血の中の甲状腺ホルモンが多くても(甲状腺中毒症)、少なくても(甲状腺機能低下症)、 生理不順 の原因になります。甲状腺ホルモンの数値は 病院 で血液検査を受けるとチェックしてもらうことが可能です。
また甲状腺中毒症、甲状腺機能低下症のどちらであっても、その大部分が治療により、ホルモン値を正常に戻すことができます。
甲状腺中毒症の原因で多いものはバセドウ病、甲状腺機能低下症では慢性甲状腺炎(橋本病)です。
生理不順の方は病院で甲状腺を調べるとよいかもしれません(前編)
生理不順と甲状腺機能異常
さまざまな理由で生理不順になりますが、原因が特定できないことや、原因が判明しても有効な対処法がない場合も少なくありません。
血の中にある甲状腺ホルモンが異常に多い病気(甲状腺中毒症)や、異常に少ない病気(甲状腺機能低下症。甲状腺中毒症と機能低下症の2つをまとめて甲状腺機能異常と言います)は日本人女性にしばしば見られる病気で、いずれも生理不順の原因になります。
そしていずれであっても、ほとんどの場合は治療によって甲状腺ホルモン値を正常値に戻すことができます。病院などほとんどの医療機関で採血検査をすると甲状腺ホルモンの値をチェックしてもらうことができます。もちろん婦人科でも可能です。
ご心配な方は一度甲状腺ホルモンを測定してもらうとよいでしょう。この項では甲状腺中毒症と甲状腺機能低下症について説明します。
なお甲状腺はよく腫瘍(しゅよう。何らかの“できもの”のことです。がんなどの悪性腫瘍や腺種(せんしゅ)などの良性腫瘍が代表的です)ができる臓器ですが、腫瘍は基本的に生理不順の原因にはなりません。
甲状腺中毒症と甲状腺機能亢進症、破壊性甲状腺炎
甲状腺ホルモンは首の前面、のどぼとけの下くらいにある甲状腺で作られているホルモンです。ホルモンをつくる→甲状腺内にためておく→血液中に分泌する、という過程でホルモンは血液中に出てきます。
甲状腺機能亢進症ではつくられすぎてしまうために、血液中の甲状腺ホルモンが異常に高い値となります。
一方で、甲状腺でホルモンをためていたところが壊れても、血液中の甲状腺ホルモン値は増加します。この病気を破壊甲状腺炎と言います。同じ甲状腺中毒症であっても原因によって治療法が全く異なるために、その見極めはとても重要です。
甲状腺機能亢進症、破壊性甲状腺炎のいずれでもない甲状腺中毒症の原因の1つに薬剤があります。
少し前ですが、海外からインターネットで購入できる“やせ薬”にブタの甲状腺を乾燥させてくだいたものがありました。その中に含まれているブタの甲状腺ホルモンを摂取したために、甲状腺ホルモン値が上がってしまったわけです。
ちなみに甲状腺ホルモンは全身の代謝を進める働きがあるために、甲状腺中毒症では体重が減少します。もちろん“病的に”やせているだけです。余談ですが、前述の“やせ薬”は副作用によって死亡例も出たために、大きな問題となりました。
まとめ
生理不順の方は病院で甲状腺を調べるとよいかもしれません(前編)
生理不順と甲状腺機能異常
甲状腺中毒症と甲状腺機能亢進症、破壊性甲状腺炎