最も身近な女性疾患と言えば、真っ先に 子宮筋腫 が挙げられます。子宮筋腫とは子宮に出来た良性の腫瘍で、「30代を過ぎると3人に1人は子宮筋腫」と言われています。この割合は筋腫の大きさが目に見える場合の数字で、更に筋腫の大きさを顕微鏡の範囲にまで広げると半数以上の女性が当てはまると考えられています。それだけ子宮筋腫は女性にとっては身近な病気といえるでしょう。
子宮に筋腫がある事で身体に及ぼす影響は、実に多様です。複数の筋腫があっても全く無自覚な方もいれば、その逆に筋腫が日々の生活を脅かし痛みや出血が続き、最終的に手術を必要とする方もいます。筋腫の大きさも、数センチから数十センチまで成長してしまう例もあります。子宮筋腫が悪性に変化する事は少なく、治療を必要とするのは約10%でほとんど命に関わる病気ではありません。しかし一度子宮筋腫になると定期的に観察を必要とする煩わしい病気でもあります。
それでは、子宮筋腫の 原因 について見ていきましょう。
最も身近な女性の病気、子宮筋腫。その原因は?
- 目次 -
子宮筋腫にも種類がある
子宮内のどの部分に筋腫が出来たかにより、筋腫の種類が分けられます。
◇筋層内筋腫(きんそうないきんしゅ)
子宮の平滑筋に出来た腫瘍を筋層内筋腫と呼びます。子宮筋腫の殆どが筋層内筋腫と考えても良いでしょう。小さいうちは症状がなく、治療の必要はありません。しかし大きくなると月経の出血量が増え月経痛が悪化し、場合によっては不妊の原因にもなっています。
◇漿膜下筋腫(しょうまくかきんしゅ)
子宮壁の最も外側に出来た筋腫で、外に向かって大きく成長します。子宮から突出していくので月経の変化などで気付く事は少なく、出来た位置により膀胱を圧迫すると頻尿に、直腸を圧迫すると便秘になります。膀胱炎かな?と思い受診したら、思わぬ子宮筋腫が見つかる事もあります。
◇粘膜下筋腫(ねんまくかきんしゅ)
子宮の内側に向い成長する筋腫です。子宮内膜に筋腫の栄養血管が露出するので、月経の変化で受診し筋腫が見つかる事も少なくありません。月経の際に大出血し貧血で倒れたり、受精卵が着床しにくく不妊の原因になっていたりと、症状が重い場合は手術の可能性も他の場所の筋腫に比べ高くなります。
◇頸部筋腫(けいぶきんしゅ)
子宮の膣側に出来る筋腫で、月経の異常で見つかりやすい筋腫です。悪化すると月経の回数が異常に増え、貧血になり、最悪手術が必要になります。
子宮筋腫の原因
では、子宮筋腫の原因とはいったい何なのでしょうか。
一般的に「10代前半の女の子が子宮筋腫になった」というのはあまり聞いた事がないと思います。なぜなら子宮筋腫には女性ホルモンが深く関係し、ホルモンの分泌がまだ盛んではない年代は子宮筋腫を発生しにくいと考えられているからです。
最近の研究では、子宮筋腫の芽は生まれる前からあるのではないかといわれています。子宮は子宮平滑筋で構成されており、妊娠中など子宮の大きさが変わるための重要な働きをします。まだお母さんのお腹の中にいる胎児期に、平滑筋細胞が分化する際に何らかの影響を受け、思春期の性ステロイドホルモンが増えてくると反応し、過剰反応した場合には子宮筋腫になると言われています。不思議な事に胃や血管壁も平滑筋で出来ていますが、成長と共に分泌されるホルモンに過剰に反応することはなく、子宮の平滑筋だけがホルモンに過剰に反応します。
つまり子宮筋腫の原因は生まれる前からある筋腫の芽であり、順調に成長した女性であれば、誰でもなりうる病気という事なのです。
また他にもストレスや環境が影響しているのでは、との見方もありますが、これは医学的には証明されていません。現代はストレスの全くない生活は難しい時代ですから、「あの時の悩みや体調が原因だったのでは!?」などと考えず、「女性なら誰でもなりうる」との心構えで子宮筋腫と向き合いましょう。
女性ホルモンが関係するので思春期前にはほとんど発病せず、また成人して子宮筋腫が出来たとしても、閉経後は自然と小さくなる事がほとんどです。しかし一度子宮筋腫と診断されたら、症状がなくても経過を観察するため定期的に受診しましょう。また生理不順・月経痛・貧血・腹痛など症状のある方や、不妊で悩んでいる方は一度筋腫の検査を受ける事をおすすめします。
まとめ
最も身近な女性の病気、子宮筋腫。その原因は?
子宮筋腫にも種類がある
子宮筋腫の原因