子宮に出来たコブのような良性の筋腫を 子宮筋腫 といいますが、現代では3人に1人がこの子宮筋腫を抱えているといわれています。女性にとって身近な子宮筋腫は症状がなければとくに問題はなく、子宮筋腫全体の約10%しか治療を必要としません。しかし 妊娠 が関係してくると、これは少し話が変わってきます。
ここで子宮筋腫が妊娠前、妊娠中、また出産後の身体にどのように関わってくるのか、いくつかの可能性と治療を考えてみましょう。
妊娠中に子宮筋腫が見つかった!
どうしよう!大丈夫!?
なかなか妊娠しないけど、もしかして子宮筋腫が原因?
不妊症の治療をスタートする場合、病院では先ず女性の身体に大きなトラブルを抱えていないか検査をします。今まで痛みや出血で悩んでいなかった女性でも、少ない例ではありますが、実は子宮筋腫があり卵子の着床しにくい身体であると指摘される事もあります。
子宮筋腫は発見されても、痛みや出血がなければ年に一度程度の経過観察で済む病気で、日常生活では自分が病気である事を忘れてしまう方も多いでしょう。筋腫があっても妊娠する方も多いので、ご自分の不妊の原因が筋腫だとは気付きにくいものです。しかしながら、筋腫が5センチを超えた場合、不妊の原因のひとつになる可能性が高いといわれています。(もちろん不妊の原因は他にも沢山あります。男性側の身体にも可能性があります)。
また「不妊の原因が筋腫ではないと医師に言われていたが、筋腫を手術で取ったらすぐに妊娠した」との例も多いので、不妊で悩まれている方は一度筋腫の大きさや場所を確認し、医師に相談しましょう。
妊娠中の定期検診で子宮筋腫が見つかった!どうしよう!大丈夫!?
妊娠中の定期検診で筋腫が見つかる。これは、実は珍しい事ではありません。なぜなら筋腫はホルモンに深く関係し、特に妊娠前期に多く分泌されるホルモンに過剰に反応し大きくなるからです。
「どうして大事な時期に筋腫が出来てしまったんだろう」と悩まれる方もいるかもしれませんが、ほとんどの場合は妊娠中期に筋腫が柔らかくなり、赤ちゃんの成長を邪魔する事はありません。出産間際には筋腫は子宮の一部のようになり、赤ちゃんも子宮筋腫で成長を妨げられる事もなく問題なく出産を迎えるでしょう。
子宮筋腫と言われても不安にならず、定期検診で筋腫の大きさを確認し、医師と経過を観察しましょう。ただ注意しなければいけないことは、筋腫の炎症等によりお腹が痛む時です。少しでも痛みを感じたらすぐに受診します。痛みは張りの症状で現れることもあります。お腹の痛みが筋腫からきているかどうかのは判断は自己判断できませんが、妊娠中のお腹の痛みは他の原因だとしても良くない事なので、すぐに受診しましょう。
また、かなり可能性は低いのですが、妊娠中でも手術を必要とする場合もあります。胎児を子宮内に残したままの手術は流産・早産のリスクを高めますので、滅多に行われることはありません。しかし腫瘍が悪性であった、大きすぎる、など手術の理由はいくつかあります。また頚部に出来た腫瘍が出産の邪魔をし、帝王切開になることもあります。これは陣痛がきてから赤ちゃんがどこまで下がるかで判断しますが、頚部の場合は帝王切開の可能性が高いでしょう。
無事に出産!ところで、あの筋腫はどうなった?
古い時代には、産後に筋腫が原因で熱が出る、子宮の収縮を邪魔すると言われていました。しかし現代の産婦人科の多くは出産後に子宮収縮剤を使用し、微熱があれば抗生物質を使用します。ですから筋腫があることで「産後の肥立が悪い」のは考えられません。しかし産後は筋腫が菌に感染する可能性の高い時期であるのは今でも変わりありません。異常出血など、身体の変化に十分に注意してください。
子育てで忙しくなると自分の身体のケアは二の次になりがちです。しかし、たとえ無自覚でも、筋腫の大きさに変化があったり、数が増えていることもあります。それが二人目の不妊に繋がったり、月経異常などの原因になってしまうかもしれないので、赤ちゃんの健康診断と同じくらい重要と考え、定期的な婦人科検診で観察をしましょう。
子宮筋腫は特に症状がなければ、閉経後には小さくなります。つまり妊娠中に子宮筋腫になった方は、長い人で30年以上も付き合うということです。知識をしっかり持ち、必要以上に不安になることなく、上手に子宮筋腫とお付き合いしましょう。
まとめ
妊娠中に子宮筋腫が見つかった!どうしよう!大丈夫!?
なかなか妊娠しないけど、もしかして子宮筋腫が原因?
妊娠中の定期検診で子宮筋腫が見つかった!どうしよう!大丈夫!?
無事に出産!ところで、あの筋腫はどうなった?