「子供とは違い、非常につらい大人のりんご病(前編)」では、りんご病とはどのような病気なのか、またどのような症状があらわれるのかご説明いたしました。後編では、妊娠中に りんご病 に感染した場合、お腹のなかの 子供 にどのような影響を与えるのかご説明いたします。
妊娠を希望している女性は、血液検査でヒトパルボウイルスB19の抗体の有無を確認することができます。
子供とは違い、非常につらい大人のりんご病(後編)
妊娠中の感染の恐ろしさ
大人の感染は子供より何倍もつらいといわれていますが、最も怖いのが妊娠中の感染です。
妊娠中に母体がヒトパルボウイルスB19に感染してしまうと、ウイルスは胎盤を通って胎児にも感染します。
胎児に感染したウイルスは赤血球の元になる赤芽球という細胞を破壊するため、赤血球がつくられずに減少し、貧血状態から胎児水腫となり最終的に流産や死産になってしまう危険があります。
20週以降にヒトパルボウイルスB19に感染した場合は、胎児への影響は低くなり、出生後に先天性異常が見られることはほどんどないといわれています。
しかし、20週未満に感染した胎児は流産や死産に至る危険が高く、7割もの胎児が母体の感染したヒトパルボウイルスB19により、流産や死産になっているといわれています。
しかし、母体がりんご病を発症したことに気付いていなかったケースも多く、その点もりんご病の恐ろしさといえます。
どのような治療をするのか
潜伏期間が長く、気付かないうちに感染してしまう可能性の高いりんご病ですが、子供が感染した場合の症状は軽く、特別な治療は必要ありません。稀に、高熱やそれに伴う倦怠感や掻痒感が強くあらわれる場合もありますが、安静や対症療法のみで様子をみます。
大人が感染した場合も特別な治療法はなく、自然治癒を待つしかありません。しかし、症状が長引き痛みを伴うため、場合によっては鎮痛剤などの対症療法がおこなわれます。
予防することはできるのか
ヒトパルボウイルスB19の感染力は弱いですが、症状が確認できる前が最も他人に感染させる可能性が高いウイルスであるため、隔離などで拡散を防ぐことは困難であり知らないうちに感染してしまう場合がほとんどです。
また、有効なワクチンもなく、流行しやすい時期もはっきりしていないため予防することが難しい病気といわれています。
しかし、ヒトパルボウイルスB19は咳やくしゃみなどによる飛沫感染であるため、日ごろからマスクの着用や手洗いうがいなどの標準予防策をおこなうことで予防できる可能性は十分あります。
また、感染症であることから、感染しても自らの免疫力でウイルスと戦えるよう規則正しい生活や食生活を心がけておくことも大切です。
また、はっきりとしたことはわかっていませんが、ヒトパルボウイルスB19に感染し、抗体を持っている場合は再び感染することはないといわれています。
大人の感染が子供に比べて少ない理由は、子供の頃に気付かないうちにヒトパルボウイルスB19に感染しており、約50%の大人が既に抗体を持っているためです。
しかし、子供の頃に感染した覚えがない方や妊娠を希望する方は、あらかじめ血液検査でヒトパルボウイルスB19の抗体の有無を確認しておくとよいでしょう。
それにより、りんご病を発症してつらい症状に苦しんだり、流産や死産というつらい経験をしないよう、予防を念入りにおこなうなど意識を高めることにもつながります。
まとめ
子供とは違い、非常につらい大人のりんご病(後編)
妊娠中の感染の恐ろしさ
どのような治療をするのか
予防することはできるのか