子宮筋腫のつらい症状のひとつに「出血」があります。特に、月経時の出血の様子が今までと違う、何かおかしいという自覚症状から婦人科受診、子宮筋腫であることがわかるというパターンは非常に多いのです。 子宮筋腫 がある場合の 出血 とはどのような症状なのでしょうか。
子宮筋腫の影響で起こる出血とは
月経時の出血
子宮筋腫のある方のうち、60~70%の方は、無症状だと言われています。症状のある方のうちほとんどの人が自覚症状として、「月経時の出血の異常」を感じています。
子宮筋腫が月経時の異常を引き起こす原因として、子宮面積を押し広げてしまうことが考えられます。筋腫によって、子宮の面積が広がりその分子宮内粘膜が増量→出血量が増えるということです。
また、子宮の収縮が筋腫によって妨げられるため出血期間が長くなり、月経がダラダラと10日間以上も続くこともあります。これらの月経時の出血異常のことを「過多月経」と呼びます。
「過多月経」とはどんなものか
子宮筋腫による月経時の症状で最も多いのが出血量の増加です。これは人によってまちまちではあるものの、多くの方が「長時間用ナプキンやタンポンが1時間で交換しなくてはならないほど」の出血を自覚しています。
夜中に何度もトイレに行かなくてはならない、仕事などが忙しくてトイレに行くタイミングが遅れるとすぐに洋服を汚してしまう、出血があまりに多くて貧血になる、普段通りの生活が困難で、寝込んでしまう等々身体的にも精神的にも負担が非常にあるものです。
過多月経と認められる具体的症状は以下の通りです。
- 全体的にドロドロとした経血であることが多いが、逆にサラサラの血液である人もいる
- 月経時の出血量が非常に多い
- 経血にレバーのような血の塊が出る
- 月経の期間がダラダラと10日以上続く
経血にレバー状の血の塊が含まれるようになる原因ですが、筋腫が粘膜に近い場所にある場合や粘膜下筋腫の場合に多く見られます。子宮内で固まった血液が完全に溶かしきれずに塊のまま排出されたもので、人によってはこぶしほどの大きさほどもある塊が出る人もいます。
月経時以外の出血・・・不正出血
月経時でもないのに、出血することを「不正出血」といいます。この不正出血の原因はさまざまあるものの、子宮筋腫による不正出血も大変多い症状です。
過多月経の場合と同じく、原因は子宮内膜の面積が筋腫によって押し広げられ、子宮の収縮に部分的または全体的にばらつきが出ることによって起こります。具体的に以下のような症状については、不正出血にあたります。
- 月経時の出血が10日以上止まらないようなとき
- 月経でもないのに断続的または突発的に出血があるようなとき
このような症状が出やすいのは、粘膜に近い場所にできた筋腫、粘膜下筋腫の場合に多いと言われています。なお、不正出血も過多月経と同様に、多量の出血により貧血になりやすい状態になります。
出血の異常を感じたら
以上のように、子宮筋腫が引き起こす出血は心身共に非常な負担となる場合が非常に大きく、生理ナプキンや市販鎮痛薬の購入等での経済的負担もかなりのものになります。出血と痛みが1か月のうち半分以上の期間を占める方も少なくないのです。
しかも、筋腫は放っておいても自然に消えてなくなることはなく、むしろどんどん成長するものですから辛い症状も程度が酷くなることはあれ、楽になることはありません。以上の理由から、月経時の出血や不正出血、また貧血があるようなら婦人科受診をするべきです。
治療方法
子宮筋腫と診断された場合、治療としては大きく3つにわかれます。
経過観察
筋腫が比較的小さい、数が少ない、妊娠希望の場合には不妊の原因になっていない、症状が軽く、生活に支障をきたさないような場合。
薬物療法
薬物療法の目的は、筋腫の縮小によるつらい症状の緩和です。従って経過観察と同様妊娠希望がある等、子宮の温存を望む方や手術に抵抗のある方への治療となります。
手術
筋腫核のみを切除するか子宮全摘出するか、また開腹するかしないか等筋腫の状態やその人のQOLに応じて術式が選択されます。薬物療法ではQOLの回復が見込めない場合や、不妊原因が筋腫にあるような場合、悪性の「子宮肉腫」が疑われるような場合には、手術を勧められます。
このように、経過観察となるか、薬物療法や手術を選択するかはその人の症状の重たさや妊娠希望の有無などに大きく左右されます。近年は患者のQOL(Quality of Life=生活の質)が最優先されるという考え方が大きく浸透し、患者の希望を最優先されることがほとんどです。
まとめ
子宮筋腫の影響で起こる出血とは
月経時の出血
「過多月経」とはどんなものか
月経時以外の出血・・・不正出血
出血の異常を感じたら
治療方法