子宮筋腫 と聞くと不妊や子宮摘出などとても恐ろしい病気に感じるかもしれませんが、経過観察で十分の場合やダメージの少ない内視鏡手術で治ることもあります。
必要以上に心配せずに病院へ行ってみましょう。
子宮筋腫、侮れないけど心配しないで
子宮筋腫とは
子宮筋腫とは子宮に出来る固いこぶ状の良性腫瘍です。女性の多くにでき、顕微鏡で見るサイズを含めると過半数の女性が持っていると言われています。
30代以上の女性に多いといわれますが、20代の女性にもできます。
サイズは顕微鏡レベルから数十センチまで様々です。出来る場所は90%以上が子宮体部に発生するといわれていて、残りは子宮頸部に出来ます。
筋腫ができる位置によって3つに分けられます。
子宮の内側に向かってできたものを“粘膜下筋腫”、子宮の筋肉(筋層)の中にできたものを“筋層内筋腫”、子宮の外側に向かってできたものを“漿膜(しょうまく)下筋腫”と呼びます。
どのタイプもサイズや症状の程度によって経過観察で済む場合が多いです。特に“漿膜下筋腫”は数センチのものが複数出来ても経過観察で済む割合が高いです。
子宮筋腫ができる原因
実は子宮筋腫ができる原因はあまり分かっていません。女性ホルモン(エストロゲン)が関わっているといわれています。
初潮が来る前には子宮筋腫は出来ず、閉経後(エストロゲンの分泌がなくなった後)にも子宮筋腫は発生せず、すでにある筋腫も縮小します。
子宮筋腫の症状
子宮筋腫が小さいうちは月経量の増加、それによる貧血症状(何となくだるい、動悸・息切れなど)、月経痛の悪化がみられる程度です。
大きくなると下腹部に膨満感やコブがゴロゴロするような感覚(腫瘤感)を感じることもあります。巨大な筋腫になると神経を圧迫して腰痛や排尿障害を起こしたり、下肢が浮腫んだりすることもあります。
子宮筋腫ができる場所によっては子宮腔の変形や筋肉のねじれなどにより、重い月経痛を起こすことがあります。稀に筋腫が大きく、重すぎて膣の中まで下がってくる場合(筋腫分娩)もあります。
子宮筋腫のリスク
子宮筋腫は不妊症や流産、早産の原因になる恐れがあります。恐らく“子宮筋腫”と聞いて皆さんが心配になるのがこの点だと思います。
子宮筋腫の治療
驚いたことに子宮筋腫で治療が必要なのはほんの10%だといわれています。そして治療の方法は子宮全摘出だけではないのです。
つまりほとんどの場合、経過観察(定期的に子宮筋腫の状態を見てもらう)だけで、特に何もしなくても良いのです。(誤解を招かないように記載しますが、経過観察は怠らないでください)
ではどんな場合に治療が必要なのか?貧血や生理痛などが酷くて生活に支障をきたす場合や、悪性腫瘍の疑いがある場合、不妊の原因となっていると考えられる場合、分娩障害が予想される場合です。更に年齢や妊娠の希望の有無なども考慮して治療がなされます。
妊娠の希望がある場合は筋腫部分のみを摘出する手術(子宮筋腫核出術)を選択することができます。
この方法は開腹手術が主流でしたが、お腹に1CM位の穴を開けてカメラで内部を観察しながら膣部分から子宮筋腫だけを除去する腹腔鏡手術、全くお腹を切らずに膣から子宮鏡という内視鏡の一種を入れて膣から子宮筋腫を除去する子宮鏡手術という方法も選択できるようになりました。
これらは開腹手術に比べてダメージが少なく、回復も早いので手術後の回復期間のストレスも軽減されます。しかし、再発の可能性はありますので早期に妊娠を計画するのが良いといわれています。
妊娠の希望がない又は40歳以上の場合は子宮全てを摘出する単純子宮全摘除術を勧められます。こちらも開腹手術が一般的でしたが、以前は出産経験のある患者さんのみ適用されていた膣式手術も行われるようになりました。
膣を少しだけ切り、お腹に1CM位の穴を開けてカメラで内部を観察しながら子宮が繋がっている靭帯などを切り、膣から子宮を引っ張り出して切り取るのでやはり回復が早く痛みも少ないです。アメリカではこちらの方法が一般的になっているようです。
子宮筋腫、恐れず先ずは病院へ
どうでしたか?子宮筋腫=子宮摘出ではなく、治療は何もせずに経過観察のみで済む場合。子宮筋腫=不妊でもなく子宮筋腫核出術で妊娠が可能になる場合。希望が見えてきませんか?
その為にはどの病気でもそうですが、早期発見が大事です。生理に異常を感じたら早めに病院に行きましょう。
まとめ
子宮筋腫、侮れないけど心配しないで
子宮筋腫とは
子宮筋腫ができる原因
子宮筋腫の症状
子宮筋腫のリスク
子宮筋腫の治療
子宮筋腫、恐れず先ずは病院へ