自治体などがすすめている子宮癌検診は、長年にわたって「日母分類(子宮頸部細胞診報告様式)」という形がとられてきました。昨今、子宮癌検診の結果から推定病変を表示する必要があることから新たな様式が導入されつつあります。 子宮癌検診 の 結果 の見方をご紹介いたします。
新方式もある子宮癌検診の結果のクラスわけ
日母分類によるクラスわけ
子宮癌検診の結果は長年にわたって日母分類(子宮頸部細胞診報告様式)を用いてきました。検診結果をⅠ~Ⅴに分類するこの方法は数値化されているために使い勝手がいいと言われて広く活用されてきました。
細胞診のクラス分類は、クラスⅠ・正常、クラスⅡ・異常細胞を認めるものの良性のものである、クラスⅢa・少し悪性を疑う軽度異形成を想定する、クラスⅢb・かなり悪性を疑う高度異形成を想定する、クラスⅣ・きわめて強く悪性を疑う上皮内癌を想定する、クラスⅤ・悪性で浸潤癌(微小浸潤癌を含む)を想定するの5クラスとなっています。
クラスⅠを異常なしとしてクラスがⅡからⅤへと数値が大きくなるにしたがって悪性度が高くなるこの分類法の問題点は、癌がクラスⅡの次はⅢという具合に悪化していくとは限らないものであること、クラス間を行ったり来たりするような場合もあることだとされています。
つまり、結果のクラスわけがそのまま進行度を示すことにならないということに注意が必要だと言うことができます。
新方式(ベセスダシステム)とは
子宮癌検診の検査結果から推定病変を推定できることが必要であるという考え方に基づいて導入されたのが、ベセスダシステム2001準拠・子宮頸部細胞診報告様式です。
ベセスダシステムでは検診結果を扁平上皮系の異常と腺系の異常にわけて分類されています。
扁平上皮系では陰性、軽度病変疑い、軽度病変、高度病変疑い、高度病変、扁平上皮癌の6つに分類されます。腺系では陰性、病変又は癌疑い、上皮内腺癌、腺癌の4つに分類されています。
ベセスダシステムでは言葉を読むことによって、それぞれどのような病変が推定されているのかがわかるようになっています。ただし、従来の日母分類に慣れ親しんできた方にはわかりにくいという印象を与えるような場合もあるようです。
そのために、従来の日母分類を使用したり、ベセスダシステムに日母分類を併記する形をとっている医療機関もあるようです。
検査結果がわかったら
子宮癌検診の結果で再検査が必要となった場合には、コルポスコープ診や組織検査を行うことになります。コルポスコープ診とは組織を拡大して観察するもので、子宮の血管や粘膜の状態を直接肉眼で観ることができるのが利点です。
コルポスコープ診において細胞の異形成などが見つかった場合にはそれらの部位から細胞を採取して組織検査をすることになります。組織検査では異形成の悪性度や癌の有無などを明確にすることができます。
子宮癌であるという診断が下るとMRIなどの画像診断などによって癌がどこまで浸潤しているのか、リンパ節や他の臓器への転移はあるのかなどを調べて治療方針が決定されることになります。
子宮癌検診の勧め
一般的な子宮癌検診で行われている子宮頸癌検診では癌になる前に病変を発見することができます。
ご存知のように、子宮頸癌は初期にはほとんど自覚症状がなく、気づいた時にはかなり病状が進んでいたということも珍しくありません。検診を受けることで全癌状態の病変やごく初期の癌を見つけることができるのです。
早期発見ができれば、子宮頸部の異常のある部位を円錐状に切り取る円錐切除術で完治できるだけでなく、子宮を温存することが可能なので、術後の妊娠・出産も望める可能性があります。
発見が遅れてしまうと子宮を全摘出することになってしまうばかりか、命にかかわるようなこともあります。
国立がん研究センターがん対策情報センターの調べによると、わが国では年間におよそ1万人が子宮頸癌と診断されて、年間で2,700人もの方が亡くなると言います。大切な子宮と命を検診で守ることを強く推奨いたします。
まとめ
新方式もある子宮癌検診の結果のクラスわけ
日母分類によるクラスわけ
新方式(ベセスダシステム)とは
検査結果がわかったら