不妊ために、体質改善をしたりタイミングを考えるというような妊活をする女性が増えてきました。不妊の原因が特定できている場合は、治療もおこないやすいのですが、中には原因不明という方もいます。
そのような方は、子宮内膜ポリープができている可能性があります。不妊症であった方が、 子宮内膜のポリープ を切除したことにより、 手術後 に妊娠することができたというケースがたくさんあるのです。
子宮内膜ポリープの手術後の妊活
子宮にできる良性腫瘍
細胞が増殖することによって、キノコのように盛り上がり突出したものをポリープといいます。このポリープが子宮内膜にできたものを子宮内膜ポリープといい、ほとんどは周囲の組織を破壊するような悪性の性質を持たない良性腫瘍です。
子宮内膜は、女性ホルモンの影響を受けて月経周期に伴って増殖し、妊娠が成立しなかった場合は排出されます。
子宮内膜ポリープはエストロゲンの影響を受けて子宮内膜の一部が異常に増殖することによっておこり、子宮の炎症や出産などが関与していると考えられていますが、詳しい原因はわかっていません。
また、１センチ程度のものから大きいものでは１０センチを超える場合があり、出血やそれによる貧血の症状があらわれる方もいますが、大きさに関わらず自覚症状に乏しいという特徴があり、超音波検査などで偶然発見される場合がほとんどです。
しかし、子宮内膜ポリープは悪性になることはなく、予後は決して悪いものではありません。
不妊の原因はポリープ
良性腫瘍である子宮内膜ポリープは、気づかない方もいるほどであり、たとえ子宮内膜ポリープができていても体に大きな影響を感じることは少ないです。しかし、妊娠を望む女性にとっては不妊の原因となることがあります。
妊娠は、受精卵が子宮内膜に着床することによって成立しますが、子宮内膜ポリープがあることにより、受精卵が着床できない着床障害がおこることがあります。
しかし、なかなか妊娠しないために受診しても、小さなポリープの場合は検査で見落としてしまうこともあり、不妊の原因として特定できないことも少なくありません。
子宮内膜ポリープは、子宮内膜の増殖する時期に発見されやすいため、不妊の原因がはっきりしない場合は、月経の少し前から月経中に３ミリから５ミリ程度の細いファイバースコープを使って子宮内を観察できる子宮鏡検査を受けることにより、子宮内膜ポリープが発見される可能性があります。
子宮内膜ポリープが原因の不妊であった場合は、ポリープを切除することにより、妊娠の確率が高くなることが期待できます。
治療は手術療法が主体
子宮内膜ポリープは、エストロゲンが関与していると考えられているものの、服薬による有効な治療法はありません。そのため、治療の主体はポリープを切除する手術療法になります。
小さなポリープであれば、子宮鏡検査の際にそのまま切除してしまう場合もありますが、大きいものになると改めて手術をおこなうことになります。
手術には２通りの方法があり、子宮内膜を掻き出す内膜掻爬術と、子宮鏡を挿入してメスで切除する子宮鏡下手術になります。どちらの手術であっても、麻酔を使用して膣から処置をおこなうため、外来の日帰り入院のみで可能な場合が多いでしょう。
しかし、どのような手術であってもリスクが伴うため、子宮内膜ポリープがあまりにも大きかったり、不妊の原因や出血、貧血、周辺臓器への影響など何らかの症状を招いている場合や、ポリープのできている場所によっては手術をおこなう必要がありますが、特に目立った症状がない場合は経過観察のみで必ず手術をしなければならないわけではありません。
そのため、症状とライフプランなども考えて、医師と相談して決めることになるでしょう。
術後の経過と妊活
２通りの手術方法のうち、どちらを受けても子宮内膜のポリープを切除しているため、出血や腹痛がおこることがありますが、出血は１週間程度であり痛みも徐々に治っていきます。
万が一、出血が長引いたり量が多くなる、耐えられないような痛みが続くという場合は何らかの異常がおきている可能性が考えられるため、早めに受診するようにします。
順調に経過している場合は、感染を防ぐために１週間程度は入浴を避けてシャワーだけで済ませるようにし、清潔を心がけましょう。また、活動量が増えると出血を招いてしまうため、できるだけ安静にすることが望ましいです。
子宮内膜ポリープの術後の経過は良好である場合が多いため、ほとんどの方は術後の経過を診るための検診が終わったあとは受診することがなくなります。
しかし、子宮内膜ポリープは、切除したあとに根元が残っていると再発する可能性もあります。そのため、定期的に検診を受けに行くことをおすすめします。
また、妊娠を希望している方は、術後の経過と共に子宮内膜が厚くなってきたことが確認できてからが妊娠のよいタイミングであるため、術後の検診の際に医師に確認してみるとよいでしょう。一般的には、術後の翌周期から試みてもよいといわれています。
まとめ
子宮内膜ポリープの手術後の妊活
子宮にできる良性腫瘍
不妊の原因はポリープ
治療は手術療法が主体
術後の経過と妊活