子宮筋腫 によって、様々な不快症状が起こります。月経時の出血異常が最も多い自覚症状として報告されていますが、月経時以外にもいろいろな症状がでてきます。これは筋腫が大きくなり、内臓や神経を圧迫することにより起こります。代表的な症状として 腰痛 があります。
子宮筋腫が原因で起こる腰痛
子宮筋腫とはどんな病気か
子宮筋腫は、子宮内にできる良性の「こぶ」です。女性ホルモンが関係していると言われていますが、はっきりとした発生のメカニズムは解明されていません。
子宮にはもともと筋腫核になるものがあり、体質やホルモン分泌によって子宮筋腫のできやすい人とそうでない人にわかれると言われていますが、20代~50代の女性の4、5人にひとりは子宮筋腫を持っていると言われています。
女性ホルモンの分泌が活発な月経期には筋腫が縮小したり消えてなくなることはありません。しかし妊娠中や閉経後に急激に縮小したりする事例がとても多くこのことからも女性ホルモンが大きく関係していると言われる理由です。
月経期の筋腫は大きくなり続ける
妊娠中や閉経後を除き、月経期の筋腫は放っておけばどんどん大きくなります。最初は小さな筋腫のため無自覚、無症状ですが、大きくなるにつれて月経痛や月経時の出血異常等の症状が出てくるようになります。
また、内臓や周辺神経も圧迫し始めますので圧迫された箇所に痛みや不調として自覚症状が出てくるようにもなります。以下は代表的な症例です。
- 膀胱を圧迫する場合・・・頻尿
- 尿道や周囲神経を圧迫する場合・・・排尿痛
- 直腸を圧迫する場合・・・便秘
- 骨盤内神経を圧迫する場合・・・腰痛、下腹部痛
常に圧迫し続けるので、これらの痛みや不快症状は月経時にはより強く症状が出たり、月経時以外でも常時悩ませれる事になります。
子宮筋腫が原因の腰痛について
腰痛として症状が出やすい筋腫の種類は、「しょう膜下筋腫」の代表されるような子宮の外側に膨らむ場合です。骨盤内の神経や骨盤自体を圧迫すると、腰痛として自覚が出ます。
腰痛とひと言にいってもぎっくり腰のようにズキーンと響くような痛み方、月経痛の時のような腰周りの鈍痛、筋肉痛のような痛み、ズキズキと疼くような痛み方等人によって様々です。
腰の痛みを訴える方のうち相当数の方は、下腹部痛や足の付け根のひきつれやしびれなども同時に症状としてお持ちの方もいらっしゃいます。
腰痛に付随する痛みや不快症状について
下腹部痛や足の付け根の引きつれや足のしびれの原因は2つ考えられます。
- 筋腫が複数あり、それぞれが各組織や神経を圧迫して痛みや違和感を引き起こしている
- 子宮を支えているじん帯が子宮筋腫によって引っ張られ、歪みが生じ痛みや違和感として感知されている
特に、2については、月経の際の不快症状として筋腫のない人にも経験があるかもしれません。子宮をお腹の中で支えているじん帯は、太ももの付け根とくっついています。
月経や出産のときには中の経血や胎児を押し出すために、収縮するのですが収縮の際はこのじん帯が引っ張られ、通常時よりも緊張状態となります。
そのため、痛みやひきつれとして自覚するのですが、成長した筋腫により子宮が変形したり、じん帯自体に接触しているようなときには月経時以外にも常時引きつれを感じたり、痛み・しびれ・違和感を感じたりするわけです。
腰痛の治療
根本的に対策するならば、手術によって筋腫を切除してしまうことです。腰痛ををはじめとした子宮筋腫が原因となっている各種症状が改善します。ですが、手術する以外にも痛みを緩和する方法として、
- 筋腫自体を縮小し、痛みを緩和するための治療
- 腰痛を緩和するための治療
がとられます。1.についてはホルモン剤を用いて、腰痛の原因である筋腫を縮小することで諸症状の緩和を目指すものです。
2.は、鎮痛剤の投与により痛みを緩和する療法です。漢方薬を併用したり、1.と2.の治療を同時に進めたりすることもあります。
まとめ
子宮筋腫が原因で起こる腰痛
子宮筋腫とはどんな病気か
月経期の筋腫は大きくなり続ける
子宮筋腫が原因の腰痛について
腰痛に付随する痛みや不快症状について
腰痛の治療