「生理不順の方は病院で甲状腺を調べるとよいかもしれません(前編)」では、生理不順と甲状腺機能異常との関係、また甲状腺中毒症と甲状腺機能亢進症、破壊性甲状腺炎についてご説明いたしました。
後編では、バセトウ病とはどのような疾患であるのか、また甲状腺機能低下症についてご説明いたします。
生理不順 が心配な方は、一度 病院 で甲状腺ホルモンを測定してもらうとよいでしょう。
生理不順の方は病院で甲状腺を調べるとよいかもしれません(後編)
バセドウ病
甲状腺機能亢進症の大部分をしめるバセドウ病は、本来は自分の体を防衛する働きをしている免疫が、自分自身の甲状腺に反応してしまうために生じます(これを自己免疫と言います)。
自己免疫のために甲状腺細胞の表面にあるTSHレセプターに対する抗体が作られ、この抗体が甲状腺を刺激するために甲状腺が腫れる、あるいは甲状腺ホルモンが過剰につくられます。
治療は①薬(抗甲状腺と呼ばれる飲み薬です)、②アイソトープ治療、③手術の3種類の治療法があり、それぞれに長所と短所があります。
日本でもっとも行われている治療法は①の薬物療法ですが、時に重篤な副作用が出現する場合があり、注意が必要です。副作用を防ぐためにも繰り返しになりますが、本当に診断はバセドウ病で合っているのか?という見極めが大切です。
あまりにもバセドウ病の患者数が他の原因に比べて多いために、甲状腺ホルモンが増加している(甲状腺中毒症)=バセドウ病と誤診する医師がまだ少なからず存在しています。
診断や治療法に疑問をもたれた方は甲状腺専門医に相談するとよいでしょう。お近くの甲状腺専門医は日本甲状腺学会のホームページで探すことができます。
甲状腺機能低下症
甲状腺ホルモンが不足する甲状腺機能低下症はさまざまな原因によってさまざまな年齢に起こります。
もっとも多い原因である慢性甲状腺炎(橋本病とも言われる病気です)は40代以降の女性に多く、治療を必要としない軽度のものを含めると20%程度の成人女性は慢性甲状腺炎をわずらっているのではないかと考えられています。
あまりに患者数が多いために甲状腺機能低下症=慢性甲状腺炎と誤解している人(医師も含めて)も少なくありませんが間違いです。
慢性甲状腺炎(橋本病)もバセドウ病と同じく自己免疫が原因で炎症を生じるために起こりますが、どうして女性に多いのかを含めて、発症するしくみが正確には判明していないのが実情です。
甲状腺の炎症の程度により、慢性甲状腺炎ではあるものの軽度で治療は不要のものから、甲状腺機能低下症をきたすものまでさまざまです。
慢性甲状腺炎の患者さんのうち治療が必要なほど甲状腺ホルモンが不足する人は5%程度と推定されています。
甲状腺ホルモン剤を服用することで、簡単に治療することができます。バセドウ病の薬とは違って、危険な副作用もありません。ただしふつうは生涯にわたって服用し続けることが必要です。
まとめ
生理不順の方は病院で甲状腺を調べるとよいかもしれません(後編)
バセドウ病
甲状腺機能低下症