬物療法の2つです。軽度のうちに病巣を発見し、すぐに治療をスタートさせることが一番望ましいわけですが、発症のピークが20-30代であることからも、妊娠の可能性と希望、そして進行具合に合わせ、適切な治療方法を選択してゆくことになります。
進行度そして年齢にあわせた子宮内膜症の治療方法
子宮内膜症の診断
子宮内膜症は診断が難しいといわれています。一般的に、問診、内診、超音波検査、血液検査、CTおよびMRI検査、腹腔鏡検査が行われます。問診では、初潮年齢、月経周期、月経の量、出産の有無、病歴、飲酒や喫煙などが把握されます。
内診では、膣内に指が挿入され、子宮の大きさや固さ、ダグラス窩(子宮と直腸の間)の固さが調べられます。血液検査では、血中のCA125という物質の量が測定されます(子宮内膜症の場合この数値が上昇しています)。
腹腔鏡検査では、全身麻酔がかけられ、下腹部に1cm以下の小さな穴を開け子宮や周辺臓器が調べられます。ここで病巣が見つかった場合は、病巣をレーザーで焼き切って摘出することが可能です。その際には数日間入院が必要がなります。
治療方法
子宮内膜症の治療は、手術と薬物療法の2つです。手術の場合は、病巣を切除できますが、癒着を起こす可能性があります。薬物療法は、手術が必要でないことから長期的に渡る治療を実施しますが、副作用の心配、再発の危険があります。チョコレート嚢胞の状態で、すでに癒着がある場合は、手術と薬物療法が併用されることが一般的です。
手術、薬物療法、どちらを選択するかは、病状の進行状態、妊娠の希望などが考慮されますが、担当医師そして恋人や配偶者としっかり相談して選択されます。
手術
手術がすすめられるケースは、子宮内膜症が進行していて薬物治療の効果が望めない方、以前に薬物療法を受けたが再発を繰り返している方、妊娠を希望しており保存手術(後述)が最適と判断された方、悪性腫瘍などが疑われる方です。
手術は、開腹手術あるいは腹腔鏡手術(お腹を小さく開腹)がとられます。妊娠を希望している方には、保存手術という方法がとられます。これは腹腔鏡手術により、卵巣や子宮を残し、病巣だけが切除されます。約7割の方で完治しますが、残り3割で再発します(目に見えない病巣が切除されずに残ってしまうためです)。妊娠を希望しない方には、卵巣機能温存手術そして根治手術がとられます。
前者は、女性ホルモンを分泌する卵巣機能を残した状態で、子宮が摘出されます。保存手術ほどではありませんが再発する可能性が少し残ります。後者は、子宮、卵巣、卵管をすべて摘出する方法です。再発の可能性がなくなりますが、女性ホルモン分泌がなくなるため術後から更年期障害の症状が出ます。
また、特殊治療として、膣から針を刺し、チョコレート嚢胞を治療する方法もあります。この方法では、嚢胞に針を刺し中味を吸引し、その後アルコールを注入してチョコレート嚢胞の基をなくします。
薬物療法
子宮内膜症はエストロゲン分泌が関係していますので、薬物療法ではエストロゲン分泌を抑えるホルモン剤が投与され、一時的に月経を停止させ、病巣を小さくするという方法がとられます(肝臓や心臓の疾患をお持ちの方、血栓ができやすい方は、この療法をとることはできません)。
療法は、閉経と同じ状態にする偽閉経療法、あるいは妊娠に近い状態にするピル服用による偽妊娠方法にわけられます。前者では、Gn-RHアゴニストという点鼻薬(1日に2-3回)、注射(4週間に1度)が半年間継続されます(治療中は更年期障害のような症状、ほてり、めまいなどが現れます)。
あるいは、ダナゾールという内服薬(1日1-2錠)が4ヶ月から半年間継続されます(治療中は、体重増加、むくみ、血栓などがみられます)。後者では、低用量ピルを1日1錠服用します。これらの薬物療法で注意しておきたい点は、あくまでも薬物によって月経を一次停止させる方法であり、原因となる病巣を直接排除する方法ではないということです。
したがって、治療終了後再び月経が始まることで再発する可能性があります。再発した場合は、手術により病巣が切除されます。
まとめ
進行度そして年齢にあわせた子宮内膜症の治療方法
子宮内膜症の診断
治療方法
手術
薬物療法