主に小児の間で流行するりんご病ですが、子供と接触することの多い20~30代の母親に感染することも多いものです。
大人 が りんご病 に感染した場合には、どのような 症状 がみられるのでしょうか。大人がりんご病に罹った場合の注意点も含めてご紹介いたします。
子供のりんご病とこんなにも症状が違う大人のりんご病
りんご病とは
長年にわたって、臨床的にりんご病の原因はウイルスであると考えられてきましたが、1983年にヒトパルボウイルスB19が病原であるという確証が得られました。
りんご病という病名の由来にもなっている頬が真っ赤なりんごのようになる症状は、ヒトパルボウイルスB19感染の2期症状にあたり、紅斑発疹はウイルスの直接作用ではなく、免疫応答の結果生じた産物の相互作用によるものだと言われています。
つまり、紅斑の出る頃にはウイルス血症は消失してすでに抗体ができているわけです。
感染症のサーベランスによると最近の全国流行はおおよそ5年周期で、爆発的流行とはならないものの、特定の集団に多発する小流行が多いようです。
飛沫感染し、潜伏期間は7~25日です。感染後1週間でウイルス血症がみられ、ウイルスの排出は感染後7~12日頃までみられます。紅斑がみられるのは、感染後17~18日頃だと言われています。
5~14歳くらいの子供に多く、男女差はありません。特定の流行期はありませんが、冬から初夏にみられることが多いようです。
感染のピークが5~9歳頃であることから、子供と接触する機会の多い20~30代の母親に感染することも多いものです。大人が感染した場合には、独特の症状とされる頬の紅斑がみられないことが多いことがよく知られています。
大人のりんご病の症状
上述したように、大人がりんご病に感染した場合には子供のように頬が赤くなることは少なく、ほてった感じを訴える場合が多いようです。その2~3日後に手・腕・太ももなどに小さな赤い斑点が出てきます。
この赤い斑点を注意深く観察すると連なっていて、レース模様のようになっています。さらに、手首や指、膝や腰の痛みが強くなり、手の指が曲がりにくくなったり、階段の上り下りが不自由になったりするようなこともあります。
また、大人の場合には38℃以上の高熱とめまいや吐き気が襲ってくるようなこともあります。熱は3日程度で解熱しますが、強いだるさが続くと言われています。
紅斑や関節痛は普通は1週間程度で治まりますが、中には3~4週間もの間、よくなったり悪くなったりを繰り返す場合があります。
子供の場合は感染しても紅斑が出るくらいでそれほど重い症状にはならないのに対して、大人が感染した場合には上述のように重症化して、症状が長引くことがあるのが特徴です。
その上、子供のりんご病のような頬の紅斑がみられないことや関節痛や筋肉痛を伴うためにりんご病という診断がつくまでに時間がかかる場合も多いようです。
大人のりんご病の注意点
りんご病の原因となるヒトパルボウイルスB19には骨髄の中にある赤血球をつくる細胞を壊す働きがあります。健康な方は多少赤血球ができなくなっても十分に赤血球の数に余裕がありますので問題はありません。
ただし、遺伝性球状赤血球症という病気がある場合には急激な貧血に陥ってしまうことがありますが、日本人には非常に稀な病気だと言われています。
特に注意する必要があるのが妊婦のりんご病です。妊婦が感染すると胎盤を通じて胎児にも感染します。
ヒトパルボウイルスB19は胎児の赤血球のもとになる細胞を壊してしまうために胎児は貧血の状態になり、貧血が進むとむくみのひどい胎児水腫という状態になるために最終的には流産や死産になってしまうことがあります。
妊娠20週未満のりんご病に感染した妊婦の30%は胎児にも感染し、その中の3分の1が胎児水腫や子宮内胎児死亡となると言われています。原因不明の胎児水腫や子宮内胎児死亡の20%にヒトパルポウイルス感染があるという報告もあります。
大人のりんご病は確定診断が下るまでに時間がかかる場合があることは上述しましたが、全身の関節痛や筋肉痛などを伴うために、エリテマトーデスなどの膠原病や関節リウマチなどと間違われることもあることにも要注意です。
まとめ
子供のりんご病とこんなにも症状が違う大人のりんご病
りんご病とは
大人のりんご病の症状
大人のりんご病の注意点