数年に一度流行をみせるりんご病。「りんご病は子供の病気」といわれていましたが、近年では大人もりんご病になる人が増えているようです。そして大人、特に妊婦に発症した場合は死産という悲しいリスクを伴う可能性も出てくるそうです。
今回は 大人 の りんご病 を紹介します。
子供だけじゃない!大人のりんご病は胎児にも多大な影響が!
りんご病の症状とは?
りんご病とはいわゆる通称で、正式名は伝染性紅斑(でんせんせいこうはん)です。見た目の症状として頬が赤くりんごのようになるために一般的にりんご病といわれています。
国立感染症研究所の報告では、りんご病は4年から6年周期で流行がみられて、流行年には主に6月から7月頃がピークとなっているそうです。
感染経路は飛沫感染(ひまつかんせん:せきやくしゃみなどによってしぶきが飛び散って、そのしぶきに含まれた病原体が口や鼻などの粘膜に触れて感染すること)や接触感染(手指・医療器具・手すり・ドアノブ・食べ物を通じて感染すること)となっています。
パルボウイルスB19というウイルスが原因で感染します。パルボウイルスB19の潜伏期間は4日から二週間程度といわれています。飛沫感染や接触感染によって感染したのち一週間ほどすると風邪のような症状が出始めます。
その症状が一週間程度続き治まってくると、りんご病特有の頬の赤みが出始めます。その後腕や太もも、おなかやお尻といった場所にのこぎりの歯型の紅斑がみられるようになります。
最初の鼻づまりや鼻汁、せき、発熱など風邪のような症状の段階では高熱が出ることもあまりないためにりんご病を疑う人が少なく、通院せず普段通りの生活をし続けてしまうことが結果的に感染者を増やしてしまうということが考えられます。
大人の発症時とは異なり、子供の発症の場合は軽い風邪のような症状と頬と体の紅斑の症状という重症化に至らないことが多いです。そのためもともと頬が赤めの子供の場合、親はわが子がりんご病だったことに気づかないまま完治してしまう不顕性感染の場合もあるそうです。
感染力はあまり強くないために大流行は避けられます。しかしウイルスの潜伏期間中に飛沫感染や接触感染によって広まってしまうために、乳幼児が多くいる保育園や幼稚園での流行を避けることは難しくなっています。
パルボウイルスB19というウイルスは一度感染すると一生免疫が得られるため、一般的には再感染はないといわれています。
りんご病になりやすい年齢層とは?
国立感染症研究所ではりんご病の年間患者報告数を2010年は50,061件、2011年は87,010件、2012年は20,966件、2013年は10,118件、2014年は32,352件としています。
患者を年齢別にみた場合、9歳以下が93%を占めていて、中でも5歳児は17%と最も多くの患者数を占めていると発表されています。
2015年度は国立感染症研究所で統計をおこなっているここ10年間で過去最高の患者数で98,500件と報告されています。
しかし近年「りんご病は基本的に子供がなる病気」という考えを覆すように、大人がりんご病になることが多くなっています。主に自身の子供がりんご病になってそれが感染する形で大人もりんご病になるという感染経路が高いようです。
大人のりんご病はこう違う!
大人がりんご病になった場合は7割くらいの人は関節痛を伴うといわれています。多くの患者が9歳以下を占めているため大人の患者数のデータは残念ながら存在しませんが、大人がりんご病になると子供がなった場合とは異なり大きなリスクを伴います。
りんご病の主な症状である発熱や関節痛は症状として出るものの、大人の場合りんご病の特徴でもある頬が赤くなるという症状は出ない場合も多いといわれています。
大人がりんご病になった場合の最も大きなリスクとして、特に妊婦の感染が危険とされています。妊婦が感染すると流産や死産に見舞われることがあります。
産婦人科医によると、特に妊娠20週未満の感染の場合、母体の赤ちゃんにも感染して胎児水腫という症状になる危険性も高くなるそうなのです。
胎児水腫とは赤ちゃんが胎盤を通じて感染することによってウイルスが増殖して貧血を起こします。そしてその貧血によって赤ちゃんの体内に水がたまり皮膚がむくみはじめるようになります。
そのむくみはさまざまな箇所にいたり、むくみが原因で血液循環も悪くなり、結果的に胎児のまま死亡することがあるということなのです。
妊娠中、特に妊娠初期にあたる時期はりんご病流行のニュースを耳にしたら人が多い場所などを避けたり、やむを得ず外出しないといけない場合はマスクを着用して、外出から戻ったら手洗い、うがいをしっかりとするようにしましょう。
まとめ
子供だけじゃない!大人のりんご病は胎児にも多大な影響が!
りんご病の症状とは?
りんご病になりやすい年齢層とは?
大人のりんご病はこう違う!