大学病院や街中の医院でも整形外科と形成外科という科目をよく見かけます。街中の医院の看板をよく見ると、この2つの診療科目が併記されている場合もいない場合もあるようです。
整形外科 と 形成外科 はどこが違うのかについてご紹介いたします。
整形外科と形成外科の違いを知って適切な受診を!
整形外科と形成外科の違い
日本整形外科学会によれば、整形外科は「骨や関節などの骨格系とそれを取り囲む筋肉やそれらを支配する神経系からなる運動器の機能改善を重視して治療を行う」外科で、背骨や骨盤などの体の土台になる骨と四肢を主な治療対象としています。
背骨と脊髄を扱う「脊椎外科」、上肢を扱う「手の外科」や「肩関節外科」、下肢を扱う「股関節外科」や「膝関節外科」・「足の外科」、スポーツによる損傷を扱う「スポーツ医学」、「リウマチ外科」、腫瘍を扱う「骨・軟部腫瘍外科」、骨粗鬆症を扱う「骨代謝外来」など整形外科にはさまざまな専門分野があります。
一方、形成外科は「生まれながらの異常や病気やケガなどによってできた身体表面の見た目のよくない状態を治療する」外科で、頭や顔面を含めた体全体を治療対象としています。
形成外科の一般的な治療項目はやけどの治療、ケガや手術の傷跡の治療、ケロイドやアザの治療、皮膚や皮下の腫瘍の切除、眼球の周りの骨や頬骨などの顔面骨折の治療などです。
また、頭蓋骨や顔の骨の生まれつきの変形矯正手術や口唇裂や口蓋裂、小耳症などの形成手術、顔面の部分欠損の再建手術、乳癌で切除した乳房の再建手術、漏斗胸や鳩胸の胸の変形矯正手術なども形成外科で行われます。
合指症や多指症の生まれつきの異常や手指の外傷や切断については整形外科でも形成外科でも行われます。
なぜ混同される整形外科と形成外科
形成外科という分野は学問的に整形外科より遅れて確立されたものです。形成外科という分野が確立するまでは、整形外科でアザなどの体表の見た目のよくない状態をも治療していました。
形成外科は整形外科から分離する形で身体表面を治療する目的の外科として生まれたのです。
また、学問として形成外科が確立してからも、診療科目として標榜することが認められるまでの期間、形成外科が整形外科を名乗ってきたといういきさつもあります。
上述したように合指症や多指症など手足の指の先天的な奇形や指の切断など整形外科と形成外科のいずれもが扱う領域があることも混同してしまう要因になっているかもしれません。
その上、「美容整形」や「美容形成外科」という言葉がさらなる混同を生んでいるという側面もあります。ご存知のように美容外科は疾患を伴うものではありません。形成外科の一分野ではありますが、多くの場合に健康保険が適用されません。
具体例で考えると
実際の生活に即して、具体的に考えてみると骨折は整形外科、外傷は形成外科ということができます。
上述のように整形外科では体の運動に関する治療を行いますので、骨や関節の外傷や疾患・靭帯や筋肉の外傷や疾患・脊髄や神経に関する外傷や疾患・腰痛や肩こりなどが治療の対象となります。
また、形成外科では体の表面の形の治療を行いますので、ケガややけどの傷・がん手術で失った部位の再建・切除を必要とする皮膚の疾患・先天的な奇形の治療などが治療の対象となります。体の表面の傷や変形をきれいに治すのが形成外科の目的と言ってよいでしょう。
皮膚科も体表をきれいに治すという意味では形成外科に通じるところがありますが、皮膚科は皮膚における疾患を治す診療科目です。皮膚の腫瘍ややけどの治療は皮膚科の守備範囲ではありますが、全ての皮膚科医がレーザー治療や手術に対応しているとは限りません。
まとめ
整形外科と形成外科の違いを知って適切な受診を!
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