粘膜にできる良性腫瘍のことをポリープと呼びますが、声帯ポリープは文字通り声帯にポリープができる病気です。
歌手やアナウンサーなど声帯を酷使する職業の方に多いことがよく知られています。自然治癒することもあると言われていますが、声帯ポリープが見つかった場合はどうすればいいのでしょうか。
声帯ポリープ 治療後の注意点をご紹介いたします。
ここが怖い声帯ポリープ
声帯ポリープとは
声帯は咽頭にある声を出すための器官です。左右2本のヒダ状になった声帯を動かすことで、そこを通る空気を振動させて声を出す仕組みになっています。声帯は筋肉と靭帯からできていますが、表面は粘膜に覆われています。
声を出すときには声帯膜様部の中央部が最もよく振動すると言われています。咽頭の内咽頭筋が声帯の左右のヒダを寄せたり、広げたりして厚みを変えて声帯をコントロールしています。
声帯ポリープとは文字通り声帯にポリープができる病気です。ポリープができると声帯はうまく閉じることや振動することもできづらくなるために声が出しにくくなります。
ポリープはほとんどの場合左右のどちらか片方にできますが、ポリープが大きかったり、長い間放置したりすると反対側の声帯にも何らかの変化が起こることがあります。
初期症状は喉の奥の方の違和感を感じる方が多いようです。進行するにつれて声がかすれるようになってきます。話している途中で声が続かなくなったり、人によっては唾液を飲み込む際にしみるようになったというような方もあるようです。
非常に稀なことではありますが、大きなポリープのために呼吸困難を起こしてしまうということもあります。
声帯ポリープはなぜできるのか
声をよく出す職業の方や風邪や喫煙によって声帯の粘膜に充血が起こっている時、大きな声を出すなどして声帯にさらなる負担をかけると声帯の粘膜の血管が破れて血腫ができてしまいます。
血腫ができて声帯が腫れた状態でまだ声を出し続けるとポリープになってしまうのです。
歌手や教師、カラオケやスポーツ観戦が趣味の方に声帯ポリープになる方が多いのは上述のようなことが原因と言えます。また、統計的にみても非喫煙者に比べて喫煙者の方が声帯ポリープになりやすいようです。
声帯ポリープの診断と治療
専門医は声を聴くとおおよその診断がつくとも言われていますが、声帯は直接観察することのできる器官ですので間接喉頭鏡や喉頭ファイバースコープを用いた内視鏡を使って診察を受けることになります。
治療は保存療法か手術療法のいずれかを選ぶことになります。
保存療法とは声を出さないことで声帯への刺激を減らして、吸入などで声帯の炎症を抑える療法です。消炎酵素剤や消炎鎮痛剤など炎症のタイプによって薬を使いわけて炎症を鎮めます。
ステロイド剤や漢方薬などを処方する医療機関もあるようですが、効果があらわれるまでにはかなり時間がかかるようです。声帯ポリープは自然治癒することがありますが、それは声帯の酷使をやめることで自然に炎症が収まったということを意味しています。
手術療法とはラリンゴマイクロサージェリーという顕微鏡下で声帯の細部まで観察しながらポリープを切除するものです。全身麻酔下で行われ、手術後5日間の絶対沈黙期間を必要とします。
声帯ポリープ治療後の注意点
保存療法か手術療法のいずれかで治療を終えても声帯ポリープの発生の原因が声帯の酷使にある以上、再発防止のためには声を使い過ぎないことや正しい発声法を身につけることが望まれます。
日常生活においては、うがいの習慣づけや加湿器の使用やマスクの着用などで喉を守ることが大切です。
手術でポリープを切除しても手術前と同じ条件下では再びポリープができてしまう可能性が高いという自覚が必要です。喫煙者に禁煙をすすめられることが多いのもそのためです。
声帯ポリープは良性腫瘍ですが、切除したポリープの病理検査で悪性のものが見つかることがあります。
声帯にがんができる声門がんとよばれるものです。声門がんなどの喉頭がんも他のがんと同様に早期発見が非常に大切です。
早期に発見すれば、声を失うことなく治癒することも可能です。50歳以上で喫煙の習慣がある方で声のかすれや喉の奥の違和感がある方はとりわけ注意が必要です。
まとめ
ここが怖い声帯ポリープ
声帯ポリープとは
声帯ポリープはなぜできるのか
声帯ポリープの診断と治療
声帯ポリープ治療後の注意